大型貨物自動車はサイズ・重さ・積載量が大きいトラック|識別方法を解説
(出典:写真AC)
「大型貨物自動車」とは、どのような自動車を指すのでしょうか?大型貨物自動車に限らず、自動車の識別方法はあいまいになりやすいですよね。場面によって異なる法律が適用されるなど、定義が複数あるため、混乱するのも無理はありません。
この記事では、大型貨物自動車の基本的な定義と、運転免許の種類や高速道路の料金区分などの迷いやすい項目を解説しています。表や画像を使いながら分かりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
大型貨物自動車とは?
「大型貨物自動車」とは大量の荷物を運ぶためのトラックのうち、サイズ・重さ・積載量が大きいもののことです。具体的な数値による定義は以下の通りです。
●大型貨物自動車の定義
サイズ(全長/全幅/全高) | 車両総重量 | 最大積載量 |
12m / 2.5m / 3.8m以下 | 11トン以上 | 6.5トン以上 |
ちなみに貨物自動車とは、簡単にいうと荷物を運ぶための車のことです。主にトラックを指す場合が多いですが、荷室が広く貨物用に登録された軽バンも貨物自動車に含まれます。
大型・中型・小型貨物自動車の違いはサイズ・重量・積載量
貨物自動車は、大型・中型・小型の3種類に分けられますが、それぞれの違いは「サイズ・重量・積載量」で定義されます。
下の表でも分かるように、大型貨物自動車と中型貨物自動車は「車両総重量」と「最大積載量」で区別されています。車両サイズの定義には違いがなく、見た目の大きさだけでは判断できません。
●大型貨物自動車を見分けるポイント
・車両総重量:11トン以上
・最大積載量:6.5トン以上
かなりまぎらわしいですが、大型と中型を正確に区分するには重要なポイントです。
●大型・中型・小型貨物自動車の定義の差
定義 | 大型 | 中型 | 小型 |
サイズ (全長/全幅/全高) |
12m / 2.5m / 3.8m以下 | 12m / 2.5m / 3.8m以下 | 4.7m / 1.7m / 2m以下 |
車両総重量 | 11トン以上 | 5トン以上11トン未満 | 5トン以内 |
最大積載量 | 6.5トン以上 | 6.5トン以内 | 3トン以内 |
一方で中型貨物自動車と小型貨物自動車は、サイズ、車両総重量、最大積載量のすべてが異なります。大型と中型に比べれば簡単に区別が可能です。
大型貨物自動車のナンバープレート
●大型貨物自動車のナンバープレートの種類
・色:白地に緑文字(自家用),緑地に白文字(事業用)
・分類番号:1、10〜19、100〜199
大型貨物自動車のナンバープレートは、車両の使用目的が「自家用」か「事業用」かによって色が別れています。
ただし、大型貨物自動車は一部の場合を除き、運送会社などの会社でビジネス用に使われることがほとんどです。そのため町中を走る大型貨物自動車は、多くの場合緑地に白文字のナンバープレートが付いています。
ナンバープレートの分類番号(プレート右上の2〜3桁の数字)は、自動車の種別を分けるための番号です。この場合の自動車の種別では、大型貨物自動車は「普通貨物自動車」に分類され「1、10〜19、100〜199」の番号が適応されます。
まぎらわしい分類として「大型特殊自動車」がありますが、ブルドーザーやフォークリフト、トラクターなどが該当するナンバーです。言葉のニュアンスだけを見て判断しないように注意しましょう。
(参考:国土交通省”ナンバープレートの現状について”)
大型貨物自動車には大型免許が必要
大型貨物自動車の運転には、大型免許が必要です。大型免許で運転できる自動車の条件は以下の通りです。
●大型免許で運転できる車
自動車の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 |
大型自動車 | 11トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 |
(参考:警視庁ホームページ)
運転免許証のにおける自動車区分は、自動車の種類を分類する法律のうち「道路交通法」による分類が用いられています。
道路交通法とは
「道路交通法」とは、道路上の事故やトラブルを防止し、安全な交通状態の実現を目的とした法律です。運転免許証の基準に係る自動車の区分にも関係します。
自動車関連の区分を定義する主な法律は以下の通りです。
●自動車の区分を定義する2つの法律
・道路交通法
・道路運送車両法
運転免許証の基準となっている道路交通法の自動車区分は、免許証のほか交通取締にも適用されます。
一方で道路運送車両法は、登録や検査、届出、強制保険に適用される区分です。
(参考:自動車検査登録情報協会)
間違いやすい!大型免許で運転できない車
大型免許で運転できない車には、以下のようなものがあります。
・ブルドーザー
・クレーン車
・ホイールローダー
・フォークリフト
など
これらの車は特殊自動車に分類されるため、公道を走るためには「大型特殊免許」が必要です。特別な免許が必要だと知らず、無免許のまま運転することのないように気をつけましょう。
大型貨物自動車の高速道路料金は大型車と同じ
(出典:写真AC)
高速道路を走る際、大型貨物自動車は「大型車」と同じ区分に入ります。
NEXCO東日本による高速道路の車種区分において、大型貨物自動車に関する定義は以下の通りです。
“ 普通貨物自動車(車両総重量8t以上又は最大積載量5t以上で3車軸以下のもの、車両総重量25t以下(ただし、最遠軸距5.5m未満又は車長9m未満のものについては20t以下、最遠軸距5.5m以上7m未満で車長が9m以上のもの及び最遠軸距が7m以上で車長9m以上11m未満のものについては22t以下)かつ4車軸のもの及び被けん引自動車を連結していないセミトレーラー用トラクターで3車軸のもの) “
まとめると、貨物自動車のうち以下のような車両は大型車の料金車種区分に該当します。
・最大積載量が5トン以上、車両総重量が8トン以上、3車軸以下
・サイズ(長さ/幅/高さ)が12m以下/2.5m以下/4.1m以下、車両総重量が20〜25トン以下、4車軸で車両制限令限度以下
この条件に該当する車両は、高速道路の支払い時に大型車の料金を支払う必要があります。
大型貨物自動車の法定最高速度は時速80km
大型貨物自動車の高速道路の最高速度は時速80kmです。
道路標識などによる指定最高速度がない区間では道路交通法で定められた「法定最高速度」が適用されます。時速100kmで定められている一般的な車両(普通車や軽自動車など)とは法定速度が異なるため注意が必要です。
ちなみに、一般道ではその他の自動車と同様に時速60kmとなります。
大型貨物自動車のスピード違反の罰則
大型貨物自動車のスピード違反で、超過速度ごと定められた罰則は以下の通りです。
違反点数は6点以上で一発で免許停止処分なので、一般道で時速30km以上、高速道路で時速40km以上のスピード超過で免停となる恐れがあります。
また道路上では法定速度に関わらず、安全な速度での走行が義務付けられています。運転の際は安全を最優先することを忘れないようにしましょう。
●速度超過による違反点数と罰則金
超過速度 | 違反点数 | 罰則金 |
50以上 | 12 | 4万円 |
30(高速40)以上50未満 | 6 | 3万円 |
25以上30(高速40)未満 | 3 | 25万円 |
20以上25未満 | 2 | 20万円 |
20未満 | 1 | 15万円 |
15未満 | 1 | 12万円 |
(参考:警視庁「交通違反の点数一覧表」、「放置・駐停車に関するもの以外の反則行為」)
大型貨物自動車の運転で注意すべき標識
大型貨物自動車の運転において注意すべき標識は以下の2つです。
・大型貨物自動車通行止め
・特定の種類の車両通行区分
どちらも大型貨物自動車、大型特殊自動車、特定中型貨物自動車に適用される標識です。それぞれの標識を画像とともに解説します。
●標識に適用される大型貨物自動車・大型特殊自動車・特定中型貨物自動車の定義
車両の種類 | 定義 |
大型貨物自動車 | 車両総重量11トン以上または最大積載量6.5トン以上 |
大型特殊自動車 | 全長12m以下×全幅2.5m以下×全高3.8m以下の特殊車両 |
特定中型貨物自動車 | 車両総重量8トン以上11トン未満、または最大積載量が5トン以上6.5トン未満 |
大型貨物自動車等通行止め
(出典:国土交通省)
この画像は「大型貨物自動車等通行止めの標識」です。上の表に記載した車両は通行できないので注意しましょう。
特定の種類の車両通行区分
(出典:国土交通省)
この画像は「特定の種類の車両の通行区分」の標識です。主に高速道路に設置されており、この標識がある区間では上の表に記載した車両は道路の左から1番目の車線を走行しなければなりません。
まとめ
(出典:写真AC)
大型貨物自動車の識別方法について解説しました。
大型貨物自動車の定義は状況ごとに適用される法律が変わるため、それぞれの場合にどの定義が適切か判断が必要です。それぞれ違いがあると理解し、迷ったときにいつでも確認できるようにしておきましょう。