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【徹底解説】パワーゲート付きトラックとは?おすすめの種類を紹介|注意点や特別教育の義務化について


パワーゲート付きトラックは、荷物の積み下ろしを効率的におこなうための重要な装置です。特に重い荷物や大きな物を扱う場面で、その便利さが際立ちます。しかし、種類や選び方、さらに法改正にともなう新たな規制も存在し、購入前にしっかりと理解しておくべきポイントがいくつかあります。
本記事では、パワーゲート付きトラックの種類や特徴、注意点、さらには最新の法改正について解説します。これからパワーゲート付きトラックの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

トラックのパワーゲートとは?

パワーゲートとは、トラックの荷降ろしに便利な昇降装置のことです。重い荷物の積み下ろしを効率化するために大型トラックなどの後ろ側や側面に装備されています。
パワーゲートは、荷台の床面と同じ高さに設置されており、荷物を積み下ろす際には、リモコンで操作して荷台から地面まで降ろします。
また、荷物を積み上げる際には、リモコンで操作して荷台に上げることが可能です
パワーゲートは、荷物の積み下ろしの効率化だけでなく、作業者の負担も軽減できます。
一般的にパワーゲートという名称で呼ばれていますが、パワーゲートは「極東開発工業」の商標です。正式名称は「テールゲートリフター」といいます。
パワーゲートの意味

安全に使用しなけば大きな事故につながるリスクも

運送会社や引越しなど、重い荷物を扱う業種では大活躍するパワーゲート車ですが、安全に使用しなければ大きな事故につながるリスクもあります。
令和2年には、パワーゲートに起因する労働災害が330件発生しています。事故の要因は昇降板からの落下が4割、テールゲートリフターの不適切な取扱いによるものが6割です。
(引用元:改正労働安全衛生規則等の 詳細について|一般社団法人 東京都 トラック協会)

便利だからといって安易に導入せず、購入前の段階からパワーゲート車を扱うリスクを知っておく必要があります。
厚生労働省では「テールゲートリフターを安全に使用するために2ステップで学ぶ6基本&11場面別ルール」を定めており、重篤な災害を防ぐために必ず確認をしておきましょう。
(参考元:テールゲートリフターを安全に使用するために2ステップで学ぶ6基本&11場面別ルール)

おすすめパワーゲートの種類4つ


パワーゲートは、動作と格納方法ごとにそれぞれ2種類、下記の4つのタイプに分けられます。

<動作方法の種類>
1.垂直昇降式
2.スイング式(アーム式)

<格納方法の種類>
3.格納式(床下格納式)
4.跳ね上げ式(後部格納式)

それぞれのパワーゲートの種類について紹介していきます。

1.垂直昇降式パワーゲート

垂直昇降式:パワーゲートV型
(参考元:KYOKUTO「パワーゲート」)
垂直昇降式のパワーゲートとは、地面に対して垂直になっているレールに装着されたプラットホーム(荷台)を上下に動かすことにより、荷物を積み降ろしできるタイプです。昇降時にまっすぐ上下に動くため、振動が少なく、大きな荷物を乗せても倒れる心配がありません。

垂直昇降式のパワーゲートは、特に引越しのときにおすすめです。
引越しでは、大型家具やピアノなど、倒れると危険な荷物を運ぶことがあります。垂直昇降式のパワーゲートでは、このような荷物の揺れや転倒を防ぎたいときに活躍するでしょう。

2.スイング式(アーム式)パワーゲート

スイング式(アーム式):パワーゲートS型
(参考元:KYOKUTO「パワーゲート」)
(引用元:KYOKUTO「パワーゲート」)
スイング式(アーム式)のパワーゲートとは、荷台の下部分にアームが取り付けられているタイプです。
荷台後部の床下に取り付けたアームを動作させ、リフトの部分を動かします。上下に昇降させるだけでなく、リフトを斜めに傾けて、坂道のように傾斜をつけることも可能です。

スイング式(アーム式)のパワーゲートは、工事現場やイベント設営現場におすすめです。
垂直昇降式に比べると、安定感は劣りますが、倒れても大きな事故になりにくいような三角コーンや電気ケーブルを運ぶのに適しています。

また、スイング式(アーム式)は、主に小型トラックに取り付けられているのも特徴の1つです。小型トラックなら、大人数で作業することが多い現場で特殊な免許を持っていない人でも運転できます。

3.格納式(床下格納式)パワーゲート

格納式(床下格納式)パワーゲートとは、トラックの荷台の下にリフトを格納できるパワーゲートで、使用しないときは車両下に折りたたんで収納できるタイプです。中型や大型トラックに装備されていることが多いタイプになります。

格納式(床下格納式)のパワーゲートは、高床式倉庫に直接搬入する荷物を運ぶのに適しています。格納式(床下格納式)のパワーゲートが装備されたトラックなら、パワーゲートを使っていないときでも荷台後方の扉を開け締めできるため、集荷場に直接トラックを直接付けて積み下ろしが可能です。
大型トラックに取り付けられていることも多く、冷凍食品や野菜などを運ぶ際に便利でしょう。

4.跳ね上げ式(後部格納式)パワーゲート

跳ね上げ式(後部格納式)パワーゲートとは、トラックの後部ドアにリフトを張り付くように格納できるタイプです。
跳ね上げ式(後部格納式)のパワーゲートは、カゴ台車ごと搬入するような大きな大量の荷物や、自動販売機などの大型荷物を運ぶのに適しています。プラットフォームの面積が大きいため、大型の荷物を乗せても耐えられます。
しかし跳ね上げ式(後部格納式)パワーゲートは、トラックの荷台後方を閉じるようにして格納するので、パワーゲートを使用しないときは扉を開けられない点には注意が必要です。

【最新】テールゲートリフターに基づく法改正の内容


令和5年10月から労働安全衛生規則等が改正され、以下の4点が変更になりました。

1.昇降設備の設置が義務付けられる貨物自動車の範囲の拡大(令和5年10月1日施行)
2.保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲の拡大(令和5年10月1日施行)
3.テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育の義務化(令和6年2月1日施行)
4.運転位置から離れる場合の措置(令和5年10月1日施行)

それぞれの改正したポイントについて、解説していきます。

1.昇降設備の設置が義務付けられる貨物自動車の範囲の拡大

法改正により、最大積載量が2トン以上の貨物自動車において、荷物の積み下ろし作業時には安全な昇降設備の設置が義務付けられるようになりました。この義務化は、作業者の墜落や転落事故を未然に防ぐことを目的としています。昇降設備は、単なる足掛かりではなく、作業員が安全に昇り降りできる構造である必要があります。具体的には、貨物自動車に設置されるステップや、現場で使用できる持ち運び可能な踏み台などが該当します。

また、テールゲートリフターも昇降設備として認められ、中間位置で停止させることでステップとして利用できます。ただし、その場合でも、安全基準を満たす必要があります。昇降設備は、手すりや滑り止め加工が施された踏面を備え、地面から50cm以内の段差で設計されていることが求められます。

2.保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲の拡大

法改正により、保護帽の着用が義務付けられる貨物自動車の範囲が拡大されました。最大積載量が5トン以上の貨物自動車はもちろんのこと、2トン以上5トン未満の車両についても、特定の条件下では保護帽の着用が求められます。具体的には、荷台の側面が開放できる構造の車両(平ボディ車やウイング車など)や、テールゲートリフターが設置されている車両で作業をおこなう場合です。特にテールゲートリフターを使用した積み下ろし作業では、作業者の安全を確保するため、保護帽の着用が必須となります。

保護帽には、国家検定に合格した「墜落時保護用」の製品を使用することが求められ、衝撃吸収ライナーが備わったものを選ぶ必要があります。しかし、テールゲートリフターを単にステップとして使用する場合や、リフターを使用せずに荷物を取り扱う場合には保護帽の着用義務はありません。この改正は、作業現場での墜落や落下物による事故を減らし、安全性を向上させるために導入された施策です。企業や作業者は、自らの作業環境を再確認し、適切な保護具の着用を徹底することが求められています。

3.テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育の義務化

令和6年2月から、貨物自動車に設置されたテールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業に特別教育が義務付けられました。この改正は、テールゲートリフターの誤操作や不適切な使用による労働災害を防止するための措置です。特別教育の対象には、リフターの稼働スイッチ操作だけでなく、昇降板の展開・格納、キャスターストッパーの操作など、リフターの使用全般に関わる業務が含まれます。

教育の内容は、学科4時間と実技2時間で構成され、労働者が安全に作業をおこなうための知識と技能を習得することを目的としています。特に、重量物を扱う場合の危険性や事故防止策についての理解が求められます。なお、リフターを使用しない点検作業や介護車両の車椅子装置の操作は対象外です。

事業者は、対象となる労働者に特別教育を受講させる義務があります。未受講の状態で業務をおこなわせると、法令違反となり罰則の対象となる可能性があるため、適切な準備と対応が必要です。

4.運転位置から離れる場合の措置

令和5年10月1日から、テールゲートリフターの操作をともなう作業において、運転者が運転位置を離れる場合の措置に関する規定が改正されました。従来は、労働安全衛生規則に基づき、下記の項目が義務付けられていました。

①荷役装置を最低降下位置に置くこと
②エンジンを停止すること
③ブレーキを確実にかけること

しかし、テールゲートリフターの特性上、エンジンが動作していないと使用できない場合や、収納位置が最低降下位置とは異なる場合があるため、これらの条件が現場の実態にそぐわないとの課題がありました。

この改正により、運転席とリフターの操作位置が異なる場合、①と②の措置は適用除外となり、荷役装置を最低降下位置に置かなくてもよく、エンジンを停止せずに作業が可能となります。
ただし、③のブレーキを確実にかけるなどの逸走防止措置は引き続き義務となります。作業者は、改正内容を十分に理解し、適切な手順で安全対策を講じることが求められます。

パワーゲート付トラックを購入する際の注意点は?


パワーゲート付トラックを選ぶ際には、用途や作業環境に合った機種を選定することが重要です。まず、パワーゲートの昇降能力を確認しましょう。一般的に、垂直式やアーム式は400kg~800kg、跳ね上げ式や格納式は1000kg~2000kgの昇降能力があります。積み下ろしする荷物の種類や重量に応じた昇降能力を持つトラックを選ぶことで、安全かつ効率的に作業をおこなえます。

また、プラットフォームの寸法やサイズも重要なポイントです。荷物の大きさや形状に適したサイズを選ばないと、積載や作業効率に影響を及ぼす可能性があります。さらに、トラックの形状や作業する環境も考慮しましょう。狭い場所での作業や特定の条件下では、適したパワーゲートの種類が異なることがあります。

最後に、予算とのバランスも忘れずに確認しましょう。購入や維持費用をしっかり計算し、自分のニーズと予算に合ったモデルを選ぶことで、満足度の高い選択ができます。

中古トラックパワーゲート付きトラックの購入は「トラック流通センター」がおすすめ


トラック流通センターは、中古トラックやパワーゲート付きトラックの購入を検討している方にピッタリです。パワーゲート付きトラックをはじめとするさまざまな車種や種類を用途に合わせて検索できます。パワーゲート(PG)の最大のメリットである効率的な積み下ろしを支えるトラックを、多数のメーカーから選ぶことが可能です。
もし希望のパワーゲート付きトラックがなくても、市場に出回っていない全国の在庫からも提案できます。
さらに、納車後の保証も最大1年ついているので、購入後も安心して利用できます。

トラックパワーゲート付きのトラックをはじめ、商用車の購入をお考えなら、「トラック流通センター」のサイトをチェックしてみてください。
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まとめ

パワーゲート付きトラックは、荷物の積み下ろしを効率化し、作業者の負担を軽減する便利な設備です。しかし、適切な操作と安全対策を徹底しなければ、重大な事故につながるリスクもともないます。法改正により、特別教育の義務化や安全設備の設置が求められるようになったため、購入や導入前に必要な知識を身につけておくことが重要です。作業環境に合った種類を選び、安全性を強化することで、より快適で効率的な作業が実現できるでしょう。

  • パワーゲート付きトラックは荷物の積み下ろしを効率化する設備である
  • 適切な操作をおこなわないと事故のリスクが高まる
  • パワーゲートには、動作と格納方法によって「垂直昇降式」「スイング式(アーム式)」「格納式(床下格納式)」「跳ね上げ式(後部格納式)」の4つの種類がある
  • 2023年の法改正により特別教育が義務化された
  • 中古のパワーゲート付きトラックを選ぶ際には用途や作業環境、プラットフォームのサイズ、予算とのバランスが重要である

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