極東開発…軽量化で輸送効率向上を実現した7トンリヤダンプ
ダンプ…極東開発
耐摩耗鋼板仕様も新たにラインナップ
極東開発工業㈱は、このたび7トンリヤダンプトラックを改良し、標準仕様に加え、耐摩耗鋼板「HARDOX」採用の耐摩耗鋼板仕様を新たにラインナップし、2019年5月7日に発売した。
新機種は、ダンプヒンジの改良によるダンプアップ時の強度の向上と、大幅な軽量化により、輸送効率を向上。また、新たにラインナップされた耐摩耗鋼板仕様は、「2018年度グッドデザイン賞」を受賞した4トン車のデザインコンセプトを採用し、高い硬度と靭性で多くの実績を持つ耐摩耗鋼板「HARDOX」をボデーに使用し、強度向上と軽量化を両立させている。その他、サイドゲートとテールゲートをスチフナ(補強柱)レスとすることで、すっきりとしたシンプルなデザインとした。
新型7トンリヤダンプトラック(耐摩耗鋼板仕様)
新型7トンリヤダンプの特長
(1)強度の向上
ダンプヒンジの改良によりダンプアップ時の強度を向上。これにより、耐久性のアップと併せ、長寿命化を実現。
(2)軽量化の実現
ボデー重量が従来機に比べ、標準仕様で約100㎏、耐摩耗鋼板仕様は「HARDOX」採用により強度を保ったまま板厚の薄肉化と補強部品の削減を行い約210㎏の大幅な軽量化を実現。効率の高い運搬と空荷状態における燃費向上に貢献。
(3)高強度と軽量化を両立した耐摩耗鋼板仕様をにラインナップ
耐摩耗鋼板仕様は、ダンプトラックに求められている輸送効率アップとアフターメンテナンスの容易性を実現。積載量(軽量化)と耐久性の確保という相反するニーズに対して、「2018年度グッドデザイン賞」受賞の4トン車と共通する、“剛から柔へ”のまったく新しい設計思想を採用。
高い硬度と靭性を併せ持ち、多くの実績を誇る耐摩耗鋼板「HARDOX」を使用することで、耐衝撃性だけでなく、変形や亀裂の発生にも強い、高強度なボデーとした。
また、サイドゲートおよびテールゲートをスチフナレスとし、すっきりとしたデザインとしたことで、ボデー表面がフラットになり、看板やステッカーなどの自由なデザインに対応。さらに、ボデー内は、デッキとサイドパネルを一体化した緩やかなRを持つ丸底デッキ形状とすることで、積荷の排出性と清掃性も向上させている。
(4)販売価格と目標台数
販売価格(希望小売価格、シャシ・消費税抜き)は、標準仕様が110万円、耐摩耗鋼板仕様が151万円となっている。
年間販売目標台数は、250台(標準仕様・耐摩耗鋼板仕様合計)としている。
ダンプアップ時の強度が向上したダンプヒンジ
耐摩耗鋼板仕様は「HARDOX IN MY BODY」の認定を受けている
スチフナレスですっきりデザインのサイドゲート(左)とテールゲート(右)
小型トラック「日野デュトロ」を改良して発売
デュトロ改良…日野
安全と環境を追求して今年で20周年
日野自動車㈱は、小型トラック「日野デュトロ」を改良し、平成28年排出ガス規制に対応するとともに、安全装備を大幅に拡充して2019年5月7日に発売した。
日野は、商用車メーカーの社会的責務として安全技術と環境技術の開発・普及に取り組んでおり、今回の改良では、排出ガスのクリーン化に加えて、前進誤発進抑制機能をはじめとする安全装備を標準装備(LPG車、消防車を除く)し、様々なシーンで衝突回避を支援する機能を追加した。また、ICTサービス「HINO CONNECT」導入によるコネクティッドの推進等、あらゆる面からドライバーをサポートできる。
安全装備を大幅に拡充させた小型トラック「日野デュトロ」
新たな安全装備(標準装備)
(1)前進誤発進抑制機能
壁だけでなく店舗等のガラスも検知し、アクセルを踏み間違えた場合等にはエンジンの出力制御とブレーキ制動によって衝突回避を支援する。
(2)低速衝突被害軽減
機能従来から搭載していたPCS(プリクラッシュセーフティ)に加えて、10㎞/h以下の低速走行での衝突回避を支援する機能。前方の障害物に気付かずにブレーキを緩めて走り出した場合等には、エンジンの出力制御とブレーキ制動によって衝突回避を支援する。
(3)クリアランスソナー
狭い場所に駐車するシーン等で接触回避を支援するため、障害物との距離を警告音とディスプレイ表示で注意喚起する。
(4)視界支援(平ボデー完成車に標準装備)
LEDヘッドライトの全車標準化と、国内小型トラック初となる「電子インナーミラー」を採用。電子インナーミラーは、積み荷などで視界を遮られても後方の安全確認がしやすくなるよう、カメラにより後方映像を表示する。また、通常のインナーミラーとしての使用も可能である。
エンジン改良により排出ガスを低減
改良を加えたパワフルかつ経済的なエンジンと、尿素水を使用しない先進後処理システムDPR-Ⅱ(ディーゼル燃料を還元剤としたNOx後処理技術)の組み合わせを全車に採用し、排出ガスのさらなるクリーン化を実現。全車平成28年排出ガス規制に適合させ、車両総重量7.5t超車を中心に一部車型はJ-OBDⅡ(Japan On-board diagnosis Ⅱ)に対応。
ICTサービス「HINO CONNECT」に対応
通信端末を標準搭載し、トータルサポート強化の一環として大型トラック「日野プロフィア」等からスタートした「HINO CONNECT」を、日野デュトロにも導入。PCS作動状況をユーザー(運行管理者)へメールで知らせる等の各種通知機能をはじめ、稼働をサポートするためのコンテンツを提供。
ドライバーの利便性向上装備
ハンズフリー機能付Bluetooth搭載オーディオとステアリングスイッチを全車に標準搭載。これにより、ステアリングを握ったまま通話やマルチインフォメーションディスプレイの操作ができる等、利便性も向上させている。
今回発売する「日野デュトロ」は一部車型で平成28年燃費基準+10%達成させている。また、ハイブリッド車およびディーゼル車は、ASV減税、またはエコカー減税の対象となる。
東京地区希望小売価格(代表車型)
東京地区希望小売価格(代表車型)
小型トラック「キャンター」2019年モデル
小型トラック…三菱ふそう
平成28年度排出ガス規制適合と最新安全機能搭載
三菱ふそうトラック・バス㈱(MFTBC)は、小型トラック「キャンター」2019年モデルを発表した。GVW7.5t以下は5月より、またGVW7.5t超は7月より全国の三菱ふそう販売会社及び三菱ふそう地域販売部門から販売を開始する。
小型トラック「キャンター」2019年モデルは、GVW7.5t以下全車でも平成28年度排出ガス規制に適合し、加えてGVW7.5t超クラスでJ-OBDⅡ(車載式故障診断装置)規格に対応。また、2018年モデルでGVW7.5t以下車両に搭載済みの「衝突被害軽減ブレーキ」、「車両安定性制御装置」と「車両逸脱警報装置」を含む先進安全技術をGVW7.5t超クラスにも拡大展開。新たに電気式のブレーキ磨耗インジケーターを全車に導入し、安全性をさらにアップした。さらに、Bluetoothオーディオシステム、エンジン始動の際にECOモードがオンになる改善を行なうなど快適性と燃費性能を向上させている。
最新安全機能搭載の小型トラック「キャンター」2019年モデル
操作性と機能性に優れる「キャンター」2019年モデルの運転席
全モデルに標準装備された「ブレーキ磨耗インジケーター」
「キャンター」2019年モデルの特長
・ブレーキ磨耗インジケーター(全モデル標準装備、高床4WD/FGB70除く)
ブレーキパッド内に配置されたセンサーを介して、ブレーキパッドが磨耗した場合にドライバーに警告する。
・衝突被害軽減ブレーキ(AEBS:Advanced Emergency Braking System)
フロントバンパーに搭載のミリ波レーダーにより、前方の走行車両または停止車両、さらに歩行者を検知し、衝突の危険を察知するとドライバーに警報を発し、衝突の危険が高まるとブレーキを自動的に作動し、衝突回避や衝突時の被害軽減をサポート。
・車両安定性制御装置(ESP:Electronic Stability Program)
車両姿勢を常にセンサーで感知し、カーブでの横滑り、横転等の危険性が生じた場合、エンジン出力や4輪のブレーキ力を最適に制御し、危険回避をサポート。
・車線逸脱警報装置
高速道路などでウィンカー操作を行なわず、車両が車線を逸脱した場合、白線認識カメラが逸脱を検知し、ドライバーにブザーとメータークラスタ内Ivis(マルチ情報システム)の表示で安全走行を促す。
・電動パーキングブレーキ(EPB:Electric Parking Brake)(オプション)
電動モーターのアシストにより、軽い操作力でパーキングブレーキの作動、解除を行なえる。坂道などの駐車時でも、より安定した制動力を保持する。
・Duonic 2.0 Ecoモード(全モデル)
エンジン始動の際に、標準設定としてEcoモードがオンになることで、燃費向上につながる。
・Bluetoothオーディオシステム(全モデル、スライドドア付塵芥車除く)
BluetoothとUSBポート搭載によりスマートフォンや他の機器と接続が可能。
車両スペックと価格
車型2RG-FEB50、4P10(T4)エンジン110KW(150PS)搭載の6速Duonic R2.0、アイドリングストップ&スタート付き平ボデーで東京地区販売価格は5,058.72千円(消費税含む:税率8%)となっている。
安全機能として採用した衝突被害軽減ブレーキ
軽い操作力でパーキングブレーキの作動・解除が行なえる電動パーキングブレーキ(オプション)
アイチ…15m級トラック式高所作業車を発売
高所作業車…アイチ
安全性と生産性の追求と柔軟な現場対応力
㈱アイチコーポレーション(本社:埼玉県上尾市、三浦治社長)は、15m級トラック式高所作業車「SH15C1FS」「SN15C1FS」を2019年5月7日発売した。
現場対応力に優れる15m級トラック式高所作業車
15m級高所作業車の主な特長
(1)無段階アウトリガーを実現
アウトリガー張幅規制を従来の4段階から無段階にすることで、限られた車両設置スペースでも最大限の作業範囲を確保。(SHは従来の最小~最大、SNは最小~中間1を無段階アウトリガー張出)
(2)作業範囲の拡大
車両前方における「低空領域」および「ウインチ使用時(最大荷上げ時目安)」での作業範囲を拡大。従来機より作業範囲が広がり生産性向上に寄与(SH・SN共通)。また、最大作業半径も拡大(SNのみ)。
(3)マルチインフォメーションディスプレイ
標準装備下部操作装置に液晶モニターを標準装備。路面傾斜、アウトリガー張幅、旋回規制角度、バッテリー状態などの車両情報をリアルタイムに表示し、迅速な作業判断に貢献(SH・SN共通)。
(4)更なる安全性の向上
より安全で楽な昇降に貢献する「昇降用手摺・ステップ・経路の改良」、車両側面作業の安全性追求による「ノーテールブームの実現」、安全作業に貢献する「逸走防止補助装置」「感電防止補助銘板」「凍結対応補助システム」「PTO切り忘れ警報装置」を標準装備(SH・SN共通)。
UDトラックス…主力エンジン「GH11」と電子制御式ATなどを出展
展示会…UDトラックス
「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」
UDトラックス㈱は、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」(5月22日~24日)に出展した。
公益社団法人自動車技術会が主催する「人とくるまのテクノロジー展」は、自動車業界の第一線で活躍する技術者・研究者のための自動車技術の専門展として1992年に始まり、現在では国内でも有数の出展規模を誇る展示会に成長している。
UDトラックスは、大型トラック「クオン」の燃費、環境性能、運転性、安全性を実現した技術について、主力エンジン「GH11」、および電子制御式オートマチックトランスミッション「エスコット・シックス」(ESCOT-Ⅵ)を展示したほか、2019年1月に発表した「GH8」エンジンのビデオ上映とパネル展示を行った。また、自動運転など、物流事業に貢献するための各種先進技術も紹介した。
11リッターの新型GH11エンジン
電子制御オートマチックトランスミッションESCOT-VI(エスコット・シックス)搭載のQuon
主な出展内容
(1)GH11エンジン(11L)実物展示
ユニットインジェクターとコモンレールシステム、双方の特徴を活かした新燃料噴射システムや燃焼室形状変更などにより、平成28年度排出ガス規制に適合するとともに、全車重量車燃費基準+5%を達成。低回転域から幅広い回転域で力強いトルクを発生させ、ゆとりある走りを実現する。
(2)12段電子制御式オートマチックトランスミッション「エスコット・シックス」実物展示
従来より高い評価を得ているESCOTは、ハードウェアとソフトウェアの制御を最高レベルにまで高めたことにより、さらに正確で迅速なギアチェンジを実現する「エスコット・シックス」に進化。ストレート式のシフトパターンを採用し、より自然な操作性を実現。また、雪道や泥濘地での脱出性も向上させている。
(3)GH8エンジン(8L)ビデオ映像とパネル展示
ダウンサイジングにより軽量かつコンパクトに。さらにシンプルな構造で高い信頼性を維持しながら、力強いトルクを全域で発生させ、軽量高積載とパワフルな走りを両立。平成28年度排出ガス規制に適合するとともに、全車重量車燃費基準+5%を達成している。
UDトラックス…8Lエンジン搭載の大型トラックQuonを出展
展示会出展…UDトラックス
「建設・測量生産性向上展2019」
UDトラックス㈱は、幕張メッセで開催される「建設・測量生産性向上展2019」(5月22日~24日)に初出展。大型トラックQuonのラインアップに新たに加わった、8Lエンジン搭載の高積載仕様ダンプ(最大積載量10.7t)、高積載仕様ミキサー(最大混合容量4.5㎥)を展示した。
「建設・測量生産性向上展」は、経済産業省と国土交通省が後援する、建設・測量業界の最新かつ最先端の機械・設備・技術・サービスが一堂に集まる展示会で、今回は昨年に続き2回目の開催。工期短縮や人材不足解消などにつながる技術が集い、この業界の未来を創る展示会で、業界全体の課題解決の場として期待されている。
UDトラックスの8Lエンジン搭載Quonは、近・中距離輸送中心、積載量重視のユーザーニーズに応えるため、小排気量エンジンの採用によりシャーシを300㎏軽量化。積載能力の強化で建設現場のさらなる生産性向上に貢献している。
8Lエンジン搭載の大型トラックQuon
人とくるまのテクノロジー展2019横浜小型電動バス型自動運転車について
西襄二(ニシジョウジ)
1959年より37年間,トラック販社,メーカーにおいて品質保証,商品企画・開発,提 案型営業支援システム開発,外部物流システム改善支援,等に従事。1997年,物流問題研究所設立。産業界の物流動向研究を通じ,事例・提言等を定期発表。また,各方面で講演を行う等,幅広く活動中。
自動車技術会主催の「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」はパシフィコ横浜を会場に5月22~24日の3日間開催された。今回の展示の中で自動化に関連した出展は実に多数あったが、実車展示と試乗の双方に対応したのはSB Drive社だけだった。SB Drive社は主催者(自動車技術会JSAE)の企画に呼応して小型電動自動化バス(仏 NAVYA ARMA社製〝AUTONOM Ⓡ SHUTTLE〟)を出展した。
人とくるまのテクノロジー展
「SBドライブ」
ソフトバンク株式会社の子会社であるSBドライブ株式会社(エスビードライブ、本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:佐治友基、以下「SBドライブ」)の発足は2016年、株主はソフトバンク㈱及び先進モビリティ㈱である。SBドライブは、自動運転領域のビジネスでは専ら通信機能とシステム開発に注力し、車のハード部分は専門企業との提携で展開中だ。国内ではトヨタ自動車、ホンダ技研工業、日野自動車などで、夫々が分担する自動運転車による実証実験を協働して企画運営している。
今回の展示では、フランスで誕生した自動運転車と協働で「SBドライブ」が開発中の、遠隔で自動運転バスの運行管理などを行える自動運転バス運行プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」も紹介した。
賑わう会場。3 日間の入場者は95,900 名(主催者調べ)だった。前回(2017 年)が90,687 人だったので4.8% 増加した
「NAVYA ARMA」
一方、NAVYA ARMAナヴィアアルマ社は、フランスで起業した自動運転車を軸に新時代の移動手段(モビリティ)をシステムとして提供する新興起業だ。営業開発拠点としてフランスのパリとリヨン、アメリカのミシガン州に展開中。これまでに車の形状としては数人乗りの「AUTONOMⓇCAB自動化キャブ」、これより大きな15人乗りの今回の「AUTONOMⓇSHUTTLE自動化シャトル」、更に作業用途等にも供することができる自動化多用途車など、いずれも電動車を製品化して先進需要に応えている。因みに、2017年の上記車両販売は68台(1900万ユーロ:1ユーロ=130円として43億7千万円)で、前年比で85%の増加をみたという。車種別構成比は不詳だが、過半は今回展示されたAUTONOMⓇSHUTTLE自動化シャトルだという。
自動化運転の話題は数多くあるが、実際に生産販売している事例というのは未だ少ない。
「AUTONOMⓇSHUTTLE自動化シャトル」
会場内に1台、試乗用に1台持ち込まれたAUTONOMⓇSHUTTLE自動化シャトルとメーカーであるNAVYA ARMAナヴィアアルマ社が名付けた車は電動車。外観上は前後が対称的形状の4輪操舵・2輪駆動方式で、車内に運転席は無い。
立席を含めて乗車定員は15名(座席11名+立席4名)とされている。取材当日の試乗では、筆者を含め長時間並んで希望した8名が着座し、女性の係員1名が立ったまま車内のドア付近に設置された15インチ大のモニター兼タッチパネル画面で発進停止の操作を行っていた。
試乗コースは屋外の空き地(長さ約100m)を直線状に往復する設定で、Uターンはせず前後進し、途中で通行人がこの車の直前を横切る動作に反応して急停車する設定であった。
この車の能力としては、直進走行速度の最大は毎時20㎞というが、試乗時は毎時20㎞程度で運行された。この速度で上記の急停車は着座姿勢が崩れるほどの減速度は感じること無く、停車時の歩行者との距離は2m程度あった。
AUTONOM Ⓡ SHUTTLE自動化シャトルとメーカーであるNAVYA ARMA ナヴィア アルマ社が名付けた車は電動車の外観は前後左右が対称形状にデザインされている。ドアは左右にある
進行方向に面する前後面には障害物を感知するセンサーが数カ所に搭載されている
自律運転機能
この車のメーカー・NAVYA ARMAナヴィアアルマ社によれば、自律運転機能を支えるのは三段階の基盤機能であるとする。一番目は感知認識機能で、走行ルートと周囲の障害物の有無を検出する。二番目は走行ル-トの設定を読み込み走行中に正しいルートを辿っているかどうかをチェックし、必要な修正指示を行う機能である。三番目はシステムの指示通りに駆動、操舵装置が作動する機能である。
SBドライブは独自に開発した「自動運転バス運行プラットフォームDispatcher ディスパッチャー」をこの車で連動させ、スケジュール走行機能、リアルタイム遠隔監視機能、及びAIによる異常事態(乗客の転倒や周囲の交通の異常など)の検知機能を運用できるようにしていた。
この「Dispatcher ディスパッチャー」システムは、他の自動運転バス、例えばトヨタと日野の共作による日野ポンチョ車の自動運転車にも搭載されて、実証実験を数多く実施してきた。二つの車を利用した実証実験回数は過去2年間で30回超となり、総走行距離は2万7千余㎞、試乗人数は1万1千人に達しているという。
直進路を往復する設定なら、Uターンすることなく前後進を繰り返す。進行中に人などの障害物を検知すると、約2m手前で急停車する
車室内に運転席は無い。写真では座席が8名分のように見えるが、メーカーのHP掲載の諸元表では折り畳み式座席を含めて座席定員は11名、立席4名の合計15名が乗車定員とされている。バッテリーは座席下に搭載され、駆動は2輪のインホィールモーターによる。操舵は4輪で行う。エアコンはルーフ搭載で十分な容量があるように実感された
運転操作はドア脇のタッチパネルで行う。試乗時には女性の係員が何気なく操作していた
格納場所への移動もタッチパネル操作で行う
床下は平滑に仕上げられている
MaaSの立役者の一角を目指す?
最近、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)という言葉をめにすることが増えた。個人所有の自動車(マイカー)以外の多種多様な乗り物を利用して便利に移動する手段・システムのことを指すが、未だ定義が固まっているわけではない。
ここで紹介したSBドライブが提唱する小型バス型車の自動運転による不特定多数の利用者を想定した移動手段も、MaaSの一環をなすと考えられる。前記したAUTONOMⓇSHUTTLE自動化シャトルのメーカーの直近決算報告に記載されている販売台数と売上げ高から単純計算した車両1台当りの価格は関連サービス込みで6千万円超となる。
運用シーンを、特定街区内のシャトルサービス、過疎地域内のディマンドサービスなどを想定し、ドライバーレスで運用することができるなら採算が見込まれる事例はあるだろう。今後の商用動向を注視したい。
(表1)VAVIA ARMA社製 「AUTONOM Ⓡ SHUTTLE」車の主要諸元
(表2)VAVIA ARMA社製「AUTONOM Ⓡ SHUTTLE」車の駆動系・操舵系
(表3)VAVIA ARMA社製「AUTONOM Ⓡ SHUTTLE」車の安全装備
国産初、連節バス登場安全対策に万全を期す
公共交通機関の一角を担うバスの役割は多岐に亘るが、都市部では、今後、一層の期待が集まる。その背景には少子高齢化が更に進みドライバー不足も深刻度を増す一方、交通需要へのきめ細かな対応が求められる。大量輸送については連節バスが静かに増加している。
健康診断受診率が上昇、労働条件改善意識が浸透
貨物自動車運送事業に従事する人の健康診断受診率が上がってきたようだ。労働者50人未満の事業場は、労働基準監督署長への定期健康診断の結果報告義務がないため、統計には現れてはいないが、原資となる運賃が確保でき、経営陣にコンプライアンスと労働条件改善意識が浸透してきたのではないか。
始まった日本版MaaS~東急とJR東日本が始めた伊豆MaaSのIzukoを体験~
3月28日にソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMonet TechnologiesがMONETコンソーシアムを設立し、4月23日には経済産業省と国土交通省が共同で開始する「スマートモビリティチャレンジ」のパイロット地域の公募が始まるなど、MaaSに関する国内の取り組みが加速しつつあります。