アメリカのゴミ収集車作業性と運用効率に注目
月刊ITV 2018年7月号
発行:平成30年7月1日
発行所:(株)日新(HP)
執筆:大島春行・大西徳・伊藤慎介・井上元・岡雅夫・佐原輝夫・鈴木純子・中田信哉・西襄二・橋爪晃・宮代陽之
表紙・レイアウト:望月満
記事&編集:横路美亀雄・於久田幸雄
アメリカのゴミ収集車作業性と運用効率に注目
アメリカのゴミ収集車はさすがに大きい。ただ大きいと言うだけでなく、中身も先進的かつ合理的だ。住宅街で活躍する、ごみ収集車の代表例を紹介する。はじめに
アメリカでもゴミ収集は各地の自治体の主要業務の一つである。道路清掃車などと共に専用車が投入されている。此処に紹介するのは、サンフランシスコ市内で活躍するローダルLodal社製のエヴォEVOシリーズのサイドローダーだ。 ローダル社のエヴォシリーズ車の特徴は、シャシ、上物をモジュラー化し一貫して自社の設計により用途に最適な仕様で組み上げているところだ。作業の効率性を徹底追求
先ずシャシ。前輪駆動で運転席はエンジンを挟んで左右に設けられている。スライド式ドアで乗降は往来の車の邪魔にならない。ドライバー兼オペレーターはワンマンで、運転は立った姿勢でも可能だ。住宅街での収集作業は2~3軒於きに停車することもしばしばだから、低い床の立ち姿勢での乗降と移動運転は作業性が抜群だ。 前軸より前方のキャブ・駆動ユニットを標準化し、要求積載容積/積載重量に応じてホィールベースを伸縮したり後軸数を変更することに柔軟に対応出来る。タイヤはスーパーシングルタイヤで、前後全輪同サイズ。フレーム組み幅は極大化されている。ホィール総数が少ないことはタイヤ管理上有利だろう。 エンジンはユーザーの好みで選択出来る。これはアメリカの伝統的商習慣に対応している。サイドローダー方式は狭い住宅街での作業に際し必要に応じて左右のローダーを任意に使い分けられる。運転席との距離が短いことは頻繁な乗降動作との関係で疲労軽減に有利だろう。 自治体によってごみ容器(ビン)の形状は異なるので、ローダーのビンを掴むアタッチメントは選択可能だ。 サンフランシスコ市で稼働中のこの車は、EVOシリーズ車の中でも最大級のT-28型がベースのようだ。ゴミ圧縮収納部の積載容積は28立方ヤード(約21.5㎥、最大積載量は60,000ポンド(約27.4トン)、平均比重1.26の状態まで押し込む〝高圧縮型High Compaction〟と表記されている。 キャブは平鋼板の溶接構造でシンプルな造りだ。従って、ホームページに掲載されている工場設備もシンプルなものだ。 ローダル社は、アメリカ中東北部ミシガン州の最西北部、隣のウィスコンシン州と接するミシガン州の飛び地のような五大湖の一つスーペリオ湖に張り出した半島の付け根のキングスフォード市に立地している。当地のアイアン(鉄)山地の裾に位置する特装車メーカーである。サンフランシスコ市で展開するRecology運動
サンフランシスコ市の場合、家庭ゴミは毎週1回回収される。筆者がこの車を宿舎の民家前で撮影したのは火曜日だった。午前7時少し前、通勤時間帯には少々間があるといった時間帯だった。各家庭に備えられたゴミ容器は3種類に色彩分別されており、黒=埋立品、青=リサイクル品(紙・樹脂類・ガラス・金属・繊維製品)、緑=食品残渣(コンポスト・堆肥用)と決まっている。収集車のボディは内部が仕切られており、観察によれば容器(ビン)を指定のローダーで掬い上げるように操作していた。 日本では、例えば筆者の住む横浜市では火曜日と土曜が食品残渣類を含む一般ゴミ、水曜日がプラスティック包装材及び紙類、金曜日がビン・カン・小物金属類、となっており、地域により曜日は変わるが週4回の収集がある。収集車のボディに内部仕切りは無いから、曜日を変えて収集車の使い回しをするわけだが、家庭側は週4回の早朝作業が必要である。家庭側の負担で考えればサンフランシスコ方式が望ましいか? 但し、日本の各家庭のゴミ置き場の大きさから異論も当然あるだろう。(ここまでの写真は筆者撮影)他社のゴミ収集車の例
自由競争のアメリカだから、ゴミ収集車の架装メーカーは少なくない。代表例をいくつか例示しておこう。機能面で大別すると、リアローダー、フロントローダー、サイドローダーに分かれるが、中にはリアローダーとサイドローダーを兼ね備えた車もある。(例示した写真は各社のホームページから引用)新しいサービスについて
久し振りにアメリカに出かけた。サンフランシスコとベイエリアである。 サンフランシスコは、近年のモビリティの世界で話題のウーバーUberの発祥の地としても知られている。創業は2009年。更には旅行者に便利さを提供するエアビーアンドビーAirbnbの発祥の地でもある。こちらの創業年は2008年。 かのシリコンバレーに近く、IT系スタートアップ企業が事務所を構えるのに比較的ハードルが高くないということかから、近年、新しいIT企業がひしめいているともいわれる。 筆者も、滞在中の短距離移動は全てウーバーを利用した。必要な時間の15分くらい前に検索をかけると、スマホの画面に付近の地図と圏内にいるUber契約車が複数表示される。その内の応答車が決まると他の車のアイコンは消えて応答車が自分のところに刻々近づく様子が動画風に表示される。指定時刻の2~3分前には到着、ということが殆どであった。乗車前には目的地までの凡その所要時間、そして確定料金が表示されるから、安心度は高い。人数に応じて車種は選べる。 下車すると、直ちにドライバーに対する評価を問い合わせて来る。気持ちよかったらチップを支払うことも全てスマホを介してネット決済である。 宿泊施設は、予め出立前にエアビーアンドビーAirbnbを通じて予約しておいた3か所の民宿を利用した。目的と人数と希望地区を入力すると多くの候補物件が表示され、そこから空き状況を見ながらこれも全てネット経由で手配と決済ができる。いずれもビーアンドビーの宿泊部分の利用に限定されていたが、居間やキッチン、洗濯の設備は満足の行く施設であった。 長距離移動には伝統的なレンタカーを利用した。これまでの感覚では、空港でレンタカーを借りだし、帰国時に返却するというパターンが多かったが、今回はダウンタウンに拠点のあるレンタカーを長距離移動期間のみ利用し、その他はUberの活用で経済的にも負担は削減できた。空港で返却する方式はそれなりに便利ではあるが、返却場所から航空会社のチェックインカウンターまで手荷物を持っての移動は結構面倒だから、新しいモビリティサービスの利用は実感として便利な仕組みで、良い経験をした。極東開発…新型「スライドダンプ」を発売
2WAYダンプ…極東開発工業
土砂と建機運搬に2WAYで活躍する
極東開発工業㈱はこのたび、ダンプ機構とスライド機構の2つを併せ持ち、1台で2WAYの使用が可能な「スライドダンプ」を開発し、2018年6月4日に発売した。 新機種の「スライドダンプ」は、従来の土砂運搬・排出を行うことができるダンプ機構に加え、小型建機等の積込・運搬を可能とするスライド機構を装備。2つの機能のコンビネーションにより、さらに安全かつ効率的な現場作業を実現する、高い機動力を備えた新しいダンプトラックである。 希望小売価格は165.5万円(シャシ・消費税抜き)で、年間販売目標台数は360台としている。新型「スライドダンプ」の特長
(1)ダンプとスライドの2つの機構のコンビネーション 従来の土砂運搬・排出が可能なダンプ機構に加え、スライド機構を搭載。小型建機等の安全かつ確実な積込・運搬を行うことができ、現場での効率的な作業に貢献。 (2)ワイヤレスリモコンを標準装備 ボデーのスライド操作は標準装備のワイヤレスリモコンで行うことが可能で、高い操作性と安全性を確保している。 (3)スライド連動リヤジャッキを搭載 ボデーのスライド操作に連動して作動するリヤジャッキを搭載し、より効率的な作業が行える。また、樹脂製ローラを採用することで路面のキズつき防止とスムーズな動きを実現させている。 (4)テールゲートにもきめ細やかな配慮 テールゲートの上部にはステンレス製のカバーを採用。防錆性と耐久性を高め、タフな使用にも対応する。さらに、テールゲートと地面の接地部には路面のキズ付きを防止する樹脂パッドを装備するなど、現場のニーズに応えるきめ細やかな配慮を行っている。 (5)信頼の井桁構造のデッキ骨組み デッキ骨組みはメインフレームにクロスメンバーを貫通させた同社独自の井桁構造を採用。長年の歴史あるダンプトラック製造の実績と経験を生かした信頼の構造で、高い耐久性を発揮する。また、建機の乗り込み箇所には、デッキ背面の全長に渡って縦骨を配置し強化している。日野…デザイン一新と安全性向上でモデルチェンジ
トラクタ…日野自動車
「日野プロフィア」トラクターを排ガス規制に適合
日野自動車㈱は、2018年9月より適用される「平成28年排出ガス規制」に適合させるなど、大型トラック「日野プロフィア」のトラクターシリーズをモデルチェンジし、7月10日に発売する。 新型「日野プロフィア」トラクターは、2017年5月に発売された新型「日野プロフィア」同様に、エクステリアデザインとインテリアデザインを一新。トラックとしての基本性能を大幅にアップさせ、安全性能の大幅進化を実現した。PCS(衝突被害軽減ブレーキ)の機能を向上させ、停止車両や歩行者も検知して衝突回避を支援することを可能にしている。さらに、常時ハイビームを使用可能で夜間の視認性を向上させる「可変配光型LEDヘッドランプ」を標準装備するとともに、トラクター専用機能として「作業用トレーラブレーキ」を新たに追加し、安全な走行をサポートしている。また、ICTサービス用の通信端末を搭載しており、2018年4月より提供を開始した新サービス「HINO CONNECT」にも対応させている。各種ユーザー向け通知機能やウェブ閲覧機能を備えており、万一のトラブル発生時の迅速な対応につなげ、ユーザー車両のアップタイム最大化を支援。また、省燃費運転サポート機能も強化している。 さらに今回、トラクターのモデルチェンジに合わせて、従来のクルーズコントロール機能に渋滞追従機能を追加した「スキャニングクルーズⅢ」を新たに設定。この「スキャニングクルーズⅢ」はトラクターを含む「日野プロフィア」一部車型に標準装備し、ドライバーの運転負荷軽減に貢献している。プロフィア・トラクターの新たな安全装備
▽スキャニングクルーズⅢ 従来のクルーズコントロール機能「スキャニングクルーズⅡ」に、渋滞追従機能を追加。ミリ波レーダーで先行車を検出し、車間距離維持に加え、先行車が停止した場合には追従して停車。ステアリングに設置されたスイッチもしくはアクセルの操作により再発進する。高速道路走行時の運転負荷軽減に貢献する。※トラクターは410PS以上のPro Shift12搭載車に標準装備。※日野プロフィア(トラクター以外)は、380PS以上のPro Shift12搭載車に標準装備(電動冷凍車は除く)。 ▽作業用トレーラブレーキ 車両停車中にスイッチを押し続けている間、トレーラブレーキが作動。連結のロック確認などトレーラー連結の作業時に使用できる。また、作動時はブザーおよびマルチインフォメーションに表示をすることで、安全な操作を支援する。東京地区希望小売価格(代表車型)
▽日野プロフィア2(PG-SH1EDGG):ハイルーフキャブ・リヤエアサス・スキャニングクルーズⅢ標準装備、E13C〈ET-XX〉エンジン331kW(450PS)、Pro Shift12(プロシフト12)…19,337,400円(税込み) ▽日野プロフィア2(DG-SS1EKHA):ハイルーフキャブ・リーフサス・スキャニングクルーズⅡ標準装備、E13C〈ETXXⅡ〉エンジン382kW(520PS)、Pro Shift16(プロシフト16)…22,509,360円(税込み)日本初の大型LNGトラック公道走行実証を開始
航続距離1,000㎞以上の大型LNGトラック開発に向けて
日本で初めての大型LNGトラックの本格的な公道走行実証が、環境省事業「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」で開発された大型LNGトラックとLNGスタンドを使用して行われることになっている。 なお、実証に先駆けて2018年6月1日に大阪市でLNGスタンドの開所式と大型LNGトラックの出発式が行われた。 ◇環境省事業「大型LNGトラック及び、および最適燃料充填インフラの開発・実証事業」について 環境省のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業として、いすゞ自動車㈱、シェルジャパン㈱、一般財団法人環境優良車普及機構は、平成28年度から平成30年度までの3年間の予定で、「大型LNGトラック及び、最適燃料充填インフラの開発・実証事業」を実施してきた。 具体的な事業内容は、航続距離1,000㎞以上を実現する大型LNGトラックの開発を行うとともに、燃料充填インフラとなるLNGスタンドを構築し、主に東京・大阪間での高速走行を主体とした運送事業者による公道走行実証を行うもの。 本事業において開発した大型LNGトラックは、1,000㎞以上の航続距離を確保するとともに、高速走行によって最新のディーゼル重量車燃費基準からCO2排出量を10%程度削減することが可能で、運輸部門の更なるCO2排出削減に資することが期待されている。 今般、大阪市内で構築したLNGスタンドの開所式とともに大型LNGトラックの出発式を行い、大型LNGトラックの運送事業者による公道走行実証を開始する。日野…高効率輸送などの実証実験を行う新会社を設立
新会社…日野自動車