「UD新型クオンin 富士スピードウェイ」
富士スピードウエイを貸し切り
新型クオンの優れた機能を体感できる試乗会を開催
UDトラックスは新型クオン発売に合わせてサーキットでの試乗会を開催している。4年前にも茨城県の日本自動車研究所テストコースで同様のイベントが行われたが、今回は全国のサーキットで出前試乗会が開催される。九州は熊本(HSR九州)、西日本は岡山(岡山国際サーキット)、首都圏は富士、東北は仙台(スポーツランドSUGO)と渡り歩き、1万人のお客様に新型車を体感してもらう計画である。
2017年4月11日に埼玉のUD上尾本社で新車発表が行われ、上尾工場テストコースでの試乗会が行われたが、上尾では制限速度も60㎞に抑えられ、バンクでは30㎞と物足りなかったのが本音だ。日を改め今回、大型連休直前の4月27日に行われた御殿場の富士スピードウエイでの試乗会はさすがにスケールも大きく、かなり満足度高く新型車をテスト走行することが出来た。
富士スピードウエイは国際レーシングコースなのでレーシングカーは楽に時速300㎞を超えるスピードで走ることが出来る国内屈指のサーキットである。しばらく前までF1レースも開催されていたが、F1は鈴鹿サーキットだけで開催することになり、富士でのビッグレースはルマン24時間レースのシリーズで今年はトヨタとポルシェの2大ワークスチームが戦うWEC富士6時間耐久スポーツカーレースが有名だ。
富士スピードウェイホームストレートを疾走するクオン
パーフェクトクオン4軸低床ウイング車
UD新型クオンin 富士スピードウェイ
広報部牧野氏(左)、国内プロモーション工藤氏(右)
富士スピードウェイで初めて実施する試乗会概要が説明された
試乗会は午前中に50名のお客様試乗会、午後にメディア向け試乗会が行われた。御殿場は雨の多い場所だが当日は何とか曇り空で収まってくれた。コースは終日貸し切りとなっており、スピード無制限なので直線では最高速も体感することが出来る。とはいっても大型トラックはスピードリミッターが付いているので90㎞そこそこだが、高速安定性はトラックでも非常に重要なファクターであり、それを体感できるメリットは大きい。
試乗は1回目が決められたメニューに従ってのドライブ。スタートは「ECOモード」で発進しフルスロットルでのスムーズな加速感を体験する。以前のモデルで感じたモッタリ感は無くなり低回転から太いトルクでしっかり加速する。やがて第1コーナーが迫り「ディスクブレーキ」で減速。ソフトタッチだが効きは十分で滑るような感覚も皆無で、従来のドラムブレーキとは異なる乗用車的なフィーリングで安心して踏むことができる。。
コーナーを回って下り坂となるがここで「ブレーキ・ブレンディング」を試す。ブレーキペダルを踏んで排気ブレーキスイッチを入れると、3割程度の割合でエキストラエンジンブレーキが追いかけてくることが解る。これによってメインのディスクブレーキの負担を軽減させてブレーキパッドの摩耗や熱の発生も防ぐことが出来る優れものである。
コースはその先もやや下り坂が続く。そこでアクセルを離すとミッションは自動的に「N(ニュートラル)」に入る。今回改良されたESCOT Ⅵの特徴である自動「ESCOT ロール」機能が効力を発揮してスピードを落とし過ぎずに慣性力で走行し燃費を向上させるクオン独自の取り組みである。
新型クオンの目玉の一つ、総輪ディスクブレーキ
もう一つの目玉、ESCOT Ⅵ
展示車として用意された2台も商品説明に役立っていた。4軸エアサス車は後軸のみエアサスだが今後総軸エアサスも追加される
従来のモデルではわざわざESCOT ロールのスイッチを作動させなければならなかったが、新型ではコンピュータが自動制御してくれる。
その後排気ブレーキをこまめに使いながら100Rを曲がり、アドバンコーナーと呼ばれるヘアピンカーブに入る。通常はここの立ち上がりで全力加速するところだが、今回はゆっくり走ってその先の下り坂で一旦停止してストレートシフトパターンになったESCOT ⅥのシフトレバーをR(リバース)に入れ上り坂をバック走行する。いかにスムーズなクラッチミートでバックできるかがよくわかることと、バックもシフトの“+-”スイッチ操作でハイロー2速に切り替えることもできる。“+”スイッチで高速でのバック、“-”スイッチでは駆動力と低速重視のバックと2段階を使い分けることが出来る。バックで気を遣う「プラットフォーム着け」も全くギクシャクせずに行えそうである。完全一方通行で広いサーキットを占有しているのでどのような走行パターンも体験できるところがサーキット試乗会の利点である。
ハイルーフダンプ・カスタム仕様車
4軸車のエアサスペンション
ハイルーフの天井は手を伸ばしてようやく届く
サーキットでの試乗はやはり一味違う
再び前進に戻りここから最終コーナーまで上り坂が続く。そこでステアリングにある「ECO・OFF」スイッチを押してパワーモードにすることでやや燃費は低下するが力強い走りを得られる。しかし爆発的にパワーが出るわけではないのでこれだけ十分なトルクのあるエンジンであればECOモードのままでも十分ではないかと思われた。その先にダンロップコーナー、13コーナー、プリウスコーナー、パナソニックコーナー(最終コーナー)と忙しくコーナーが続くが、シフトダウンして加速し、思い切って最終コーナーを立ち上がるとあっという間に最高速リミッターに到達する。直線では前を走行している試乗車が停止しているので衝突被害軽減ブレーキの実験も出来なくはないが、そこまでは許してもらえなかった。
1周目で習熟走行ができたところで2周目はフリー走行となる。折角のサーキットであるから思う存分楽しみたいところだが、そこは大型トラックなのでコーナーを攻め過ぎたりしてうっかり転倒でもしたら大変なのでそこそこのスピードで走ったが、やはり総重量20トンの重みは少なからず感じる。コーナリングでは車が重いというよりも荷物をしっかり積んでいる全体の慣性力が働いてそれ以上は危ないですよと教えられている感覚である。
コーナリング中一つ気になったことはステアリングスイッチ採用などで中心部分が大きくなったステアリングホイールが角度によってメーターのシフト表示を隠してしまい(右ページ下写真)、今何速で走っているか確認できなかったことである。通常何速か確認する必要性はあまり無いが表示はいつも見えていた方がストレスにならないと思えるので将来的には改良してもらいたい。贅沢を言えばヘッドアップディスプレイでスピードとシフト位が解ると理想的なのだがコストを考えると難しいのだろうと考えてしまう。高速の安定感はさすがにしっかりしており長距離走行を十分に考えられた設計であることが解る。
今回試乗車として用意されたのは4軸低床車3台と3軸車2台であった。何れも390PS、総重量20トン、全てESCOT Ⅵ車、タイヤはミックスラジアルであった。他に展示車としてハイルーフダンプ・カスタム仕様車、4軸低床シャシーが用意されていた。ハイルーフの天井は立って手を伸ばしてようやく届くほど高く、豪華なカスタム仕様とも相まって個人ユーザーの心をくすぐらせる魅力に溢れていた。商品説明ステーションも上尾エクスペリエンスセンター同様のコーナーが設けられ試乗の合間に説明が行われた。
広いスピードウェイなのでコースをフルに使い操縦性を体感する
「UD新型クオンin 富士スピードウェイ」
空いた時間にピットに置いてあった3トン車「KAZET」に試乗し、スタートからゴールまでいかに60秒間に近づけたタイムで走ることが出来るかのゲームも行われていた。筆者も当然参加したが1回目は早着、2回目はやや遅刻で減点1割以内だったからまあ満足しなくてはいけないだろう。やはり大型車から乗り換えると小型トラックがいかに楽な気持ちで運転できるかがわかる。これはクオンが乗りにくいという訳ではなくて、いかに広いサーキットコースとはいえ普段乗り慣れない大型トラックの運転はそれなりに緊張するものだという意味である。
一連の試乗が終了した後、現役トラックドライバーでモデルの渡辺かなえさんが試乗車でコースを1周し、フォトセッションの後トークショーが行われた。そもそも実家が重機リース業で18歳で4トン車に乗り、20歳で大型免許とけん引免許を取り大型トラックに乗り続ける傍らモデル業も行う彼女は新型クオンについて、乗り心地の良さと乗用車のようなスムーズさ、そしてESCOT Ⅵが印象に残ったようで、ATMの魅力が一般化して乗って楽しいトラックが登場したと語った。
最後にプレスブリーフィングも行われ、芝崎VPは「従来のクオンも試乗会に力は入れていたが新型クオンでは今年中に1万人を超えるお客様に試乗してもらい、特にESCOT Ⅵとディスクブレーキについて体感いただきシェアを伸ばしていきたい。乗っていただくことによって良さがわかるのが新型クオンだ」と語った。
モデルで大型トラックドライバーの渡辺かなえさん
スピードウェイを1周ドライブしてポーズに応じる渡辺かなえさん
渡辺かなえさんとクオンキャンペーンガール
トークショーも行われた
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油圧屋が作るクレーン付原木運搬車顧客が儲けられるための営業が基本燃費3割削減可能を実現するトラック開発
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断熱性能アップとボデー軽量化を実現させたウレタンフォーミング材採用の新パネルバン
日本トレクス㈱は、日本初の技術を導入した新タイプのパネルバンを発表した。新しく生まれ変わったトレクスのフラットパネルバンは、オープンフォーミング工法によるウレタンサンドイッチパネルを採用したもので、断熱性能の向上と軽量化による積載量のアップを実現させている。