自動運転トラックがまた一歩前進、UDトラックス・日本通運・ホクレンが国内初の一部公道を使用した自動運転実証実験を実施
イノベーションを通じドライバー不足と物流・農業の課題解決に貢献
UDトラックス㈱、
日本通運㈱、
ホクレン農業協同組合連合会は2019年8月29日に、8月5日から行われているレベル4技術を用いた大型トラックによる自動運転の実証実験を公開した。
この実証実験は、ホクレン中斜里製糖工場(斜里郡斜里町字川上)において、砂糖の原料となるてん菜の運搬業務を想定した走行を、5段階の自動運転レベルにおけるレベル4(特定条件下における完全自動運転)技術の自動運転トラックで再現することで、物流の現場で深刻化するドライバー不足の解消に向けたソリューションの一例を提示することを目的としている。また実証実験では、実際の運搬に近い環境を再現するため、国内初となる公道を一部含むルートでの試験走行を実施。これにより、自動運転トラックの実用化へ向け一歩前進させたことになる。
29日に公開した実証実験には、UDトラックスの酒巻代表取締役社長とナカノ開発統括責任者、日本通運の竹津代表取締役副社長、ホクレンの内田代表理事会長、土屋北海道副知事が列席したほか、経済産業省、国土交通省、農林水産省、自治体、農業関係団体、業界関係者、報道陣など158名が出席し、イノベーションを通じた社会課題の解決に対する関心の高さを示した。
UDトラックスの酒巻社長は記念式典の挨拶で、「人手不足という大きな社会課題に、業界の垣根を超えて、取り組んでいかなければならないと痛切に感じています。今回、商用車メーカー、物流、農業が手を組み、そして、広大な農地を持つ北海道の協力を得て実証実験を実現させることができました」とコメントした。
デモカー
TK-GPS、3D-LiDAR、ミリ波レーダー、操舵アクチュエーターなどの自動運転技術を駆使して開発された自動運転レベル4のUD大型トラックの初代デモカー
実証実験はホクレン中斜里製糖工場で砂糖の原料となるてん菜の運搬業務を想定して行われた
物流危機とイノベーション
UDトラックス、日本通運、ホクレンの3社により、2019年8月5日から8月30日にかけ、中斜里製糖工場周辺の公道から工場入口を経て、てん菜集積場、そこから加工ライン投入口へ横持ちする運搬ルートを、レベル4自動運転技術を活用し、てん菜の運搬業務の無人化を試みる共同実証実験を実施した。
この実験ではUDトラックスの大型トラック「クオン」をベースに開発された車両を使い、RTK-GPS(リアルタイムキネマティック全地球測位システム)や3D-LiDAR、ミリ波レーダー、操舵アクチュエーターなどの自動運転技術を駆使し、およそ1.3㎞の運搬ルート(公道、舗装道路、未舗装道路を含む)を時速20㎞/hで自動走行した。
また今回の実証実験では、悪天候や悪路などにおいてもより高い精度で自己車両の位置を測定するため、ネットワークRTK-GPSが導入された。これは4Gで受信するRYK基地局からの補正信号を使いGPS衛星から得られる位置情報を補正することで、誤差数センチメートルの精度を確保できる技術である。ネットワークRTK-GPSと自動運転技術を組み合わせることで、悪天候や、高い建物の近くなどGPS信号の受信状態が悪い場所でも、高精度な自動走行が可能となる。
なお、同実験では警察庁が定めた「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」の規定に基づき、車両にはドライバーが搭乗し、不測の事態に対する有人緊急操縦態勢を確保した上で実施された。さらに独自の安全対策として、公道の使用部分を閉鎖し、また公開実験での構内走行に際しては、走行ルートと観覧席の間にブロックを敷設するなど万全の安全対策が講じられた。
バックでの走行も完全自動運転になる。また、公開実験での構内走行時には走行ルートと観覧席(右上)の間にブロックを敷設するなど万全の安全対策が講じられた
実験では警察庁が定めた「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」の規定に基づきドライバーが搭乗したがステアリングに手は触れていない
農畜産物の安定輸送力の確保へ向けて
現在、年間約350万トンの農畜産物が北海道外に運ばれており、その7割をホクレンが取り扱っているが、津軽海峡を隔て遠隔地である北海道からの輸送力の確保は極めて重要なものとなる。ホクレンは第13次中期計画の重点方策として、「販売に必要不可欠な安定輸送力の確保」を掲げ、各種取り組みを行っている。一方、物流業界の人手不足などで運転手の確保は難しく、農畜産物の物流にも大きく影響を及ぼしている。
ホクレンの内田代表理事会長は「将来に向けた輸送力確保の新たな手段として自動運転車両の早期実用化に期待してます」と述べ、農畜産物の運搬業務における自動運転トラックの活用に期待感を表した。
スマートロジスティクスへの期待
少子高齢化、働き方改革の推進、厳格化する環境規制、電子商取引の拡大などによる輸送需要の変化に伴い、商用車業界や物流業界では自動運転やコネクティビティなどの次世代技術を活用した生産性や安全性を高める取り組みを積極化している。
実際の運搬に近い環境を再現するため国内初となる公道を一部含むルートでの試験走行が実施された
UDトラックスは2018年、次世代技術ロードマップ「Fujin&Raijin(風神雷神)―ビジョン2030」を次世代自動車◇トピックス発表。自動化の取り組みをロードマップの柱のひとつとして位置づけ、2030年までに完全自動運転トラックと大型電動化トラックの量産を目指している。
UDトラックスのダグラス・ナカノ開発部門統括責任者は、「レベル4技術を反復作業が中心である大規模な限定領域で活用すれば、物流は大幅に効率化されます。今回の実証実験で得られたデータを活用して、多様な物流の現場で求められるソリューションとしてのレベル4自動運転システムを開発し、ここ北の大地で、農産業そして持続可能な食糧生産を支援したいと思います。そしてさらに大規模な用途へと応用していければと考えています」と述べている。
日本通運は2017年、先端技術を活用し物流の効率化に取り組むため「ロジスティクス・エンジニアリング戦略室」を立ち上げ、自動運転技術を活用したトラック隊列走行、物流センターの無人化・省力化、人工知能(AI)活用の物流ソリューション、ドローンの多目的活用、トラックマッチング(求車求貨)のシステム化などを主要テーマとして研究・開発を推進している。
日本通運の竹津代表取締役副社長は、「これまでもお客様企業と連携、協力し様々な物流効率化に取り組んできましたが、ドライバー不足は今後深刻化していきます。物流事業者として、様々な業種、業態のお客様と取引きさせていただいていますが、その中でも、大量の貨物を、反復して同じ経路で輸送するような業務に自動運転トラックを活用することができれば、省人化や効率化が期待されます。また、工場、港湾、空港などの大規模施設内は限定空間であり、運用ルールも徹底しやすいことから比較的早期の実用化が期待できると考えます。本実証実験の結果を踏まえ、今後も引き続き、具体的な物流シーンへの活用に向けて検討していきたい」と、課題と今後の取り組みについて述べている。
イノベーションと地域活性化
自動運転などイノベーションを通じ地域活性化に取り組む動きも活発化している。北海道庁では2016年に「北海道自動車安全技術検討会」を設置し、全国に先駆けて産官学連携のもと、自動走行に関し、実証試験の円滑化と研究開発促進のための環境整備や情報提供を行っている。自動車・部品メーカーなどが道内に持つ自動運転の試験場は全国最多の28ヵ所になっている。
土屋北海道副知事は「本道の基幹産業のひとつである農業、それを支える物流は、本道はもとより、日本経済を支えており、自動運転技術など先端技術の積極的な活用による物流効率化の実現は、ますます深刻化するドライバー不足などの課題解決につながるものと期待されています。今後も、本日お集りの関係機関の皆様のご理解・ご協力のもと、産業の垣根を越えて、支援させていただくことにしています。引き続きご理解とご協力を賜りたいと思います」と述べ、自動運転の実証実験を積極的に誘致し、地域課題の解決に向け取り組んでいくことを強調した。
自動運転レベル4は高度な自動運転を実現する技術である。前方に何らかの障害物が検知された場合は車両は自動停止する
少子高齢化、働き方改革の推進、厳格化する環境規制、電子商取引の拡大などにより、商用車の自動運転技術の進展が期待されている
今後の取り組み
今回の共同実証実験は、自動運転の技術的な実証および実用化における課題の抽出を主目的として実施されたもの。UDトラックス、日本通運、ホクレンの3社は、農業の輸送効率化をはじめとする物流業界を取り巻く課題の解決に向け、今回の実験結果を検証し、各社で引き続き検討していくことになる。
なお、実証実験の動画は、“https://youtu.be/y7xO33RinaY”で見ることができる。
ホクレン中斜里製糖工場での実証実験を担当したUDスタッフ
UDトラックスについて
UDトラックスは全世界に10万人の従業員を有するボルボ・グループの一員で、世界60ヵ国以上で先進的な輸送ソリューションを提供する日本の商用車メーカーである。1935年の創業以来、「時世が求めるトラックとサービスを提供する」というビジョンを掲げ、革新的な技術の開発で業界をけん引してきている。大型トラック「クオン(Quon)」「クエスター(Quester)」から中型トラック「コンドル(Condor)」「クローナー(Croner)」、小型トラック「カゼット(Kazet)」「クーザー(Kuzer)」までのフルラインアップで世界各国の様々なユーザーニーズに対応している。
日本通運について
日本通運は、海外46ヵ国、302都市に705拠点を構える日本最大のグローバル・ロジスティクス企業である。世界を網羅するネットワークと蓄積された高度なノウハウを基盤に、国際輸送から保管・流通加工・国内配送まで、海外においても日本国内と変わらない高品質な輸送サービスを提供している。また、モーダルシフトや共同物流、ラウンドユースなど環境配慮型のサービスにより、トラックドライバー不足への対応やCO2の削減に取り組んでいる。連結従業員数71,525人、連結売上高2兆1,385億円(2019年3月31日現在)となっている。
ホクレンについて
ホクレンは、北海道内の108のJAが出資し、JAの経済事業を担うことを目的として設立された農業協同組合連合会(経済連)である。1919年の設立以来、生産者の営農活動を支える生産者支援と、消費者への食の安定供給を担っている。生産現場に不可欠な資材やエネルギーの供給、技術面・情報面でのバックアップなど、農畜産物を安定的に生産するためのサポートを行うほか、全国の消費地・消費者に安全・安心な北海道産農畜産物の供給、北海道ブランドの構築やPR活動など、新しい需要を開拓する活動も展開している。2018年度の取扱高は1兆5,301億円、道外輸送量は260万トンとなっている。
日産…「アトラスディーゼル(1.55t)」を発売
小型トラック…日産自動車
先進の安全装置搭載とクリーン&低燃費を実現
日産自動車㈱は2019年8月29日、「アトラスディーゼル(1.55t)」を全国一斉に発売した。
日産は、2019年6月にいすゞ自動車㈱と新たな小型トラックのOEM供給で合意し、協業事業契約を締結した。この契約に基づき、いすゞから小型トラック「エルフ」の1.5t積クラスの供給をうけ、日産は、同車を「アトラスディーゼル(1.55t)」として販売するもの。
アトラスディーゼル(1.55t)は、2019年9月1日以降の生産車に適応が開始される「平成28年排出ガス規制(PPNLT=ポスト・ポスト新長期規制)」に全車対応すると共に、平成27年燃費基準「+10%」を達成している。これにより、九都県市指定低公害車(平成21年基準)「超」低公害車に指定されている。加えて、「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」、「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」、「LDW(車線逸脱警報)」を含む先進安全装備をフルスーパーロー全車に標準装備し、これら先進安全装備装着車は、ASV減税の対象となる。
ちなみにASV減税とは、「衝突被害軽減ブレーキ」、「車両安定性制御装置」、「車線逸脱警報装置」を搭載する先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle)のうち、トラック・バスに対して自動車取得税・環境性能割、自動車重量税を軽減する特例措置である。
「アトラスディーゼル(1.55t)」2WD・シングルキャブ・標準ボディ・フルスーパーローDX
世界で最も厳しい排出ガス規制のポスト・ポスト新長期規制に対応した新開発の「4JZ1-TCSエンジン」(3.0L・150PS)
「アトラスディーゼル」にはインテリジェント エマージェンシーブレーキなどの先進の安全装備が搭載されている
アトラスディーゼルの概要〈エンジン〉
新開発の4JZ1-TCSエンジン(3.0Lエンジン、150PS)を採用。世界で最も厳しい排出ガス規制であるポスト・ポスト新長期規制への対応として、排出ガス後処理装置は、DPF+尿素SCRを採用。また、クラストップレベルの動力性能を実現し、燃費性能と規制対応の両立を図っている。
〈先進安全装備〉
小型トラックの安全運行を高いレベルでサポートする多彩な先進安全装備をフルスーパーロー全車に標準設定。インテリジェントエマージェンシーブレーキは、走行中ステレオカメラが、前方の車両や障害物だけでなく、静止した歩行者や自転車も検知し、衝突被害を「軽減」、または追突の「回避支援」をする。
搭載の安全装置は、①インテリジェントエマージェンシーブレーキ(衝突回避支援/衝突被害軽減/検知対象:前方車両・歩行者・自転車・障害物等)、②踏み間違い衝突防止アシスト(AMT車のみ)、③VDC(ビークルダイナミクスコントロール)、④LDW(車線逸脱警報)、⑤先行車発進お知らせ、⑥車間距離警報、となる。
また、インテリジェントエマージェンシーブレーキと踏み間違衝突防止アシスト装備車は「サポカーS(ベーシック+)」に、インテリジェントエマージェンシーブレーキ装備車は「サポカー」に該当している。
〈ラインナップ〉
トランスミッションは、AT限定免許に対応した先進のシーケンシャルマニュアルトランスミッション(2WD:6速AMT、4WD:5速AMT)を設定。2速発進を採用することにより、発進時の荷崩れが発生しにくくなる。また、高い信頼性・耐久性を持った5MTも全車に用意している。
グレードは、ベーシックな「DX」と、上級仕様の「カスタム」を用意。また、2WD/4WD、シングルキャブ/ダブルキャブなどの選択も可能とし、豊富なバリエーションが設定されている。
ドライバーの使い勝手を追求した「アトラスディーゼル」の運転席
全国希望小売価格(消費税込み)
三菱ふそう…小型バス「ローザ」2019年モデルを発売
小型バス…三菱ふそう
先進安全装置の新規搭載と排ガス規制適合など
三菱ふそうトラック・バス㈱(MFTBC)は、先進安全装置の新規搭載とインテリアの一新によって、より安全で快適な運転を可能にした小型バス「ローザ」の2019年モデルを発表した。また、小型バス「ローザ」2019年モデルは平成28年度排出ガス規制に適合し、平成27年度重量車燃費基準+10%も達成させている。
「ローザ」2019年モデルは、2019年10月より全国の三菱ふそう販売会社および三菱ふそう地域販売部門から販売が開始される。「ローザ」2019年モデルは、各種先進安全装置を新たに搭載し、小型バスの安全運転サポート機能を大幅に強化。2019年モデルの「ローザ」には、「衝突被害軽減ブレーキ(Advanced Emergency Braking System:AEBS)」、車両姿勢を検知し、カーブでの横滑り、横転等の危険性が生じた場合、車両の安定性を制御する「車両安定性制御装置(Electronic Stability Program:ESPR)」、「車両逸脱警報装置(Lane Departure Warning System:LDWS)」といった先進安全技術を小型バスにも拡大展開している。さらに、坂道発進補助装置「EZGO(イージーゴー)&ヒルスタートアシスト機能」も装備。これらの安全装備により、小型バスの安全サポート機能をさらに強化した。
また、2019年型「ローザ」はインテリアも一新し、ドライバーにとってより快適な運転を可能にした。インパネシフトなどの様々な操作系スイッチ類をドライバーの自然な手の動きに合わせた効率的な配置にしたほか、様々なインジケーターを中心部に配置。また、Bluetoothを搭載し、ハンズフリー電話にも対応するAM/FMラジオも装備した。これらの改良により、ドライバーの負担を軽減することを可能にしている。加えて、客席シートも新たな材質を採用し、快適性も向上させている。
エクステリアは、より良好な視界と視認性を確保するために先進のLEDヘッドランプを採用。これにより、夜間時の運転視認性を高めるほか、寿命が向上することでメンテナンスコストの削減にもつなげている。
MFTBCの小型バス「ローザ」は、用途に合わせたショート、ロング、スーパーロングの3つのボディタイプのラインアップを以前より展開。また、より快適な空間を通じワンランク上の乗り心地を提供する観光仕様の新たなスペシャルパッケージも展開している。5種類から選べる内装とLED式ラインライトなどを利用した高級感のある電飾装備を設置し、より快適で高級感を提供している。今回新たに安全装備の充実化に加え、インテリアとエクステリアを改良し、安全運転のサポート強化と快適な運転を実現している。MFTBCはより進化した「ローザ」を提供することで、ドライバーの高齢化や深刻な人手不足に伴う負担を軽減し、ドライバーの労働環境改善にも対応するとしている。
先進安全装置の新規搭載とインテリアの一新により安全で快適な運転を可能にした小型バス「ローザ」2019年モデル(撮影用特別仕様車)
先進安全装置の「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS:Advanced Emergency Braking System)」 イメージ図
「ローザ」2019年モデルの主な特長
〈先進安全装置〉
・衝突被害軽減ブレーキ(AEBS:Advanced Emergency Braking System)…フロントバンパーに搭載したミリ波レーダーにより、前方の走行車両または停止車両、さらに横断中の歩行者を検知し、衝突の危険を察知するとドライバーに警報を発し、衝突の危険が高まるとブレーキを自動的に作動させ、衝突回避や衝突時の被害軽減をサポート。
・車両安定性制御装置(ESPR:Electronic Stability Program)…車両姿勢を常にセンサーにて感知し、カーブでの横滑り、横転等の危険性が生じた場合、エンジン出力や4輪のブレーキ力を最適に制御し、危険回避をサポート。
・車線逸脱警報装置(LDWS:Lane Departure Warning System)…高速道路などでウィンカー操作を行なわず、車両が車線を逸脱した場合、白線認識カメラが逸脱を検知し、ドライバーにブザーとメータークラスタ内Ivis(マルチ情報システム)の表示で、安全走行を促す。
・坂道発進補助装置「EZGO(イージーゴー)&ヒルスタートアシスト機能」…「EZGO」は車両停止後にクラッチが繋がり、車両が動き始めるまで制動力を維持する装置。「ヒルスタートアシスト機能」は、ブレーキペダル解放後、数秒間制動力を保持する機能。ともに、傾斜面での車両の安定性を向上させる。
〈インテリア〉
・快適な操作性と機能性の高いコックピット…インパネシフトをはじめとする様々な操作系スイッチ類を機能的にレイアウトし、疲れを軽減し安全運転に貢献。
・BluetoothRを搭載したAM/FMラジオ…機能的な操作系デザインに加えて、Bluetoothを搭載。スマートフォンとの連携で好みの音楽を流し、ハンズフリー電話にも対応。
〈エクステリア〉
・夜間の視認性を向上させるLEDヘッドランプ(「プロライン」グレードのみ設定)
・座席シートの材質の改良…プロ・エコ・プレミアムの3種類で装備と仕様をパッケージ化。
「ローザ」2019年モデルの東京地区販売価格(消費税含む:税率10%)は、車型2RG-BE740GBA、エンジン4P10(T6)・129Kw(175PS)、AMT(DUONIC2.0)、ロングボディ29人乗り室内プロ仕様で7,585千円となっている。
フロントバンパーに搭載したミリ波レーダーを利用した「衝突被害軽減ブレーキ」
車両姿勢を常にセンサーで感知しエンジン出力やブレーキ力を制御する「車両安定性制御装置」
車両が車線を逸脱した場合にカメラが検知しドライバーに安全走行を促す 「車線逸脱警報装置」
制動力を保持する機能により傾斜面での車両の安定性を向上させる 「坂道発進補助装置」
疲れを軽減し安全運転に貢献する操作性と機能性の高いコックピット
座席シートはプロ・エコ・プレミアムの3種類の仕様をパッケージ化 (写真はプロ仕様)
座席シートの材質などを改良したほかバッケージ搭載スペースも確保したローザ観光仕様モデル
三菱ふそう…「エアロスター」2019年モデルを発売
路線バス…三菱ふそう
ドライバー異常時対応システム搭載の大型路線バス
三菱ふそうトラック・バス㈱(MFTBC)は、ドライバー異常時対応システム(Emergency Driving Stop System:EDSS)を新規搭載し、バス運転手と乗客双方の安全確保をさらに強化した大型路線バス「エアロスター」の2019年モデルを発表した。
「エアロスター」2019年モデルは、9月より全国の三菱ふそう販売会社及び三菱ふそう地域販売部門から販売が開始された。「エアロスター」2019年モデルは、EDSSを標準装備することでドライバーに異常が発生した際の緊急事態に対応し、乗客およびドライバー双方のさらなる安全確保を強化した。「エアロスター」に搭載されたEDSSは、ドライバーが安全に運転出来ない等の緊急事態が発生した場合、運転席および運転席後方の客席最前部に設置された非常ボタンを押すことで、車両を緊急停止させる安全装置。非常ボタンが押されシステムが減速を開始する時は、車内で警報音とアナウンスが流れると同時に、車外ではハザードランプの点滅とクラクションが連続吹鳴して周囲に緊急停止を通知する。これにより、バス運転手および乗客の安全サポートを強化し、公共交通手段の安全性をさらに高めることになる。
また、「エアロスター」2019年モデルは、J-OBDⅡ「車載式故障診断装置システム」規格にも対応し、高度な車載式故障診断システム(OBDシステム)を新規搭載することで、故障を確実かつ早期に検出できるようになった。加えて、視認性をさらに高めたLEDテールランプも採用し、より進化を遂げている。
バス運転手の深刻な不足や高齢化に伴い、ドライバーへの負担は増え続けており、公共交通手段への安全配慮へのニーズはますます高まっている。「エアロスター」2019年モデルはEDSSを標準装備することでこのようなニーズに対応し、多くの人びとが乗る公共路線バスの安全をさらに強化したバスとなる。「エアロスター」は、ユーザーと社会のニーズに対応し、安全性と経済性に優れた路線バスとなっている。
「エアロスター」2019年モデルの東京地区販売価格(消費税含む:税率8%)は、エンジン6M60(T6)型・199KW(270PS)、電子制御式6速ATのノンステップ・都市型・前中扉(車型:2PG-MP38FKF)で30,035千円、同ワンステップ・M尺・前中扉(車型:2PG-MP35FMF)で25,740千円となっている。
ドライバー異常時対応システムを搭載した大型路線バス「エアロスター」2019年モデル
バス運転手と乗客の安全確保のためのドライバー異常時対応システム配置図
運転席非常ボタン
客席最前部非常ボタン
視認性をさらに高めたLEDテールランプ
西濃運輸…「日野プロフィアハイブリッド」第1号車の納車式を実施
ハイブリッド車導入…西濃運輸
世界初の技術を搭載した大型ハイブリッドトラック
西濃運輸㈱(本社:岐阜県大垣市、神谷正博社長)は、日野自動車㈱が開発した世界初のハイブリッドシステム搭載の新型大型ハイブリッドトラック「日野プロフィアハイブリッド」を導入した。このたびその第1号車の登録が完了し、2019年9月4日に西濃運輸本社において納車式が行われた。
今回導入した「日野プロフィアハイブリッド」には、AIを活用した世界初のハイブリッドシステムが搭載されている。走行ルートの100㎞先までの勾配を先読みし、AIが走行負荷を予測ハイブリッド車導入…西濃運輸話題のニュートラック新製品情報・新情報西濃運輸が世界初の技術を搭載した大型ハイブリッドトラック「日野プロフィアハイブリッド」第1号車の納車式を実施し最適なハイブリッド制御を行うことで、高い環境性能を実現する。
西濃運輸は、その第1号車を9月9日より西濃運輸山口支店(山口県山口市)から大垣支店(岐阜県大垣市)間で路線運行に使用することにしている。西濃運輸は、企業市民として常に交通安全に心がけ、また環境問題にも積極的に取り組んでおり、環境問題解決の一環としてこのたび「日野プロフィアハイブリッド」を導入したもの。稼働する台数は計2台となる。
西濃運輸本社での納車式。左から日野の山口参与、西濃運輸の神谷社長、 セイノーホールディングスの田口社長、岐阜日野の田口社長、日野の渡部専務役員
世界初の技術を搭載した大型ハイブリッドトラック「日野プロフィア ハイブリッド」
いすゞ「エルフ」誕生から60年
エルフ…いすゞ自動車
世界約140ヵ国で販売され累計生産台数は650万台以上
いすゞ自動車㈱の小型トラック「エルフ」は2019年8月26日、発売から60年を迎えた。
1959年8月26日、「エルフ」は「最も効率よく荷物を運ぶ」をコンセプトにクラス初のキャブオーバー型小型トラックとして誕生。以降、時代の変化やユーザーニーズに対応しながら進化を続け、現在では日本をはじめ世界約140ヵ国で販売されている。累計生産台数は650万台を超え、シェアは日本でNo.1、海外においても多くの国でNo.1を獲得しており、ベストセラートラックとして不動の人気を誇っている。
いすゞはこれからも「エルフ」とともに「運ぶ」を支え、世界中の豊かな暮らしづくりに貢献するとしている。
なお、いすゞプラザでは、2020年4月末日まで「エルフ誕生60周年記念企画展」を開催しており、いすゞプラザでは歴代の「エルフ」を見ることができる。
「エルフ」は“最も効率よく荷物を運ぶ”をコンセプトに1959年8月26日にクラス初のキャブオーバー型小型トラックとして誕生した
新聞全国版朝刊に掲載された「エルフ」60周年を記念した広告
いすゞプラザでは2020年4月末日まで「エルフ誕生60周年記念企画展」が開催されている
国際海上コンテナ許可不要区間…特殊車両通行許可申請解説vol.2(R1.7.31)
佐久間翔一(サクマショウイチ)
埼玉県出身。1989年生まれ。早稲田大学法学部卒業。元野村證券株式会社。行政書士。埼玉県行政書士会所属。連結トレーラーや新規格車などの特殊車両通行許可申請が専門。年間許可取得件数は5,000件以上、トラック(単車)、トラクタ、トレーラーの申請台数は延べ50,000台以上の圧倒的実績により、申請業務だけでなく、迅速許可取得に関するコンサルティングまで行う。全国初の特車申請定額サービスを展開し、全国の運送事業者様の迅速な許可取得、事務作業の軽減などに資する。また、トラック協会主催の特車申請研修会の講師、地方整備局への要望書提出会議にも参加など、幅広く活躍。2019年9月より首都圏キット利用協同組合電話相談窓口も担当。
【趣旨】
平成30年3月に『重要物流道路制度』が創設され、令和元年7月31日より国際海上コンテナを運搬するセミトレーラーが特別な許可なく、重要物流道路を通行できるようになりました。ここでいう『特別な許可』とはもちろん特殊車両通行許可のことです。この制度が開始されたことで、全国約3万5千㎞の重要物流道路において、特殊車両通行許可が不要となり、大幅に事務手続きが軽減され、国際海上コンテナを運搬するセミトレーラーが機動的に運行することが可能となりました。しかし、この制度にはいくつかの注意点があります。実際に私のお客様の中でお問い合わせが多かった事項について、記載いたします。
【対象となる車両】
今回、重要物流道路を特車許可なく自由に通行できる車両は国際海上コンテナ(40ft/背高)となります。ここで注意が必要となるのは、あくまでも対象は国際海上コンテナ(40ft/背高)であり、それよりも諸元が緩い海上コンテナは対象ではないということです。例えば、海上コンテナ(20ft)、海上コンテナ(40ft・背高ではないもの)です。今回、許可なく自由に走行できる対象となる車両(40ft・背高)よりも長さ、高さの諸元が緩いものであっても本制度の対象にはならないので、注意しましょう。
【許可不要となる経路】
本制度ではすべての経路が許可不要となるわけではありません。新たに創設された重要物流道路の区間のみが許可不要となります。似たような用語に大型車誘導区間と呼ばれるものがあります。この大型車誘導区間は、大型車両の通行を望ましい経路へ誘導することで、道路の老朽化対策をするとともに一般制限値を超えた車両でも円滑に走行できるようにするための区間です。これは重要物流道路とは異なりますので注意が必要です。また、重要物流道路から外れる県道や市道ももちろん許可不要区間の対象外です。中には国道も重要物流道路から外れている場合もありますので、重要物流道路の区間把握は必要です。
【本制度を適用できる要件】
上記以外にも、本制度を適用するためには2つの要件があります。要件は以下の通りです。
①業務支援用ETC2.0車載器を搭載し、登録を受けた車両であること
②国際海上コンテナを運搬するものであることを証明する書類の携行があること
①につきましては、特車ゴールド、許可期間延長の要件にもなっています。業務支援用ETC2.0車載器を搭載し、車載器管理番号、ASLーIDをシステムに登録する必要があります。②に関しては、2種類あります。
(1)現に運搬しているコンテナに係る機器受渡証(EIR)
(2)車両を運転する者に対して運搬を指示する書面(輸出又は輸入の用に供するコンテナの運搬を指示する旨の記載があるものに限る。)
※(2)の書面は、その名称にかかわらず、以下の内容が記載されているものに限られるものとする。
1.コンテナを輸入又は輸出するための運搬である旨の記載
2.コンテナの輸出若しくは出発又は搬入若しくは到着の場所及び日時(運送年月日)
3.荷主(送又は受)名
4.コンテナの寸法
5.積予定港又は揚予定港の名称
重要物流道路走行中に道路監理員(特車取締りを行う公務員)から提示を求められた際には提示できるようにしましょう。
【まとめ】
国際海上コンテナ許可不要区間制度によって、国際海上コンテナ(40ft・背高)に関しては運行に際して大きく機動性が高まったと感じる事業者様が多いかもしれません。しかし、海上コンテナ(20ftや40ft背高ではないもの)が対象ではない点、重要物流道路以外においては今なお許可が必要となる点を考えれば、それほど大きなインパクトがあるとは思えないというのが私の率直な感想です。
特殊車両通行許可制度に関する問題点は大きく分けて、2つあると考えています。手続き面の煩雑さと審査期間の長期化です。国交省の資料を見る限り、本制度は主に審査期間の短縮に資する目的で作られていますが、実際の経路において重要物流道路のみで完結する場合はごく少なく、まじめに許可取得を行っている事業者からしてみればあまり審査期間が短縮されてはいません。
特車許可制度において新たに制度を創設する場合には是非運送事業者の許可取得手続きの実態、運行の実態を把握したうえで革新的な制度提案を行っていただきたいと切に願います。制度と実態が大きくかけ離れたままでは、物流事業者、ひいては日本の産業を支える物流業界全体に大きな影響を及ぼします。制度と実態がかけ離れている事例は他にも多々ありますので、積極的に意見を上にあげていきたいと考えております。
次回はタブレット端末による許可証携行をお伝えしたいと考えています。
特殊車両通行許可申請についてのご相談は下記まで、お気軽にお問い合わせください。
【名称】佐久間行政書士事務所
【代表者】佐久間翔一
【住所】埼玉県さいたま市中央区下落合2ー23ー51F
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国際海上コンテナ許可不要区間
eTRUCK研究中・小型車編
電動EVトラック市場投入のニュースが紙誌面を賑わすことが増えてきた。9月号では欧米系の大型車について最近の動きを一覧してみた。今回は中・小型EV商用車について最近の動きを概観してみたい。
グーグル系Sidewalk Labsが公開した衝撃の街づくり構想【後編】
9月10日、カリフォルニア州上院において、フリーランスとして働く労働者のうち一定の条件を満たさない者は請負業者ではなく従業員として分類される法案が承認され、12日に知事が署名したことで来年1月から施行されることとなりました。この法律が施行されることで大きな影響を受ける可能性があるのが、ドライバーを請負業者として扱ってきたUberやLyftなどのライドシェア企業です。
欧州、排出ガス規制に新動向温室効果ガス排出に新評価制度
9月9日、関東地方を直撃した台風15号はこれまでに経験したことの無い暴風被害を各地にもたらした。改めて自然の力の恐ろしさとその抑制策について考えなければならない。
都市交通の変革を実現
モジュラー・システムを大幅に進化させたアーバン・コンセプトEV未来の都市交通システムのアイディアを提供する“Scania NXT”スカニアがストックホルムでの公共交通サミットでNXTを初公開