1. 中古トラック販売のトラック流通センター
  2. ITV(旧The TRUCK)バックナンバー
  3. 【対談】鳥居伸雄 埼玉県トラック協会 会長
  4. 【対談】鳥居伸雄 埼玉県トラック協会 会長

    トラックメーカー研究
    UDトラックスの新エクスペリエンスセンター(EC)外観
    敷地面積○○○○㎡、建屋延べ床面積××××㎡
    延べ床面積は1Fが3000㎡、2Fカンファレンス用360㎡
    周回テストコースに直結して試乗ができる
    ECのエントランス
    TheTRUCK2015年6月号18
    UDトラックス
    新エクスペリエンス
    センター開所
    UDトラックス㈱(代表取締役社長
    村上吉弘氏 以下、UDT)は5月8
    日、上尾工場内に新たにUDエクス
    ペリエンスセンター(以下、EC)を
    開設した。この施設はユーザーとの
    コミュニケーションを一層高める同社
    のソフトパワー強化策の一環としてか
    ねて計画されていたものである。
    西襄二
    高い天井の1階にはユーザーと懇談するコーナーも設けられている
    ECの運営に当たる7人の侍(左から松尾、岸、野崎、関口、ハガス、雪下、石田の各氏)
    TheTRUCK2015年6月号19
    長年の夢が実現
     UDT上尾工場内には延長1.1kmの周回テスト
    コースがあり、主として生産車の完成検査と衝突実
    験などの目的で使用されているが、この敷地の内側
    のスキッドパッ(旋回性能テスト場)に隣接する敷地
    にECは新築され開場したものである。
     当日の報道関係者に対するお披露目の席で岸信彦
    副社長は「新車等のプレゼンテーションと試乗が一体
    的に行えることが最大の特徴となるこの施設の完成に
    より、UD車に対する理解と親しみ、性能を肌で感じ
    とることができる。何よ
    り、お客様と直に接して
    コミュニケーションが深
    められる。と開設の意
    義をのべた。
     裏返していえば、長
    年、こうしたコンセプト
    に裏付けられた施設を望
    む販社を含めたグルー
    プ内の声がふつふつとし
    ていたものが漸く実現で
    きたわけで、お披露目
    に立ち会ったUDT生え
    抜きの幹部が抱いた感
    慨は熱く深いもののよう
    に感じられた。
    トラックメーカー研究
    デザインコアコンセプトのヘキサゴン(6角形)
    1階は展示用途のほか整備研修などにも利用される多目的デザインだ
    パワートレーンの展示コーナー
    デザインコンセプト展示コーナー
    TheTRUCK2015年6月号
    20
    ボルボグループ一員として
        一層の飛躍を期す
     2010年に現在の社名に変更し、ボルボトラックス
    グループの世界戦略の中で存在感を示すようになった
    当社だが、商品戦略で目に見える変化を受容しつつ、
    企業文化(コーポレートカルチャー)面では1938年
    の創業以来培ってきたUDのDNAが1923年創業
    といわれるボルボ社のDNAと出会い、互いに理解
    し合う過渡期に現在はあるといえよう。
     こうした過渡期には様々な葛藤が社内に渦巻いた
    であろうことは想像に難くない。資本の論理と一口に
    は片付けられない人間の感情と価値観のぶつかり合
    いが新しい企業文化に生み育ってゆく、ここ数年はそ
    の過程でもあった筈だが、今回のエクスペリエンスセ
    ンター(EC)の開設にはボルボ側の力が主導したよう
    だ。これにより、二つのDNAの融和は一層進んだ
    といえよう。
     筆者は2014年6月に訪ねたスウエーデン・イエ
    テボリのボルボトラック製造工場及びその地のボルボ
    販社の様々な側面を観察する機会があった。その中に
    はユーザー及び立地する地域社会との関係を重視す
    る企業文化を肌で感じ取ることも含まれているが、今
    回の上尾ECは前述した二つの企業文化の融和の一
    つの象徴と映った。
    デザインコンセプト
    のヘキサゴン
    SMART
    巧み
    HARMONIZED
    調和
    TOUGH
    強さ
    DISTINCTIVE
    個性
    SUPPORTIVE
    支援
    CARING
    配慮
    この部分は背後に巨大スクリーンが仕込まれており迫力有るプレゼンテーションに利用される
    最新のQUON車海外展開するQUESTA車のフロントグリルもこのヘキサゴンが反映され
    ている
    2階のフロアでQ&Aセッションに臨んだスタッフ(左から雪下、野崎、関口、松尾、岸、石田の各氏)
    背後の天井に巨大スクリーンが収納されている
    TheTRUCK2015年6月号21
    トラックメーカー研究
    TheTRUCK2015年6月号22
     下表に、当日案内してくれた新ECの運営にあたる
    6人の幹部の所属と職位、そして新ECの運営に当
    たる抱負などを整理してあるが、賢明な読者はこの文
    面からも筆者が感じ取ったことの側面を共感されるの
    ではないかと思う。
     現在のUDTが、ボルボトラックスグループの世界
    戦略の中で、存在感を高め業績面でもより強固な実績
    を積んでゆくことが期待される。
    お名前雪下直明氏野崎充宏氏関口 徹氏松尾泰造氏岸 信彦氏石田智久氏
    ご所属
    ブランドマネジメン
    シニアマネージャー
    ジャパンセールス 
    アフターマーケット 
    ダイレクター
    VolvoGroup
    TruckTechnology,
    CompleteVehicle,
    ProductDesign,
    ChiefDesigner
    ValueSegment
    Director
    VehicleProduct
    Management
    UDTrucksBrand
    andProductline
    UDトラックス  
    グローバルブラン
    プロダクトストラテ
    ジー
    バイスプレジデント 
    UDBrand&
    ProductLine
    BrandStrategy
    andMarketing
    Communication
    ご経歴
    1993年 
    日産ディーゼル工業
    (当時)入社人事部
    人材開発課
    2007年
    日産ディーゼル工
    業株式会社(当時)
    UDトラスト兼サービ
    ス担当部長
    ProductDesignのみ
    (ExteriorDesign,
    InteriorDesign,
    Color&Material
    DesignàChief
    Designer)
    約25年間、海外事
    業部門でマーケティ
    ング業務に従事。
    1988〜1992年に
    タイに駐在しUD販
    売網を立ち上げた。
    2009年より商品企
    画業務に従事し、現
    在に至る。
    UDトラックス   
    グローバルブラン
    プロダクトストラテ
    ジー 
    バイスプレジデン
    情報システム部門
    国内営業部門
    マーケティング部門
    現在、UDエクスペ
    リエンス責任者
    1999年
    日産ディーゼル三重
    販売出向
    2008年
    九州日産ディーゼル
    専務取締役営業本
    部長
    2000年
    日本ボルボ株式会社
    ボルボ・トラク事業
    部製品技術部
    1999年
    日産ディーゼル三重
    販売出向
    2004年
    国内マーケティング
    営業企画担当
    2010年1月
    UDトラクスジャパン
    専務取締役Cソフ
    ビジネス本部長
    2001年ー2007年
    日本ボルボ株式会社
    ボルボ・トラク事業
    部製品技術部課長
    2004年
    国内マーケティング
    営業企画担当
    2006年
    マーケティング企画部
    2011年1月
    UDトラックス株式会
    社 現職
    2007年ー2009年
    アジア・トラック・オ
    ペレーションズプロ
    ダクトプランニング
    マネージャー
    2006年
    マーケティング企画
    2008年
    ブランド・マーケティ
    ング企画部ブラン
    担当
    2010年ー2011年
    トラックス・アジアス
    ラテジクプランニング
    ゼネラルマネージャー
    2008年
    ブランド・マーケティ
    ング企画部ブラン
    担当
    2012年
    UDトラックスグロー
    バルブラン
    ブランドマネジメント
    2012年
    UDトラックスグロー
    バルブラン
    ブランドマネジメント
    EXでの役割
    多くのお客様に驚き
    と感動を提供できる
    うなプログラムのコ
    ンテンツ開発とブラン
    ド戦略の構築
    EXで展示・発信する
    UDアフターマーケット
    の商品、コンセプト、
    活動の開発、および
    試乗でその取り組み
    実践すると。
    ブランド部門と連携
    し、ProductDesig-
    nのCoreConcept
    を表現したUDの最
    新デザインをFuture
    Zoneでお見せして
    いく。
    製品説明などが必要
    な企画では、今回
    のよなプレゼンを担
    当する。また、お客
    様が楽しめるような
    イベントの企画を提
    案・実行する。
    コンテンツの提案、
    同施設でのイベン
    開催などでのご挨拶
    など
    責任者としての運営
    管理
    EX開所に当
    たっての所感
    これまでにも増して多
    くのお客様にUDブ
    ランドを体感していた
    だき、情報発信源の
    1つとして、エクスペ
    リエンスセンターを育
    てていきたいと考え
    ています。
    お客様に対しUDブ
    ランドを直接発信で
    きる象徴的な施設だ
    と感じています。1
    人でも多くの方にご
    来場いただくことが
    我々の使命だと思い
    ます。
    ProductDesignと
    して独立した形で対
    外的にお披露目で
    きる機会と場が得ら
    れた事を大変嬉しく
    思っています。
    今後は、モックアッ
    プなども使い、来館
    者の方々に最新の
    UDDesignを、よ
    り解りやすい形で表
    現が出来ればと考え
    ています。
    展示と試乗の両輪を
    持つ良い「箱」ができ
    たと思うので、これを
    いかに活用するか、
    またお客様に喜んで
    いただけるかを念頭
    に、具体的なコンテ
    ンツを作成していき
    たい。また、多くの
    お客様にUDトラッ
    スを正しく理解してい
    ただき、UDファンを
    多く作っていきたい。
    らに、UDエキスペ
    リエンスセンターをお
    客様との出会いの場
    して、また双方向
    のコミュニケーショ
    の場としても活用し
    ていきたい。
    〈当日のスピーチ〉
    ご案内の通り、本日
    ここに、新たなUD
    エクペリエンスセン
    ターがオープンしま
    す。まずはメディア向
    けの方に本日ご紹介
    し、明日以降お客様
    を招いて、施設と
    ての本格的な稼動を
    開始します。施設の
    詳細はこの後に皆さ
    ん自身で確かめてい
    ただきますから、私、
    岸からはこの施設の
    位置づけを皆さんに
    ご説明したいと思い
    ます。[以下、別掲
    P.35に続く]
    足かけ3年に渡っ
    て、試行錯誤で進め
    てきた「UDエクスペ
    リエンス」プログラム
    は、社内外合わせて
    累計1万1千人の参
    加者に達しました。
    これまでの経験を元
    に、お客様や様々な
    来場者に有意義な
    時間を過ごしてもらえ
    るようなプログラムを
    今後も提供し続けた
    いと思っています。
    お断り1)経歴表記に和文表記と英文表記が混在していますが、原文のままとしました。 2)その他の部分はご本人による原文のままとしました。
       3)岸氏のスピーチの続きは35頁に掲載しました。
    UDトラックスエクスペリアセンター (EX)開所記念 本誌独占インタビュー
    (聞き手:筆者)
    TheTRUCK2015年6月号23
    2010年にUDトラックスとなって以降、いくつか
    の大きな節目を迎えています。クエスターやクオンの新
    車開発・発表もそうですが、お客様との関わり方、接
    点についても様々な新たな取り組みを始めています。
    ディーラー施設のリニューアルもその一環ですし、昨
    年は新生クオンの発表会、安達堅造の最初の試走か
    ら75年を記念したキャラバン・イベント、またカゼッ
    RKの試乗会などを行いました。いずれも商品あるい
    は会社としてUDにある様々な側面を知っていただく
    場を増やそうとしてきました。それはUDトラックスを
    単なる社名としてだけでなく、お客様に強く信頼される
    ブランドでありたいという、という願いからです。
    自動車メーカーにとっては、いつでも、商品が会社
    の評価につながる大きな存在ですが、唯一絶対では
    ありません。我々が大切にすべきこと、自覚すべきこ
    とを認識したり、お客様の意見を聞いたり取り引き先
    に共感いただいたりするには、我々自身がお客様と
    の対話の場を、それも多様な形で増やすことが大切
    だと考えています。従来とは若干違った発表会や試
    乗会を、UDが行ってきたひとつの理由がここにあり
    ます。しかし、こうしたいわば会社の活動に込めた我々
    の思いを伝える手段は、どうしても新車発表などによ
    ることが大きく、その頻度の多くないトラックでは、
    機会が豊富にあるとは言えません。今回常設の新し
    いUDエクペリエンスセンターを得ては、我々の商品
    と考えを、具体的に触ったり、動かしたりしながら伝
    えうることができる、非常に効果的な施設であり重要
    な場所です。
    このいわば実物大のプレゼンの場は、2013年に
    工場の一角を借りながらスタートしました。企業紹介、
    車両紹介、工場見学、試乗などを組み合わせたプロ
    グラムは、まだ日は浅いですが既に約1万人の方が
    お見えになり、ユーザーや物流企業など外部のお客様
    はもちろん、時に社内向けにも新車の発表会なども使
    われています。2年足らずで早くも社内外に定着し、
    なくてはならない場になりました。
    今回はテストコースの一角に専用の建屋を建設する
    ことで、お客様をお迎えして対話を育む本格的な場所
    ができました。「本格的」の意味するところは、この広
    くて高さのある大きな展示スペース、バスも横付けで
    きる広いエントランスと駐車場、清潔で十分なトイレ
    や食事も可能で収容力も増えた2階のラウンジスペー
    スなどを指しています。これはいままでの運営で培っ
    た経験を生かした設計になっています。
    そして最大の特徴が、プレゼンと試乗を一体化した
    流れで提供できるという、理想的な形でまとめること
    ができたその立地です。ご承知の通り、クオンやコン
    ドルの魅力は乗って走って初めて分かる部分も少なく
    ありませんが、乗れる場所は限られています。毎度、
    テストコースへお客様をご足労願うわけにもいきませ
    ん。しかしエクペリエンスセンター建設により、我々
    の考え方とその結実である商品を、お客様にとって快
    適な環境で、UDについて包括的に分かっていただく
    ことが可能になります。我々の考えと車に触れていた
    だき、さらには敷地内で「もの作り」も目で確認いただ
    ける、UDトラックスに取って大変重要な発信源です。
    加えて日ごろの営業活動を効果的に補完できる場所と
    しても期待しています。
    ここに備えた展示物は、クオンやコンドルなど主要
    車種、ドライブラインやデザイン主眼に加えて、日頃
    説明が難しいアフターマーケット特にテレマティクス・
    UDインフォメーションサービスについてコーナーを設
    けてあり、UDの持ついくつかの側面を用いてお客様
    と多角的な対話が可能なよう配慮しています。もちろ
    ん人気の昭和のヒストリックトラックなど歴史コーナー
    も充実させました。そして会社創立80年の記念活動
    も、新UDエクペリエンスセンターの開所と同時にス
    タートします。今回は、オープニングに際し、九州の
    福岡運輸株式会社様からも、同社の保有車両である
    レストアされたT80Gの冷凍車を特別にお借りして、
    歴史コーナーにさらに華を添えることができました。こ
    の場をお借りしてお礼申し上げたいと思います。
    ご覧いただくように立派な施設が完成しましたが、
    もちろん運用という意味ではこれからがスタートです。
    ここに本年は昨年にも増してさらに大勢のお客様をお
    呼びし、UDを知って理解していただき、UD愛好ユー
    ザーをもっと増やしていきたいと思います。どしどし上
    尾にお客様をお連れしたいと思います。また我々も、
    この施設と立地を利用した活用方法を広げたり、展示
    をさらに効果的にしていきたいと思います。ここにメ
    ディアの方をまたお呼びできるよう、いろいろ企画を
    考えていかなければいけないと思っています。
    ちょっと長くなってしまいましたが、今日のオープニ
    ングを今日ここにいる方皆さんと分かち合い、新UD
    エクスペリエンスセンター開所の言葉としたいと思い
    ます。本日はありがとうございました。
    TheTRUCK2015年6月号24
     埼玉県は貿易港や臨海工業地帯はないが、人口数・県内総生産共
    に全国第5位で、人口密度は東京都、大阪府、神奈川県に次ぐ第4
    位である。また農業産出額は第17位であるが、ネギやホウレンソウ、
    ブロッコリーなどの産出額が全国5位以内に入る農業県でもある。
    県の西側(秩父地域)は山が多いが、それ以外の地域は関東平野の一
    部をなす。平地部は東京に隣接する南側ほど人口が密集し、逆に北側
    ほど農地が多い。埼玉県の形状は、東西約103㎞、南北約52㎞と
    東西方向に長い。県内は首都高速・東京外環道・関越・東北・常磐・
    圏央道など高速道路が多く集まり、高速道路の整備が進展している。
    県東部は関東平野に位置しており、全体的に低地で平坦な土地が多く、
    利根川と荒川、中川に挟まれた地域は大宮台地が南北に広がっている。
     利根川の支流である江戸川と中川が流れているほか、その支流も
    数多く流れている。しかし、河床勾配が緩く、蛇行している川も多い
    ので洪水が起きやすい地域で、21世紀に入っても首都圏外郭放水路
    や大相模調節池などの治水事業が行われている。東京に隣接している
    こともあって、他県からのトラック業者の流入が増加している。今回は
    一般社団法人埼玉県トラック協会(以下、埼ト協)の鳥居伸雄会長(西武
    通運㈱社長)に協会の取組みなど伺った。
    トラック協会長インタビュー《埼玉県》
    鳥居伸雄
    (西武通運株式会社)
    圏央道の開通で
    物流拠点の好立地に発展
    交通環境フェアで
    子供絵画コンクールも実施
    TheTRUCK2015年6月号25
    一般社団法人埼玉県トラック協会の鳥居伸雄会長
    秋林路 私は40余年前の駆け出しがトラック運送
    の担当記者でしたが、事業者さんは当時と随分変わっ
    たな、と思います。昔はもっドロ臭い感じで、昼夜
    を問わず働いて稼ぎまるイメージの業界でした。今
    は規律正しく垢抜けている。でも儲からない。やはり
    若者がロマンを感じないところにドライバー不足の原
    因があるように思 います 。
    鳥 居 今は運送も襟を正してキチンとした商売を
    しないと成り立たない時代です。やはり荷主さんの大
    切な荷物をお預かりする訳ですし、ライフラインを支え
    る社会的責任も昔とは少し変わって来たと思います。
    秋林路 でも事業者さんの中には社会保険にも入
    れないし、ドライバーさんに支払う賃金も一般企業の
    平均を大きく下回る業者も少なくありません。
    鳥 居 全ての事業者がそういう状況という訳で
    はないのですが、二次・三次の下請けや無理して参
    入する業者もあるので、全体として“花形産業”にほ
    ど遠いイメージになっています。
    TheTRUCK2015年6月号26
    運送業の役割は飛行機のタイヤに似ている
    秋林路 震災などで緊急物資輸送に当たる際は高
    く評 価されますが、その割にはトラック輸送の社会的
    地位が低すぎるように感じます 。
    鳥 居 我々の業界はその役割が飛行機のタイヤ
    とよく似ています。 つまり、離陸する時は最後まで踏
    ん張って機体を支えるし、着陸する時には最初に飛
    び出して機体を支えます。機体が安定飛行に入ると
    格納されているので、その役割が見えません(笑)
    ただ、トラク輸送が経済活動の下支えをしていると
    いう自負は昔とは大きく違っていると思います。
    秋林路 役所のイメージも随分変わりした。昔の
    運輸省は運送事業者免許を出す場合も「認可してや
    る」という態度でしたが、今は運送事業を行政の立場
    で支える考えです。ドライバー不足になれば女性労
    働力を活用する為に“トラガール”というホームページ
    を開設するし、運賃も書面で契約(ペーパー化)する
    う指導しています。本誌は昨年一年間、政治家の
    皆さんとドライバー不足、運賃問題を論議して来まし
    たが、多少は貢献したのかな、と思っています。
    鳥 居 確かに国土交通省もトラク輸送が国民
    生活に果たす役割が大きい事を認識頂いて、高速道
    路の通行料金や燃料問題にも積極的に対応頂いて
    いるように思 います。
    秋林路 ただ根本はトラック運賃が他の物価に比
    較して不当に低いことが、ドライバー不足を招いてい
    るのだと思います。先般、NHKが北海道トラック協会
    を取材して、ドライバー不足で物が運べなくなる可能
    性を取り上げ、物価への影響も報道していました。や
    はり、荷主も産地から消費地へ物を届ける為には、コ
    トがかかるという事を認識しはじめているし、物流費
    に占める運賃の割合もキチンと分析して確保する議論
    が進んでいるように思います 。 運 賃を下 げることが 荷
    主に貢献するのではなくて、荷傷みもなくタイムリーに
    荷を届けることがホントの荷主貢献ですから、適正運
    賃はキチンと頂かないと業界がなり立ちません。
    鳥 居 全日本トラック協会が打ち出している適正
    運賃の収受は、我々も賛成しています。あとは業者
    の皆さんが荷主としっかり交渉して頂くことに尽きるの
    ではないかと思います。
    秋林路 こういう話を荷主に尋ねてみると、物流コ
    トを下げる為に運賃交渉することもあるが、運送事
    業者が「運賃を下げるから荷物を欲しい。と言ってく
    場合も少なくないと言います。全ト協は適正運賃の収
    受に積極的に取り組んでいるのに、業者が勝手にダン
    ングするのでは、何時までたっても改善されません。
    鳥 居 そうですね。我々も安全・安心を担保す
    る中で、襟を正してキチンとやる業者が荷を扱かわせ
    て頂くべきだと思いますが、中には昔ながらのやり方
    で秩序を乱す業者がいることも確かです。運賃問題
    は協会として数字を示すことが出来ない問題ですか
    ら、この辺りが難しいところです。
    秋林路  そういう意味 ではNHKがこのままではドラ
    イバー不足で消費地に荷が届かなくなる可能性があ
    ることを報道したのは、世論づくりの面で高く評価出
    来ます。
    鳥 居 北海道も九州も、多量の産物を捌く為に
    は大消費地に運ぶしかない。しかし、ひとりの運転手
    のハンドル時間には制限があるので、ワンマンでは難
    しいし、高速道路を走るしかない場合もあります。そ
    こにはコストがかかっている訳ですから、それを正当
    に主張できる業界にならなくてはなりません。
    秋林路 この業界が構造不況に陥った原因は物
    TheTRUCK2015年6月号27
    埼玉は物流面で重要な地域に……
    流二法に遡ると思いますが、あの法律は競争原理を
    働かせて物価高騰を抑制する意味がありますので、
    庶民の立場に立てばけっして間違っていません。た
    だ競争も「過ぎたるは及ばざるが如し」で、やはり、過
    ぎると活力も削がれてしまう。若い人がこの業界に魅
    力を感じないのはそういうところではないでしようか。
    鳥 居 確かに荷主の物流コスト低減には我々の
    業界も貢献して来たと思いますが、このままではドライ
    バー不足で物を届けることが困難になる事も理解し始
    めているように思 います 。
    秋林路 そうですね。荷主の中には対応策として
    “物流の共同化”に動いているグループもありますが、
    根本を見直さないとドライバー不足は解決しないように
    思います。埼ト協の会員数は現在何社ですか。
    鳥 居 会員数は約2200社で平均保有台数は
    約27台です。大手さんもいらっしゃいますが、やはり
    小規模業者が多い協会です。
    秋林路 県内の産業としてはどんな特色があるの
    ですか。
    鳥 居 狭山市にホンダの埼玉製作所があります
    し、川口にも鋳物工場が沢山あります。また農産物
    も豊富な地域です。アクセスは東京外環道に加えて
    間もなく圏央道が完成しますし、縦の線(南北)では
    関越、東北、常磐自動車道があります。立地として
    は東京に隣接していますので、この好アクセスを利用
    して都内への配送も便利です。
    秋林路 圏央道が完成すると物流も大きく変わる
    のではないでしうか。
    鳥 居 現在、圏央道に面して沢山の物流倉庫
    が建設されています。この倉庫は地方から大量輸送
    してきたものを一時保管し、タイング良く都内へ配送
    する役割があります。そういう事もあってこの埼玉県
    は県外からの業者流入も多くなっています。
    秋林路 神奈川県は東名や中央高速の関係で厚
    木周辺に物流倉庫が増えているようです 。
    鳥 居 実は厚木から埼玉の西部地区までは30
    分ほどですから、西からの貨物も圏央道を経由して
    埼玉に来ます。これから物流が大きく変わると思い
    ます。
    秋林路 東京は土地も高いし規制も厳しいので、
    拠点を少し離れた埼玉に出す業者は多くなるでしょ
    う。トラックですから少し離れていても時間的には問
    題ないですからね。
    鳥 居 東京に用地がないので埼玉に車庫をもつ
    ケースもあります。実は埼玉は地盤が非常に強固で
    あることも特長のひとつです。また海にも面していない
    ので災害に強い地域でもあります。
    秋林路 なるほど、それは安心ですね。
    鳥 居 そういう事です。しかも東京に近いので
    東京支店とか東京営業所の看板を掲げている業者も
    います。
    秋林路 これから東京は大型車の乗り入れ規制な
    ど色々制約が出てくるので、物流業者の流出は益々
    増えると思います。その受け皿としての役割もあり
    すね。現在、関西では都構想が進められていますが、
    東京は首都圏全体を対象にした1ランク上の行政区
    域を考える時代も来るのではないでしうか。
    鳥 居 あまり議論が発展しませんでしたが、何
    年か前に“州”の構想が出たことがあります。
    秋林路 大きな災害が発生した場合、緊急物資
    の輸送でもこの業界は期待されていますね。
    TheTRUCK2015年6月号28
    (上)(下)交通安全環境フェア風景
    働く自動車:タンクローリー
    鳥 居 埼玉は県を含めて64の市町村があり
    すが、有事の際の防災協定は約2年前に全て終了
    しています。
    秋林路 埼ト協として取り組んでおられる会員支援
    は何かありますか。
    鳥 居 沢山あります。そのひとつに、なんでもプ
    ロ顧問団(弁護士、税理士、社労士、行政書士)
    中小企業診断士を活用した経営支援課による取り組
    みがあります。運送事業を経営していると、様々な
    問題が発生しますので、その分野のスペシャリストに
    お願いして会員の相談にのって頂く体制を整えていま
    す。埼ト協としましては、運送事業者の為になる活動
    を粘り強く続けることで、会員をサポーして行きたい
    と考えています
    秋林路 そうですね、東京に隣接しているので今
    後夢のある話も多くなると思います。冒頭でドライバー
    不足と運賃の問題を伺いましたが、埼ト協として具体
    的に取り組んでおられる対策はあるのですか。
    鳥 居 前会長の横塚(正秋)さんが人材確保と
    安全対策の特別委員会を設置されまして、どうやって
    若い人を募集すれば良いのか、といった研究会を重
    ねて来ました。また、高校を訪問して先生方との意
    見交換も行っています。その結果、トラック業界に入
    りたいと思う生徒がいても親御さんが反対するケース
    もある事が分かってきした。全ト協もドライバー不足
    には積極的に取り組んでいますが、女性の採用も荷
    役作業の関係もあるので、大変難しい問題です。
    秋林路 やはり一番は運賃を上げて待遇アップを
    図ることだと思いますが、この業界には夢を実現させ
    てくれる何かがある、と感じさせるものを構築する必
    要があるように思 います 。
    鳥 居 先ずはイメージアプからですが、内容も
    大切です。
    秋林路 その意味では、全ト協が取り組んでいる
    『Gマーク』は事業所の内容も評価する活動ですか
    ら、非常に良いと思います。若い皆さんにこの業界
    で働くことが「世のため他
    ??
    人のため自分のため」になる
    ことを実感して頂く取り組みが大切です。
    鳥 居 埼ト協も交通安全環境フェアの中で、小
    学生を対象にしたトラクふれ合い活動を行っていま
    す。これは警察や消防ともコラボして、 埼 玉スタジア
    TheTRUCK2015年6月号29
    交通安全体験(自転車シュレーター)
    絵画コンクール入賞者とともに記念写真
    協会マスコット「サイト君」
    ム2002の一角にいろんなトラックを展 示して、 乗った
    り触ったりして頂くイベントです。それと合わせて子供
    達には「夢のあるトラック」を描いて頂き、優秀作品は
    我々のトラックにマーキングして一年間走らせますが、
    既に10余年も続けています。
    秋林路 それは素晴らしい活動です。10余年続
    けておられるという事は、最初の頃に参加した子供は
    既に社会人になっています。
    鳥 居 安全も大切ですから、交通安全体験車
    「サイトくん」を持ち込んで、安全教育も実施していま
    す。また埼ト協には5台の自転車シュミレーターがあり
    ますので、映像を見ながら自転車に乗って頂き、どん
    なところに危険が潜んでいるのか体験して頂く活動も
    行っています。
    秋林路 本誌は来年、トラックの日を挟んで幕張メ
    セでトラックショーを開催する計画を進めています。
    その時にトラック運送業界の子供たちと親御さんをご
    招待して『こどもトラックショー 』も行いたいと考えていま
    す。マスコミにも働きかけて広くアピール出来れば良い
    と考えています。
    鳥 居 大変面白い企画だと思います。少子高
    齢化でいろいろな業界が人手不足ですが、トラック輸
    送はドライバーがいないとクルマは動きません。親御さ
    んにも理解を深めて頂いて、お子様を安心してこの
    業界に送り出して頂けるような 取り組 みは 大切 で す。
    秋林路 有り難う御座います。昨年は一時燃料が
    高騰して問題になりしたが、最近はやや落ち着いて
    いるようですね。
    鳥 居 そうですね、燃料が上がれば事業者の
    経営を圧迫するので大問題ですが、これは国のエネ
    ルギー戦略とも関係しますので、我々としては全ト協と
    足並みを揃えて活動したいと考えています。
    秋林路 長期的には化石燃料は行き詰まりになる
    TheTRUCK2015年6月号30
    県内新入学児童に贈られるトラック型防犯ブザー」
    経営支援各種パンフレット
    埼玉県トラック総合研修センター
    ので、エネルギー転換の時代が来ると思いますが、
    水素を活用する燃料電池車もバスは試運行が始まっ
    ていますので、トラックも水面下では開発が進んでい
    るのではないかと思います。
     ところで、最近はトラックメーカーとユーザーが交流
    する機会が少ないのでユーザーニーズがメーカーに
    届きにくいという声が聞かれます。埼ト協では交流の
    機会をもっておられるのですか。
    鳥 居 そうですね、埼ト協では過去にABSや
    中型免許の問題を論議する時にトラックメーカーさん
    に来て頂いたり、こちらから工場を訪ねた事もあり
    す。その結果をDVDにしたり印刷物にして会員に
    提供しています。
    秋林路 それは積極的ですね。メーカーもユー
    ザーが声を掛けてくれるのを待っているのではないか
    と思います。
    鳥 居 ただ最近の課題としましては、トラックを
    注文しても納車がずっと先になってしまいます。ここは
    何とか二ヶ月でも早くならないかと考えています 。
    秋林路 これは車体業界の事情が大きて、リー
    マンショック後に生産規模を縮小した痛手が尾を引い
    ているのだと思います。
    鳥 居 他に、DPFの関係でエンジンが停まって
    しまう問題があると聞いていますので、またメーカー
    の方と話し合いの場を持つ必要があるのではないか
    と考えています。
    秋林路 安全の面では追突防止装置やドライブレ
    コーダー、リアモニター、居眠り防止装置など新技術
    が次々開発されています。
    鳥 居 そうですね。安全の面ではトラックは非常
    に良くなって来たと思います。ただドライバーの安全
    に対する自覚は不可欠ですので、教育・研修にはしっ
    かり取り組んでいきたいと考えています。また埼ト協で
    は、労災防止にも積極的に取り組んでいますが、こ
    れらの活動には研修センターが大きな役割を果たして
    います。
    秋林路 確かに埼ト協さんの研修センターは実際に
    トラックを走らせる事 が出来るので、 実のある研 修が
    できると好評です。
    鳥 居 この業界でも泊まり込みで研修できる施設
    は少ないと思います。会員の為に大いに活用したい
    と考えています。
    TheTRUCK2015年6月号31
    夜間、路面に水を撒いてトラックの停止訓練
    交通安全体験車サイトサイトくん(外形)
    交通安全体験車サイトサイトくん(安全体験風景)
    秋林路 これから連結車両の駆動軸が11.5トンに
    緩和されて大きな車両が内陸を走るようになるし、中
    型運転免許の改正で運転できる車両区分が変わって
    来ますので、メーカーとユーザーの情報交換は大事
    になると思います。
    鳥 居 実際、新しい運転免許制度だと運転でき
    る対象車両が分かりにくなる心配がありますので、
    その辺りも明確にして頂くことが求められます。
    秋林路 そうですね、運転免許証とナンバープレー
    トの色を同一にするとか、一目瞭然になるといいですね。
    鳥 居 道路標識の問題もあります。例えば「大
    型車通行不可」となっていても、自分が乗っているトラッ
    クが対象になるのか否か、改造されていると分かりに
    い面もあります。
    秋林路 そういう点こそメーカーとユーザーがしっ
    かり交流して周知徹底を図ることが必要です。
    鳥 居 通行料金の問題もあります。それほど沢
    山積載出来ないトラックなのに大型車と同じ通行料金
    をとられると運送事業者は大きな負担になります。
    秋林路 そうですね、今はETCで自動認識です
    から、車両区分を明確にしておかないと思わぬ負担
    を負うことになりかねません。
    鳥 居 今回の中型運転免許制度改正の問題
    は、18歳から受験資格が出来るという意味で運送業
    界にとっては歓迎すべき出来事ですが、警察だけで
    なく国土交通省など関係する省庁は関連をもって対
    応願いたいと思います。
    秋林路 そうですね。エネルギー問題をはじめ、
    環境・安全に加えて物流の国際化、道路インフラなど
    トラックも次世代を迎えているように思 います 。
     ところで、鳥居会長さんの会社(西武通運)の事も
    少し伺っておきたいのですが、社長ご就任はいつ頃
    ですか。
    鳥 居 私は平成13年に社長に就任しましたの
    で13年になります。実を申し上げますと、私は最初
    からこの業界に居たのではないのです。
    秋林路 と申されますと
    鳥 居 この業界に入ったのは平成6年です。
    大学を卒業して直ぐはおもちゃ玩具の問屋に3年居ま
    して、その後は父が鳥居薬品を経営しておりしたの
    で、そちらに移りした。その後に結婚した相手が西
    武通運の社長の娘だったものですから、この業界に
    TheTRUCK2015年6月号32
    西武通運の自動車運送重量物輸送
    入ることになった次第です。
    秋林路 それはお互い大変なお家柄ですが、どう
    して西武通運に入ることに?
    鳥 居 実は相手は女性ばかりだし、私の方は男
    がふたり居て次男でしたので、強引に引っ張られたカ
    タチで入ることになりした。(笑)
    秋林路 まったく別の業界からこの運送業界に入
    られると、相当カルチャーショックがあったのではない
    かと思いますが…
    鳥 居 そうですね。薬品業界は業界全体をまと
    める団体と新薬メーカーの大手、それに中堅の団体
    がありまして、秩序が保たれています。結局、薬品
    業界は薬価(国により決定される医療用医薬品の公
    定価格)によって守られていますので、大手さんはそ
    れをいかに高くとるかというところが課題です。また
    大手さんが「これはコンプライアンスの関 係があるの
    でこのようにしましょう」と言えば、以下右に倣えにな
    るし、抜け駆けでもしたら大変なことになってしまい
    ます。
     ところがこの運送業界は大手も中小・零細も一派
    一絡げで、超大手さんが業界をリードするカタチになっ
    ていません。この点は大きな違いです。しかし、ある
    意味で新鮮な目でこの業界を見ることが出来ました。
    秋林路 日通、ヤマト、佐川といった大 手は物 流
    業者ではあるけれども別格で、運送業界をリードする
    考えは希薄です。逆にその役割を果たしているのが
    ラック協会ではないかと思います。西武通運さんの荷
    主は主にどのような分野なのですか。
    鳥 居 色んな業種とお付き合いしているので千
    差万別です。それに当社は重量品の設置なども請け
    負っていますし、JRコンテナもあるし引越や学校給食
    もある。ですから当社のドライバーは色んな事が要求
    TheTRUCK2015年6月号33
    第一物流倉庫第二物流倉庫
    されるんです。
    秋林路 ひとりのドライバーさんが何でも熟すので
    すか。
    鳥 居 引越を担当していたドライバーが翌日には
    重量品の据え付けに回ることもあります。
    秋林路 それは大変なことです。ドライバーさんと
    いうり職人さんです。
    鳥 居 そうですね。ですから当社のドライバーは
    多くの社員がフォークリフも扱うしクレーン操作や玉
    掛けの資格も取得しています。
    秋林路 ドライバーさんに取材すると、俺は運転
    以外にこういう免許も取得している、と自慢することが
    あります。技術習得がプライドとなり生きがいにも通じ
    ているのではないかと思います。
    鳥 居 それはそういう事だと思います。やはり資
    格を取得するためには勉強しなくてはならないし、腕
    も磨かなくてはならないので、プライドに通じるところも
    あると思います。そういう点は経営者として有り難いと
    思っています。
    秋林路 私も引越しは何度も行いましたので、そ
    の作業の大変さは良く分かります。その割に運賃は
    安いなと思います。
    鳥 居 当社の場合は海外赴任される方の引越
    しが多いので、専業者さんとは少し事情が異なり
    す。海外赴任の期間中だけ家財などお預かりするトラ
    ンクルームも約3000坪を備えています。
    秋林路 なるほど、当面の課題としてはどんな事
    が上げられますか。
    鳥 居 やはり若い人材の確保です。担当の人
    が高校に出掛けて話し合いもしていますが、大変苦
    労しています。
    秋林路 それは御社だけでなくこの業界の大命題
    だと思います。
    鳥 居 今は進学や専門学校に行かれる方も多く
    て、高卒で社会に出る方が少なくなっています。それ
    も若年労働力を確保しにくい原因のひとつになってい
    ます。
    秋林路 そうですね。リクルートが難しい時代で
    す。ところで、会長はしっかりした体格ですが、何か
    スポーツを?
    鳥 居 高校時代は水泳をやっていたのですが、
    大学からはスキーに熱中していました。
    秋林路 水から雪への転向ですね。どの辺りで
    滑っておられたのですか。
    鳥 居 白馬村の岩岳分校でアシスタンをしてい
    した。一般の方より少しレベルは上だと思います。
    秋林路 それはスゴイ、プロ並みだと思います。
    いつ頃まで続けられたのですか。
    鳥 居 10年前くらい前までは滑っていました。で
    も、今はスポーツと言えばゴルフのお付き合い位です。
    (笑)
    秋林路 責任ある立場の方は先ずは健康第一で
    す。心身ともに元気でご活躍されますことを願っており
    ます。本日は有難う御座いました。
    世界のトラック研究
    アメカ・ネバダ州内限定だが公道走行試験を開始したフレートライナーの〝インスピレーション〟車。セミトラクタとセミトレーラの連結車だ
    TheTRUCK2015年6月号
    34
    世界初、通常のライセンスプレートを
     付けた試験車による公道公開試験開始
     2015年5月5日、自律運転大型トラック(セミ
    ラクタとセミトレーラ連結車)としては世界で初めて
    公道試験を認可されたダイムラートラック北米社(以
    北米の長距離道路輸送で標準的なのは大型セミトラクタ・トレーラ連結車
    だ。このタイプの連結自律運転車に世界初の公道走行用ライセンスプレー
    が発給され実用試験が開始された。
    西襄二
    5月5日のお披露目当日の夜、フーバーダム面を巨大スクリーンに見立てて映像投影が行われた。手前の橋はダム頂を通る39号線のバイパス橋。
    日本の前田建設が施工した
    公道走行はネバダ州内に限られるが路線限定はない。ベースとなったのはフレートライナーのカスカディア・モデル
    TheTRUCK2015年6月号35
    下、DTNA)の主力車種であるフレートライナー・ブ
    ランドの試作車は「インスピレーション」と命名され
    た。そしてこの車のお披露目が度肝を行く方法で映像
    公開された後、実車が紹介された。
    (筆者注1:オウトノマス車(AutonomousVehicle)
    と呼ばれて公表されたこの車を本稿では自律運転車と
    している。世に〝自動運転車〟の用語も使われている
    が、今回の試験車は予めプログラムされた条件下で
    世界のトラック研究
    当日、ネバダ州知事が自らライセンスプレートを手渡し、その場で取り付
    けられた
    このイベントでは、60台の強力な投影機が使われ特別な制御プログラムで湾曲したダム表面に鮮明な映像を映し出した
    TheTRUCK2015年6月号36
    スイッチを切り替えると自律的に運転を行う車として
    理解しておきたい。)
     DTNAのマーチン・ドウム社長兼CEOの当日の言
    葉によれば、〝インスピレーション〟車の開発は当社の
    顧客の熱烈な要請に基づき、究極の安全運行を実現
    する目的と使命を担って行われてきました。同時に、
    フーバーダムに投影された映像は主役であるインスピ
    レーション車のみならず、投影技術としてもアメリカの
    〝やれば出来る〟チャレンジ精神を証明するものです。
     この記念すべき式典当日の午後、ネバダ州知事ブ
    ライアン・サンドバルが自ら世界初の大型トラック自律
    運転車に対するライセンスプレート交付を行い、公道
    試験開始にエールを送った。ネバダ州は自律運転車
    の公道運転に関する法律を整備済みであり、この環
    境が今回の世界初の大型自律運転車の登録・運用開
    始の背景にある。(以上、ダイムラー社のプレスリリー
    スによる。
    開始された公道試験と
     投入された試験車について
     それではフレートライナーの試作〝インスピレーショ
    ン〟車はどのような車なのか。そして、今回の公道試
    験プロジェクトはどの様に行われるのだろうか。以下
    は、筆者の質問に対するDT社の広報部カローラ・
    プファイフル氏の公式回答である。
    Q1 今回のライセンススプレートが許容する運行
    地域はネバダ州内に限定されるのですか。
    A1 そうです。
    Q2 このプロジェクトで〝インスピレーション〟車は
    商用貨物の運送を行う事が出来ますか。
    A2 当面は商用貨物運送は行いません。しかし、
    将来そのような目的の運用もあり得ると思います。
    自律運転〝インスピレーション〟車の」コックピッ
    LEDによるモニターにはこうした表示のほか・・・・スイッチの切り替えで別の表示も行われる
    TheTRUCK2015年6月号
    37
    Q3 この試験運行は期間が限定されていますか。
    A3 試験期間は限定されていません。
    Q4 今回のフレートライナー〝インスピレーショ
    ン〟車に搭載されている自律運転制御システムは、昨
    2014年に独ハノーバーで開催されたIAA2014に
    出展されたダイムラー社の自律運転コンセプト車〝メル
    セデス・ベンツ・フューチャー・トラック〟の制御シス
    テムと同じですか、違うとすると何が違いますか。
    A4〝インスピレーション〟車は将来のハイウエイ
    走行用量産モデルに向けた一里塚(マイルストーン)
    位置づけられた試作車です。従って、ダイムラーで
    開発した〝ハイウエイ・パイロット・システム〟がベース
    となっていますが、北米のいろいろな交通関連法規に
    照らして必要な変更が加えられています。つまり、ご
    指摘の二つの大型車自律運転システムは同一の〝ハイ
    ウエイ・パイロッ・システム〟に基づきレーダーやス
    テレオカメラ等の認識システムを応用しています。
     ご案内のように、メルセデス・ベンツトラックとフ
    レートライナートラックは誕生の地を異にして夫々の地
    の顧客の要請に応えて独自の進化発展を遂げてきまし
    た。共通技術と異なる〝インスピレーション〟車独自の
    技術としては、こうしたアメリカ市場での歴史に基づ
    く技術が反映されており、北米特有のハイウエイ走
    行環境が背景にあることを申し上げて置きます。
    Q5 〝インスピレーション〟車のパワートレーン構
    成は?
    A5 エンジンはデトロイトDD15型/総排気量
    14.8L/最高出力505HP・最大トルク1,650lb/
    ft(≒1,834Nm〈187㎏・m〉、トランスミッション
    はデトロイトの前進12速のAMT(自動化機械式トラ
    ンスミッション):DT-12-OA-1650型です。これら
    はフレートライナーのカスカディア車をベースに開発
    されたものです。
    (筆者注2:デトロイト社はダイムラーグループの北米
    企業で、元はデトロイトディーゼル社と称し専らディー
    ゼルエンジンの製造販売を行っていた。当時はOEM
    として北米内他車にもエンジンを供給するサプライ
    ヤーであった。ダイムラーグループ入り後、モジュラー
    設計思想に基づくダイムラーのコンセプトによる新シ
    リーズディーゼルエンジンを開発し、同時にトランス
    ミッションの製造も加えてダイムラーグループ内各社
    に向けてパワートレーンサプライヤーとして中核企業
    となっている。
    Q6 〝インスピレーション〟車のインターステーツ
    ハイウエイ走行時の最高速度は?
    A6 前述の〝ハイウエイ・パイロット・システム〟
    のAVモードが最高速度を制御します。試験走行開
    始の当初は60mph(≒96.5㎞/H)にセットされて
    います。これより早い速度を指定することはプログラ
    ム的には容易ですが、デモ走行モードでは55mph
    世界のトラック研究
    ドライバーはを運行中に大型タブレット利用の運行日誌を参照したり操作
    することも可能
    自律運転と手動運転の切り替えスイッチ
    TheTRUCK2015年6月号
    38
    (88.5㎞/H)を指定しています。アメリカのハイウ
    エイの最高制限速度に見合ったプログラムにセットす
    ることは勿論可能です。
    Q7 アイドルストップシステムは搭載されています
    か?
    A7 申し訳ありませんがこの件は承知していません。
    Q8 フレートライナー〝インスピレーション〟
    は、荷役を行う倉庫等の接車ドックにつける運転操作
    も自律運転で行えますか。
    A8 これは従来の手動で行います。(自動ではあり
    ません。
    Q9 〝インスピレーション〟車の試験運用期間は
    計画上どれくらいですか。
    A9 今のところ決まっていません。
     自律運転(若しくは自動運転)方式で自動車を運転
    利用しようとする試みについては、アメリカはカリフォ
    ルニアのシリコンバレーに拠点を置く複数のIT企業
    の動きが報道されることが多いが、既存の自動車メー
    カーも勿論研究開発に余念がない。交通状況に追従
    して作動するクルーズコントロール、前車の動きを感
    知して危険を回避する自動ブレーキ、車線逸脱状態
    を警報するシステムなど既に大型トラック・バスの市
    販車にも採用されているシステムがある。
     ステアリング操作をこうした〝自動〟化の項目に加え
    ることは技術的には既に可能であるが、実用に供する
    には数々の関門があることも事実である。ダイムラー
    のコンセプト車ではドライバーがシートを横に向けて
    タブレット画面を見ている(運転操作から離れている)
    状態を示す写真を掲げて将来像としているが、ここま
    で行わずともドライバーの運転操作に起因する衝突に
    よって生ずる悲惨な結果を回避する事は急務であり、
    出来るだけ近い将来に全ての車にそうしたシステムが
    採用されることを筆者が切に願うものである。
    ギネスブックに世界初方式と
     登録された当日の巨大映像方式
     2015年5月5日夜のフレートライナー〝インスピ
    レーション〟車のお披露目は、フーバーダムを巨大ス
    クリーンに見立て、総計60台に及ぶ強力な投影機
    群を駆使した巨大映像投影技術でも注目された。
     フーバーダムは巨大な多目的ダムで、ラスベガス
    やカリフォルニア向けの上水と電力の供給を行ってい
    る。この重力式ダム(高さ221m、堤頂長379m)
    を超巨大スクリーンに見立てて、世界初の公道試験
    用フレートライナーセミトレーラ連結車のお披露目映像
    を映写したのである。勿論、アメリカでこれまでに使
    用された巨大スクリーンの中でも群を抜いた巨大さ故
    にギネスブックに登録されたものだ。ダイムラー北米
    社が、この記念すべき公道試験開始のお披露目に奇
    想天外な超巨大スクリーンを出現させたものだ。
    「フーバーダムは今回のような世界初の公道試験用
    大型連結自律運転車のお披露目にはうってつけの場
    所です。建設にあたって多数のトラックが投入された
    という縁のみならず、その巨大さが世界有数であると
    いうことも、今回のトラック業界にとっての記念すべき
    イベントの会場として相応しいと言えます。と、ダイ
    ムラー社の取締役会のウォルフガング・ベルンハルヨ
    博士が強調してコメントしている。「今回の自律運転公
    道試験車は〝Inspirationインスピレーション〟と命名
    日中のフーバーダム(39号線バイパス橋架橋前
    の写真。Wikipediaより引用)
    フーバーダムで生まれた人造のミード湖。日本国
    内の全てのダム湖を合計してもまだこのミド湖の
    貯水量に及ばない(Wikipediaより引用)
    TheTRUCK2015年6月号39
    されていますが、このお披露目に当たって使われた過
    去最高出力の投影方式についてギネスブックに登録さ
    れたのは、どちらも歴史に残ることとして注目に値す
    るといえます。
    60セットの強力投影機システム
     60台の投影機は夫々を同期させ4,592×2.048
    ピクセルの画像を2分の1マイル(≒804m)先の
    巨大スクリーンに映像を映し出した。60台の投影機
    の光源は一般家庭で使われる60Wの電球1,400個
    分に相当し、117万ルーメンの光束を作りだした。
    これが投影方式としての公認の世界記録となったもの
    である。
     フーバー・ダムを巨大スクリーンとして使用するプ
    ロジェクトは事前の何ヶ月にも及ぶ期間の周到な検討
    と準備を必要とした。これほどの規模で巨大映像を投
    影するのは最新の映像技術を駆使できたからである。
    ダム表面は湾曲しておりここに鮮明な映像を合成する
    には特別の制御ソフトウエアが必要であった。
    独白 フーバー・ダムについて
     アメリカの地図を広げると、西海岸カリフォルニア
    州の東側に隣接するのがネヴァダ州だ。日本の国土
    面積の1.12倍あるカリフォルニア州の面積の60%
    弱で日本の国土の76%程度に相当するアメリカの中
    で7番目に位する大きな州だ。
     ネバダ州は
    最大都市ラス・
    ヴェガスでも有
    名で、州内に
    核実験場も設け
    られており、比
    較的人口が希
    薄な砂漠地帯
    が拡がる。東
    側はユタ州に接
    し南端ではカリ
    フォルニア州と
    アリゾナ州に接
    している。
     ラス・ヴェガ
    スの市内から
    国道39号線
    を車で30分
    も走ると、フー
    バーダムの堰
    堤上を通過す
    る区間を経て
    じきにアリゾナ
    州内に入る。
    筆者がこの
    ルートを走った
    のはもう15年
    も前のことだっ
    た。有名なグ
    ラドキャニオン
    の谷底を西に
    向けて流れるコロラド河が向きを変えて南下する地点
    にダム建設が計画されたのは1929年に始まったア
    メリカの大恐慌に対する時のルーズベルト大統領の経
    済起死回生・ニューディール政策の一環として位置づ
    けられていた。1931年に着工され36年に完成した
    と記録されている。
     このダムは重力式でその名称は当初は別の名前で
    あったが、建設時のフーバー大統領の名に因んでフー
    バーダムと呼ばれることになったという。このダムに
    よって出現した人造湖はミード湖と呼ばれ、貯水量
    300兆ガロン(≒400億トン)といわれるアメリカ国
    内最大の人造湖である。
    北米ダイムラートッラクス社について
     北米ダイムラートラックス社(DTNA)はオレゴン州
    ポートランドに本社がある北米有数の大型トラック製
    造メーカーである。DTNAは「フレートライナー、ウ
    エスターンスター」ブランドの大中型トラック及び「トー
    マスビルト」ブランドのバスを製造販売する。DTNA
    の製造拠点は全米9か所に展開しており、本社地区
    の他にノースキャロライナ州に4か所(クリーブラン
    ド、ガストニア、ハイポイント、及びマウントホーリー)
    ある。加えてミシガン州(レッドフォーロ)とサイスキャ
    ロライナ州(ギャフニー)に各1か所の工場がある。
    国外工場はメキシコ(サルティオとサンチャゴ・ティア
    ンキステンコ)に展開。
    オープニングのステージはいすゞのウイング車だ
    会場屋外広場の正面にメインスポンサーのいすトラックが並べられていた。奥の白い建物が屋内イベント会場の講堂
    TheTRUCK2015年6月号40
     写真で見るタイのトラック業界事情。今月は、2015年3月
    28日に開催された南部運輸協会(ASLT=Associationof
    SouthernLogisticsandTransportion)の年次総会をレポー
    トする。
     ASLTは、THELANDTRANSPORTFEDERATIONOF
    THAILAND(LTFT=タイ陸運連盟)に加盟する協会のひとつ
    で、その名の通り、輸送だけでなく荷役、、保管、梱包などロ
    ジスティクス分野もカバーしている。タイ南部全域をカバーし、
    1000社近い企業が会員となっている。ちなみに、上部組織と
    なるLTFTは、地方の各トラック協会をはじめ、クレーン協会、
    貿易協会など13の協会で組織されている。LTFTが設立され
    たのは今からちょうど10年前になる。LTFTが組織されてから
    は、各地区協会の横のつながりがさらに強くなり、今回も全国
    の協会長の殆どが参加していた。
     年次総会が行われたのは、タイ南部の都市HatYai(プー
    ケットよりさらに南のマレーシア寄り)で、空港から30分ほど
    クルマで走った街のほぼ中心エリアに位置する広場と講堂を備
    えた大学の施設が利用された。イベント名称は、「Southern
    Logistics&TruckShow2015」で、屋外広場にはトラック
    の他に今回からフォークリフトや倉庫内用の高所作業台車など
    の荷役機器も展示されていた。
     空港から会場までの道筋や街中の電柱などに、この年次総会
    イベントを知らせる案内看板が数多く設置されていた。街を挙
    げてのイベントなのだろう。
     今回のメインスポンサーは、タイのいすゞ自動車(TRI
    PETCHISUZUSALES)で、協賛金1,500,000THBを提供
    していた。会場施設のゲートを入ると、屋外広場にはいすゞの
    トラックが正面の一番目立つ位置に数台展示されていた。その
    回りを取り囲むように、タイの日野自動車、FUSO、中国メー
    カー、IVECO、日産、荷役機器販売会社などが出展していた。
     オープニングは、いすゞのウイング車を舞台に利用し、その
    壇上で協会長や来賓の挨拶があり、お決まりの記念撮影も行わ
    れた。アトラクションでは、太鼓を打ち鳴らしてのタイ南部の伝
    統芸能舞踊がオープニングに花を添えていた。
     大きな講堂では、タイの大学で物流の教鞭を執っている教授
    のセミナーに続き、各協会長と来賓によるパネルディスカッショ
    ンも行われ、タイ国の物流の現状の問題点や将来展望などを熱
    く語っていた。さらに、トラック整備技能コンテストの優秀者の
    表彰式も実施された。
     講堂の屋内会場には、タイヤ、関連部品やオイルの販売会
    海外レポート◇ASLT年次総会 
    トラック展示と有名歌手のステージも…
    「SouthernLogistics&TruckShow2015」
    文・写真:
    於久田幸雄
    (本誌編集長)
    地域の舞踊と太鼓を組み合わせたオープニングセレモニー
    物流の公開講座(上)。タイの大学でlogisticsを専攻するのは女
    性が多い(下)
    各協会の会長と来賓者達による記念撮影会。ほぼ中央の女性が南部運輸協会(ASLT)の会長だ
    TheTRUCK2015年6月号41
    社、保険やキャッシングサービスの企業がブース出展していた。
    また、この9月に開催となる筆者が企画・運営する「2015タ
    イ国際トラックショー(TiT2015)の紹介ブースもASLT側が
    用意してくれていた。ありがたい話だ。
     夕刻から行われた懇親パーティーは、1000名近い招待客が
    集まり盛大に行われた。要人の挨拶、舞踊、協賛金贈呈式に
    続き、タイで有名な女性歌手のステージも行われ会場は一丸に
    なって盛り上がっていた。
     筆者は、タイ陸運連盟(LTFT)に加盟する各協会長たちと親
    しい仲になっている。これは、TiT2015の開催提案を通じて、
    これまで幾度となくタイ国を訪ね各協会の会長らとタイ国内にお
    けるトラック物流の将来像を語り合ったことに対する評価だと考
    えている。筆者としては、TiTの開催により、今後もタイのトラッ
    ク物流の発展に全面的に貢献していくつもりである。
    いすゞは大型、中型、小型、トラクタヘッドなどを展示した。エルフに架装されたバンボディはフルハーフ・マハジャク製だ
    FUSOはダンプ、ミキサなどの建設系車両を中心に展示していた。世界戦略車種のひとつとなっているキャンターにも人気が
    TheTRUCK2015年6月号42
    海外レポート◇ASLT年次総会
    タイの帆布メーカーEXTRA社はカーテン式の側面開放車を出展した。来場者の注目度はかなり高かった
    各会長や来賓の方々もTiTブースを訪ねてくれた。来場者となる運送業界関係者の全面的な協力は実にありがたい
    協会側が用意してくれたTiT紹介ブース熱心に説明するTiTスタッフのポンシリさん(左)
    TheTRUCK2015年6月号44
    各協会のイベントにはタイヤ関連が何社も出展する。今回日本勢としてはBSだけだった。免震ゴム問題の関係かどうかは分からないが、毎回出展するトーヨー
    タイヤの展示はなかった
    トラック稼働で欠かせないオイル関連も力が入っていた。(写真・右)GPS利用の運行管理システムやドラレコなどで大きなシェアを持つメーカーDTC社は新
    製品を出展するなど注目された
    今回の年次総会ではトラック整備士の技能コンテストも行われた。高得点を得た上位3チームには賞金と記念の盾が協会長から手渡された。壇上に上げら
    れ緊張気味の彼らだったが、席に戻るなり大喜びをしていた
    (写真・左)世界最大のコンテナ製造メーカーとして知られる中国のCIMC社(中国国際海運集装箱集団)も出展していた。海上・鉄道・航空貨物用の各
    種コンテナの他、自動車用の合成ゴム製品、ガラス関連、さらに各種パレットの製造では実力のある企業だ。懇親会でたまたま同テーブルだったタイ支社
    責任者にTiTの説明をしたら反応は上々だった。保険、銀行関係の出展もあった
    TheTRUCK2015年6月号45
    海外レポート◇ASLT年次総会
    メインスポンサーのいすゞを筆頭に協賛金の贈呈式が行われた。この費用を元に年次総会は実施されている
    ASLTのRungratChaijirathikul会長と筆者のツーショト。TiTの成功に
    期待してますよ、と声をかけてれた
    R&Bの歌姫で女優、ゴルファーでもあるタイの人気歌手Lydiaのステージショ
    ステージを降りてファンサービスをするLydia。かなりのパニック状態だ
    TheTRUCK2015年6月号46
    海外レポート◇ASLT年次総会
    Imports-ExportsTranspor協会のSuphin Fooklin会長(右)とEastern
    Transportation協会のParadaChankhum新会長(左)
    懇親会場前で披露されたタイ南部地方の伝統舞踊。全員男性だ
    1000人近い関係者が招待され盛大に行われたディナー懇親会
    各協会長や来賓、大学教授らが集まっての記念撮影。全員がTiTを応援してくれている。これで筆者はタイの運輸業界に溶け込めたかも
    TheTRUCK2015年6月号47
    新型「ハイラックス・シングルキャブ」
    TheTRUCK2015年6月号48
    TOYOTAピックアップトラック「ハイラックス」が
    フルモデルチェンジ
    タイで発表し、同日に国内販売開始
    速報
    新開発フレームなどの
    採用で走行性能をさらにアップ
    世界市場を見据えた
    ピックアップに進化
    新型「ハイラックス・ダブルキャブ」
    TheTRUCK2015年6月号49
     TOYOTAは、小型ピックアップトラックの新型
    「ハイラックス」を2015年5月21日にタイ・バ
    ンコクで公開し、同日からタイ国内で販売を開始
    した。
     発表会が行われたのは、バンコク近郊の展示会場
    BITEC(国際貿易展示場)で、屋内会場には新型「ハ
    イラックス」のほぼ全機種が展示されたほか、大掛か
    りなステージも用意され来場者に新型車の優秀性を
    PRしていた。また、屋外会場には急勾配のコース
    が設置され、アメリカ人プロドライバーが運転する同
    乗試乗会も実施されていた。発売日の21日がプレ
    ス発表で、その後の22日と23日は誰でも無料で
    入場できる一般公開日となっていた。
     ハイラックスは1968年の発売以来、今回のフ
    ルモデルチェンジで8代目となる。これまでに世
    界180以上の国と地域で、累計1,600万台以
    上を販売し、多くのユーザーに人気を博してきた
    ピックアップの名車とも言える。
     新型ハイラックスの開発にあたり「道が人を鍛
    える。人がクルマをつくる」という考えのもと、開
    発チームは世界中の様々な道を走り、使用環境
    を実際に体験するとともにユーザーニーズを直接
    聞き、森林地帯のぬかるみで荒れたオフロード、
    50℃を超える暑さの砂漠地域、雨期に冠水する
    生活道路など、様々な環境での使用状況を確認
    した。時として想像以上の厳しい環境に遭遇し、
    よりタフなハイラックスの開発の必要性を認識し
    たことが今回の新ハイラックス開発につながって
    いる。
     ユーザーからは、「大陸の長い道のりを、燃料切
    れを気にせずに安心して移動したい」「長距離移
    動や、荒れた状況が延々と続く道などは、毎回覚
    悟をしているがやはり疲れないで走りたい。それ
    が安全に繋がる」「森林を管理していると警察や消
    防などと頻繁に無線連絡する。重要なやり取りを
    静かな車内で行いたい」など様々な利用する側の
    声が出された。
     それを受け、「クルマを駆るのにストレスを感じな
    い」人に優しい新たなタフさの実現を目指し、「低
    燃費がもたらす、ゆとりある航続距離」「過酷な道
    走行性能をアップする新開発のフレーム
    TheTRUCK2015年6月号50
    を安全に走るための疲れにくい乗り心地」「車内外
    とのコミュニケーションに影響しない静かな室内」
    という新基準を設けて開発を推進してきたもの。
     同車開発責任者の中嶋裕樹エグゼクティブチー
    フエンジニア(常務役員)は、「新型ハイラックス
    は“タフの再定義(RedefiningToughness)”
    を開発コンセプトとして掲げ、あらゆる観点から
    タフさの追求を行ってきた。そして、“Newera
    forPickup,EveryinchaHilux”という言葉
    に思いを込めて、世界中のお客様にメッセージを
    届け、新型ハイラックスにご満足いただく事を願っ
    ている」と語った。
     ちなみに、“NeweraforPickup”は「クルマ
    を駆るのにストレスを感じない」人に優しい新たな
    タフさの実現で、“EveryinchaHilux”「丈夫
    さ」「力強い走り」「走破性」「衝突安全性」を徹底
    的に鍛えなおし、更なるタフさの実現を意味して
    いる。
    ■新型「ハイラックス」の主な特徴
    【1】新開発のフレームと足回りを採用
    •フレームサイドレールの断面を拡大することによ
    り、頑丈さ、安全性の向上と合わせ、乗り心地
    も改善。
    •リーフスプリングとショックアブソーバーを改良
    し、衝撃吸収性と振動減衰性を高め、より高い
    走破力としなやかな乗り心地を実現。
    •世界各国/地域の使用環境に合わせ、サスペン
    ションの仕様は3種類を設定
    ⑴世界のあらゆる道に対応できる「スタンダード
    (標準)仕様」
    ⑵より高い積載ニーズに対応する「ヘビーデュー
    ティー仕様」  
    ⑶積載性を保ちつつ乗心地を優先した「コンフォー
    ト仕様」(タイで発表した仕様)
    【2】新開発のエンジンとトランスミッションを採用
    •低速トルクを大幅に向上した新開発のディーゼ
    発表会場の屋内メインゲー
    TheTRUCK2015年6月号51
    ルエンジンは、全回転域で力強い走りを実現す
    る一方、低燃費化により航続距離を伸長。更
    に、エンジンノイズの低減により、高い静粛性
    を実現。
    •新開発の6速トランスミッションは、多段化とギ
    ア比の最適化により、エンジン性能を最大限に
    生かし、力強い走りと低燃費の両立を実現。
    【3】サービス性/メンテナンス性強化
    •新エンジン回りの整備性を向上させ、メンテナン
    ス&修理の時間を低減。
    【4】タフ&エモーショナルなデザイン
    〈エクステリア〉
    •フロントフェイスは厚みのある力強いバンパー部
    と、薄く一体感のあるアッパーグリルとLEDヘッ
    ドランプと対比させることで、タフさと洗練さを
    両立。
    •サイドは、ホイールフレアを力強く張り出し躍
    動感を表現しつつ、その強い抑揚をボディ全体
    にスムーズに融合させた艶やかな面の動きによ
    り、従来のピックアップにはない洗練されたエ
    モーショナルさを表現。
    〈インテリア〉
    •インストルメンタルパネルは伸びやかに広がった
    塊感のある断面が力強さを表現。
    •タブレット風オーディオ、4WD切替えスイッチ、
    ラグジュアリーなシートの採用により、新しさと
    高級さを表現。
    ■主要諸元の一例(ハイラックス・ダブルキャブ)
    ◇車両寸法…全長:5,335㎜×全幅:1,855㎜×
    全高:1,820㎜、◇ホイールベース:3,085㎜、
    ◇エンジン…タイプ:1GD(ディーゼル)、排気
    量:2,755㏄、最高出力:130kW[177PS]
    3,400rpm、最大トルク450N・m[45.9kgf・m]
    /1,600〜2,400rpm、◇トランスミッション
    6AT、◇駆動方式:4WD、◇タイヤサイズ:265
    /65R18
    ゆとりのある展示ブースが会場内に数多く設置されていた
    会場を入ったところに新フレームの展示が
    TheTRUCK2015年6月号52
    屋外に設置された超急勾配のテストコース。かなりの迫力だ
    別会場では専用アクセサリーも紹介されていた
    TheTRUCK2015年6月号53
    TheTRUCK2015年6月号54
    スケッチで見る世界のトラック石野 潔
    スケッチで見る
    2015MID-AMERICATRUCKINGSHOW
     恒例のカントリーミュージックの生演奏で、中部トラック
    ショーが華やかに開催された。CLASS8を中心とした低
    燃費指向車も多く、コンセプトトラックの他、各社最新車
    を出展。米国主要トラック誌であるCCJ(Commercial
    CarrierJournal)やFleetOwner掲載レポートをもとに
    スケッチを描いてみた。
    ショーのポイント(CCJによる)
    1.フレイトライナー「スーパートラック」
    2.ピータビルト「EPIQ」低燃費指向トラック
    3.ケンワース「アイコン900」
    4.燃費低減,運行診断支援テレマティクス、
     カメラ、レーダ支援安全システム等
    5.カミンズ、軽量新排ガス処理新エンジン
    6.燃費低減化への各サプライヤー技術協業
    7.ボルボ iShiftT/M……等
    TheTRUCK2015年6月号55
    1)車両アンダー部の徹底した
     ギャップシーリングカバー、シャ
    シサイドスカー
    2)冷却効率改善フロントグリル
    3)アルミ材の多用、6×2軽量シャ
    シースーパーシングルタイヤ
    4)トレーラルーフのソーラパネル
    GPSとデジタル3Dマップを使い
    デトロイト製Eng及びDT12オートミッショ
    ンがインテリジェントな車速制御を行いエネ
    ルギー効率化、経済性を確保。
    FREIGHTLINER「SUPERTRUCK」(DTNA=DaimlerTruck北米グループ)
    米国エネルギー省助成金支援を受けピータビルトやカミンズ等と並び、5年間の研究開発プロジェクトによる
    試行期間を経た、燃費低減エアロダイナミクストラック「スーパートラックコンセプト」を実車出展した。数々
    の空力効果とパワートレイン改善によりクラス8の貨物輸送効率の画期的な向上を狙った。12.2/mpgの
    燃費低減、115%の貨物効率改善を実現。
    TheTRUCK2015年6月号56
    スケッチで見る世界のトラック
    PETERBILT579EPIQパッケージ
    (PACCARグループ)
    前頁のFREIGHTLINER車と同様の燃費低減効率化プロジェクトをʼ12年から開始、カミンズ他サプライヤ
    と協業しʼ14年迄の走行テストを実施。車両アンダ−ギャップシールはじめ数々の空力向上装置を備え14%
    の燃費向上(10.7/mpg)を図ったPACCARMX13Eng搭載のʼ15YearModelを展示。6×2、スーパー
    シングルタイヤ、オールアルミキャブのフルエアロスタイルは高品質で素晴しい。
    KENWORTHICON900
    (PACCARグループ)
    近代的先進技術、機能と古典的様式美を訴求、
    ドライバーに人気のW900Lの記念モデル。
    TheTRUCK2015年6月号57
    WESTERNSTAR5700XE
    (DTNA=DimlerTruck北米グループ)
    かつてのアメリカントラックの名門WHITE社から出発し数社に買収され現在はダイムラートラック北米傘
    下のウエスタンスター。CLASS8最新トラックを出展。競合車同様燃費低減を訴求、デトロイトEng他
    DT12T/M等のパワートレインを有する。他車とは異なるモダンクラシック調の洗練されたウエッジラインの
    エアロスタイル。本年5月よりL/O。
    夫婦のオーナーオペレーターに人気の大空間スリーパー。平均は80〜100インチ長だが
    絵は出展最長の160インチスリーパー。まさに豪華なモーターホーム
    仕様
    項目
    チップセッ
    センサーデバイス
    画角
    ディスプレイ
    供給電圧
    動作温度範囲
    記憶ディバイス
    記録フレーム
    カメラモード
    記録内容
    記録形式
    マイク
    時刻設定
    加速度センサー
    質量
    内容
    AmbarellaH.264画像圧縮チップ
    フルHD5MCMOSセンサー
    約105度
    LCD3インチ4:3モニター
    DC10-30V
    −10℃-+70℃
    SanDiskSDカードClass10以上
    読み書き速度15MB/s以上推奨
    (最小容量:4G、最大容量:32G)
    1920×1080(フルHD1080P/30F)
    1280×720(HD720P/30F)
    システム起動時に自動録画
    解像度:3M、5M、8M
    手動写真撮影、加速度センサー、セルフタイマー
    日付、時刻、画像、加速度、GPSデータ(速度含む)
    専用プレイヤー用独自フォーマット(記録モード)
    内蔵デュアル高感度マイク
    GPS信号による自動設定
    GPSが無効の場合、内蔵時計を使用
    内蔵
    本体:192g、シガー電源アダプター:112g
    これは凄い!
    製造販売元:株式会社日本ヴューテック http://www.nvt.co.jp/
    営業本部:〒211ー0066川崎市中原区今井西町93ー3 TEL.044ー722ー2211(代) FAX.044ー722ー8488
    本社:〒211ー0063川崎市中原区小杉町3ー239ー2 【サポート:TEL.044ー722ー2211】
    常時録画
    エンジン連動録画
    イベント録画
    センサー検知時録画
    GPS搭載
    Googleマップ連動
    日付、時刻、速度を記録
    音声録画
    車内の音声を記録
    VFーDVRー001
    FULLHD5メガピクセル
    ドライブレコーダー
    FULLHD5メガピクセル
    VIEWTECのドライブレコーダーVIEWTECのドライブレコーダー
    FULLHD5メガピクセル
    こんな使いかたも
    自分の運転をチェック
    旅行の想い出に
    レース走行を記録
    TheTRUCK2015年6月号59
    金沢・呉越会視察セミナー参加者(トランテックス本社前にて)
    台風7号が太平洋沖を北上し、代わって大陸から乾いた空気が流入した金沢は5月21
    日、カラッとした好天に恵まれた。北陸新幹線が開通して三ヶ月、定員20名で募集し
    た金沢・呉越会視察セミナーは直前キャンセルで1名が欠けたものの予定通り㈱トラ
    ンテックスとジェイ・バス㈱を視察、超大型ダンプが展示されているこまつの杜を見
    学したあと石川県庁を訪ね、港湾を中心とする物流と企業誘致の現状など伺った。
    金沢・呉越会視察セミナー(5月21日〜22日)
    天候に恵まれた一泊二日研修の旅
    トランテックス/ジェイ・バス/こまつの杜/石川県庁を訪問
    氏名会社名
    朝山 規子
    ㈱イルカカレッジ
    小杉 忠夫
    東京いすゞ自動車OB 
    富樫 敏雄
    インターナショナルアーツアシスタン
    山内 弘一
    公益財団法人群馬県産業支援機構
    島津 一寿
    信和自動車工業㈱
    多  慶来
    ㈱多森通商
    松波  登
    ㈱日本ヴューテック
    神川  誉
    ㈱パーマンコーポレーション
    澤田 卓穂
    ㈱浜名ワークス
    橋本 泰明
    ㈱浜名ワークス
    氏名会社名
    岡  保夫
    明治自動車工業㈱
    阪本 典弘
    ㈱矢野特殊自動車
    山崎  貢
    ㈱矢野特殊自動車
    佐藤  裕
    ㈱矢野特殊自動車
    平川 裕基
    ㈱矢野特殊自動車
    馬場  司
    菱重コールドチェーン㈱
    望月  満
    株式会社 日新
    橋爪  晃
    株式会社 日新
    横路美亀雄
    株式会社 日新
    金沢・呉越会視察セミナー参加者
    TheTRUCK2015年6月号60
    歓迎の挨拶をされる加納喜好専務取締役工場レイアウトなどの説明をされる製造部の武田雅浩副部長
     21日㈭13時、金沢駅西口の郵太郎前には参加
    者が三々五々集まってバスに移動、最初の訪問
    企業トランテックスに向かう。金沢は北陸新幹
    線が開通以来、大勢の観光客が押し寄せてバス
    がまったく足りない状況。世話役に当たってく
    れた本誌レポーターの橋爪晃氏が知人の縁で頼
    み込んでやっと1日だけチャーターが実現した
    もの。
     車内で簡単に挨拶してネームプレートを配
    り、スケジュール説明。30分ほどでトランテッ
    クスに到着。ミーティングルームに案内され寺
    西睦広企画部長の司会で見学の概要説明、加納
    喜好専務取締役から丁重な歓迎挨拶を頂き、会
    社紹介のDVD上映のあと、製造部の武田雅浩副
    部長から工場レイアウトなどの説明を受け工場
    内に案内頂いた。
     同社の工場はこれまで何度か見学したことが
    あるが、そのたびに生産方法は大きく変化して
    いる。今回はウイングボデーの材料調達、加工、
    高品質・高精度、そして徹底した安全管理
    …トランテックス…
    組み立て、シャシへの架装、最終仕上げライン
    までの一貫した流れを、説明を受けながら見学
    した。
     架装ボデーは顧客毎に仕様が異なるため、現
    場は細心の注意を払って生産するが、少しでも
    不具合が生じると、皆でその原因を徹底的に追
    求して再発を防止している。
     生産工程で最も注目されたのは組み立てたウ
    イングボデーをトラックシャシーに架装するエ
    リアで、独自の天井走行クレーンを使って搭載
    されるが、1ミリの誤差が使用過程のトラブル原
    因になるので、もっとも神経を使うという。
     組み立ての最終ラインでは作業内容によって
    車両を少しずつ移動しながら作業するが、安全
    確認の方法もキッチリと現場規定が定められて
    いる。
     車体産業はここ二年あまり好需要が続いてい
    るが、同社も生産が追いつかない状態が続いて
    おり、工場は活気が漲っていた。
    【1日目】
    TheTRUCK2015年6月号61
    説明に耳を傾ける参加者
    工場内の作業工程がパネルで表示されている
    パネル加工
    床部分と前後壁の組み立て
    いよいよウイングボデーの組み立て工場へ
    ウイングボデーの側面の生産
    ウイングボデーの屋根部分生産
    最終ラインで各種部品を取り付ける
    TheTRUCK2015年6月号62
    観光バスのカットモデルを説明して頂く塚本智リーダー車内は超デラックス
     トランテックスでの質疑応答が長引き、ジェ
    イ・バスの小松工場到着は約10分遅れ。早速、
    ミーティングルームに通され、塚本智リーダー
    (総務部渉外グループ)の説明を受けた後、工場
    に入る。
     バスは一台に約三万点の部品が使用される
    が、物流エリアには顧客向け別に部品をセット
    した台車が待機しており、順次生産ラインに運
    び込む。従って一点でも部品が台車に残ると装
    着漏れであることが一目瞭然。
     生産ラインは屋根、床、左右側面、前後の6
    面が別々に生産され、最後に一体のボデーに組
    み立てられる。組み上がった車体は長さが14メー
    トルもある電着塗装の槽にまるごと入れて、コー
    ナーの隅々まで電着塗装を施す。
     電着塗装で下地の出来た車体は、ユーザーの
    指示によって着色デザインを施すが、一色毎に
    乾燥を待って仕上げるので、多色になれば延々
    車体全体を電着塗装、心血を注ぐ車体デザイン
    …ジェイ・バス…
    と時間がかかるという。
     車体が完成するとボデーと別の場所で組み立
    てたシャシを結合、長尺のあみ棚や椅子など車
    内設備を取り付け、最終整備、走行テストなど
    を経て完成する。
     これまでトヨタや日産など、乗用車の生産ラ
    インは何度か見学したことがあるが、バス生産
    の見学は始めて。意外にロボットの投入が少な
    い。この小松工場では主に観光バスを生産(路
    線バスは前橋工場)しているが、受注生産なの
    で大半が1ユーザー1仕様、しかも椅子の取り
    付けなど人手に頼るしかない作業も多い為と思
    われる。
     工場見学後、再びミーティングルームに戻っ
    て質疑応答。2020年の東京オリンピックに向け
    て次世代バスが話題になっているので、電気バ
    スや燃料電池バスの質問が相次いだ。
    【1日目】
    TheTRUCK2015年6月号63
    ジェイ・バスが製作した中型バス(呉越会使用車)の前で記念写真
    広大なジェイ・バス小松工場とレイアウ
    構体組立=側・床・前・後・屋根の
    各構造体を組立、ボデーの骨格をつく
    電着塗装=大型バスをまるごと処理で
    きるフルボデー式カチオン電着塗装に
    より、厚く均一で防錆力に優れた塗装
    になる
    ポン乗せ=鮮やかに塗装されたボデー
    に駆動部のシャシを結合し、その後艤
    装を行う
    検査=最後に走行テスト、波状路走
    行、シャワーテストなど入念な検査を行う
    TheTRUCK2015年6月号64
    法師は約1300年の歴史を誇る金沢最古の温泉旅館先ずは庭園の見える和室で和菓子とお茶のもてなし
     ジェイ・バスを出ると直ぐ向かい側には広大
    な小松製作所・粟津工場があり、その外周路を
    半周して懇親会を予定している粟津温泉『法師』
    に向かう。この法師は養老2年開湯で約1300年
    の歴史を誇る金沢最古の温泉旅館。46代に渡っ
    てお湯を守り続けている。
     30分ほどで到着。愛想良く迎え入れた仲居さ
    ん達は、参加者を窓越しに庭園が見える和室に
    案内し、和菓子と抹茶で歓迎される。
     二つの工場をたて続けに見学したので、参加
    者にはやや疲労の色が見える。それぞれの部屋
    に入り温泉で一風呂あびて18時45分から懇親
    会。金沢駅に集合して、そのまま工場見学に向
    かったので、参加者同士は殆ど面識がない。
     筆者が司会、金沢・呉越会視察セミナーのキッ
    カケをつくってくれた橋爪晃レポーターに乾杯
    の音頭をお願いし、飲食しながら自己紹介。参
    それぞれの想いを込めて自己紹介
    2008年以来の呉越会復活に感無量
    ●●●
    懇親会
    ●●●
    加者の多くがリーマンショック後の本誌の大ト
    ラブルを知っているので、筆者への労いの言葉
    も聞かれる。嬉しい限りである。
     参加者全員と杯を交わすとあっという間に時
    間が過ぎて、懇親の場は盛り上がっているのに
    お膳は空っぽ状態。本誌の編集アンカーとデザ
    インを一手に請け負っている望月満氏を手招き
    して中締めをお願いしたが、彼の紹介でうかつ
    にも声を詰まらせてしまった。どん底に落ち込
    み四面楚歌となった時も支え続けてくれた望月
    さんに感謝の言葉が見つからなかった。
     東京トラックショーは呉越会参加者の総意で
    始まったものであること。この金沢・呉越会視
    察セミナーの開催は、来年10月に幕張メッセで
    開催を予定している「2016東京トラックショー」
    の開催と大義は同じであることを伝えて懇親会
    を終えた。
    【1日目】
    TheTRUCK2015年6月号65
    食事しながら一人ずつ自己紹介
    矢野特殊自動車から参加の4名
    此花
    〒554-0024大阪市此花区島屋4丁目2番40号
    TEL(06)6468-8828FAX(06)6468-8829
    広島
    〒733-0822広島市西区庚午中1丁目2番41号
    TEL(082)507-1005FAX(082)273-8500
    TheTRUCK2015年6月号66
    タイヤの大きさも筆者の2倍以上ベッセルの高さはビルの3階近くになる
    【2日目】
     午前6時、隣で寝ていた松波登氏(日本ヴューテッ
    ク社長)の枕元でスマホから奇妙なメロデーが流れ
    はじめる。松波氏は三輪電気自動車のビッグビジネ
    スを進めていて、緊急の打合せが飛び込んだので、
    2日目を切り上げて本社に戻ることになったが、早朝
    の出立のため目覚ましをセッしていたもの。
     前夜の深酒で少し気だるさを感じるが、布団を跳
    ねのけて階下の大浴場に向かう。民謡、会津磐梯
    山には「〜朝寝朝酒朝湯が大好きで、それで身上つ
    ぶした〜」の一節があるが、早朝の温泉は何とも気
    分の良いもの。
     朝食を済ませて午前8時半、法師の送迎バスで「こ
    まつの杜」に向かうが、矢野特殊自動車の4名は滋
    賀のアルナ矢野特殊に向かわれたので14名に減少。
    「こまつの杜」はJR小松駅の目前に開設されてい
    る無料の展示公園。コマツ創立90周年を記念し、
    2011年5月13日に開設、里山での自然観察、わ
    くわくコマツ館での理科・ものづくり教室、小学校向
    圧倒される超大型ダンプを展示
    …こまつの杜…
    け社会科見学などを通して、地域の子どもの健全な
    育成と自然環境の保全を目的に、わくわくコマツ館と
    NPO法人みどりのこまつスクスク会が共同で運営し
    ている。
     入り口正面には車両全高がビルの三階に達する
    超大型ダンプ(自重202トン、積載能力297トン、走
    行スピード60.4㎞/h)が展示され、圧倒される。ま
    た、園内のわくわくコマツ館は、コマツ旧本社建屋を
    再現した地上2階建ての建物で、1階は、建機の
    仕組みや科学の不思議を体験しながら学べる展示場
    「ケンケンキッキファクリー」。2階は地元教育関係
    者やNPO法人「みどりのこまつスクスク会」、コマツ
    粟津工場OB会などの協力で、子供向けに理科や
    科学、ものづくり教室など行っている。
    「こまつの杜」は1時間の自由行動。参加者は技
    術系の人が多く、ものづくりに興味 津々の 様 子で、
    大スクリーンで紹介されるコマツ製品にも感嘆の声を
    漏らしていた。
    TheTRUCK2015年6月号67
    こまつの杜に展示されているコマツの各種製品
    自重202トン、積載能力297トンの超大型ダンプをバックに記念写真
    TheTRUCK2015年6月号68
    金沢港を中心とする物流と企業誘致の現状をお話頂く石川県商工
    労働部のお三方
    説明を聴講する参加者
    【2日目】
     最終の訪問先、石川県庁は午前11時の約束。
    小松駅でチケットを買って電車で金沢駅に向か
    い、タクシーを乗り継いで5分遅れで到着。
     行政庁舎10階1011会議室では、石川県商工
    労働部の中田哲也課長(産業立地課)、久保光夫
    次長(港湾活用推進室)、坂野信吾参事(産業立
    地課)のお三方が懇談席を用意してお待ち頂い
    ていた。
     呉越会視察メンバーがトラック産業に関係す
    る人が多いことから、金沢港を中心とする物流
    と企業誘致の現状についてお話頂くことになっ
    ている。
     金沢港を中国大陸を含めて眺望すると、韓国
    の主要港にも近く、中国の大連、青島、上海、
    寧波とも比較的短時間で結ぶことが出来る。日
    本海を挟んで国際物流では極めて好立地である
    ことが分かる。このため、国際港にも指定され
    地の利を活かした港湾の活用と企業誘致
    …石川県…
    ている金沢港を利用する国際貨物は近年大きく
    伸びており、北陸の産業振興に大きな期待が寄
    せられている。
     また、水力発電の多いこの地域は環境に優し
    く電力料金が日本一安いこともあって産業進出
    も盛んである。また災害にも強い地域であるこ
    とから、工場機能の一部を分離移転するケース
    なども紹介された。
     また、南北に細長い石川県は福井、小松、白山、
    金沢、穴水、珠洲に通じる高規格道路(のと里山
    街道)が全線無料となっており、県全域の物流に
    大きく貢献している。
     質疑応答の最後に筆者は「“物流の前に人流あ
    り”で、北陸新幹線の開通で首都圏と二時間半
    で結ばれた金沢は、芸術・文化でも進んでいる
    ので、人の交流も盛んになり、観光を含め産業
    が大きく発展するに違いない。」と締めくくった。
    TheTRUCK2015年6月号69
    《金沢・呉越会視察セミナーを終えて》
     一泊二日の短い呉越会視察セミナーであった
    が、内容は極めて濃かったように思う。北陸新幹線
    が金沢まで開通して、首都圏との時間距離が大幅
    に短縮されたので、地元の期待は想像以上に大き
    く、開通前マスコミも大きく報 道した。
     連休までは大混雑が予想されたので、暫く間を
    置いて今回の日程を組んだのであるが、観光バス
    が足りない状態はまだ続いていた。
     視察したトランテクスとジェイ・バスは最新鋭の架
    装ラインで、ドック方式と呼ばれた一昔前の架装方法
    とは大き異なり、緻密な生産管理が実施されている。
     残念ながらこの地域最大のコマツ(小松製作所)
    の工場は見学出来なかったが、“こまつの杜”で同
    社のパワーは充分感じることが出来たし、石川県が
    進める物流や産業振興も知ることが出来た。
     この呉越会を企画した当初から筆者が危惧して
    いたのは果たして成立するのか、という点であった。
    呉越会は2008年に中国トラック産業交流会を開催
    して以来、7年振りであるし、リーマンショック後の
    大混乱もあって果たして成立するのか、という不安
    があったのである。
     本誌にこの呉越会を成立させる力が備わってい
    なければ、2016年10月に予定している東京トラッ
    クショーも開催はおぼつかないに違いない。筆者の
    中ではひとつのバロメーターにしていた催しなので、
    今回の開催で大きな自信を得たことは確かである。
     車体産業は今、需要が集中して生産が追いつか
    ない状態が続いている。その人手不足の最中にあ
    りながらも参加頂いた矢野特殊自動車、浜名ワーク
    スの心づかいに衷心よりお 礼を申し上 げたい。
    (秋林路)
    The TRUCK News
    Now
    TheTRUCK2015年6月号90
    ピストン式コンクリートポンプ配管車「ピストンクリートPT110-10」
    高圧大容量ポンプユニットを搭載操作パネル(左)と標準・高圧ワンタッチ切替スイッチ(右)
     極東開発工業㈱はこのたび、高圧大容量ポンプユニッ
    を搭載したピストン式コンクリートポンプ配管車「ピストンクリー
    トPT110-10」を開発し、2015年5月6日に発売した。
     配管車は、折りたたみ式ブームを搭載せず、車両のポン
    プユニットから直接配管を繋いで打設現場までコンクリートを
    圧送する方式のコンクリートポンプ車である。ブーム非搭載
    のため車両の全高が低くなるため、高さ制限のある場所や配
    管が固定できる大型建設物などで使用されている。
     今回発売の新型車は、2014年2月に発売された「ピス
    ンクリートPY135-28-H」で実績のある、16.0MPaの最大
    吐出圧と、112㎥/hの最大吐出量を誇り、緻密な電子制
    御による大幅な低騒音化を実現した高圧大容量ユニットを搭
    載した配管車となっている。
     また、シャシにホイールベース約5,550㎜のGVW22トン
    車を採用することにより、あらゆる現場に対応できる機動性も
    確保。コンクリートポンプ配管車に求められる「高圧打設」「大
    容量打設」「長距離打設」それぞれのニーズに対応できる能
    力を備えた新型コンクリートポンプ車である。
     なお、希望小売価格は6,300
    万円(消費税抜き・シャシ価格込み)
    となっている。
    ■ピストンクリートPT110-10の特長
    【1】高圧大容量ポンプユニットを搭載…16.0MPa(従来
    機PT85-10比35%アップ高圧圧送時)の最大吐出圧と、
    112㎥/h(従来機比30%アップ:大容量圧送時)の最大
    吐出量。さらにポンプの緻密な電子制御により従来機に比
    べ大幅な低騒音化を実現させた高圧大容量ポンプユニッ
    を搭載。使用頻度の高い中間作業能力域(吐出量:50〜
    80㎥/h)での吐出圧を大幅にアップさせたことで、様々な現
    場に対応でき、作業時間や工数も削減できる。
    【2】ショートホイールベース車への搭載により機動性を確
    保…ホイールベース約5,550㎜GVW22トン車に搭載する
    ことで、あらゆる現場に対応できる機動性を確保。
    【3】見やすく使いやすい操作パネルと標準・高圧ワンタッ
    チ切替スイッチ…見やすく使いやすい操作パネルにより安
    全かつ確実な作業性を実現。また、標準圧送と高圧圧送を
    スイッチひとつで切替えられるワンタッチ切換スイッチも標準
    装備。
    新型配管車…極東開発工業
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    高圧大容量ポンプユニット搭載のコンクリートポンプ配管車
    新型「ピストンクリートPT110ー10」発売
    TheTRUCK2015年6月号91
    高揚程作業に威力を発揮するクラス最長の3段ジブも搭載
    50t吊りラフテレーンクレーン「CREVO500G3α」
     ㈱タダノは、50t吊りラフテレーンクレーン「CREVO(クレ
    ヴォ)500G3α[型式:GR-500N]を2015年4月17日
    に発売した。
     ラフテレーンクレーン(RoughTerrainCrane)は、ひとつの
    運転席で、走行とクレーン操作が行える自走式クレーンで、狭
    隘地での機動性に優れ、コンパクトさと小回り性を活かし、都
    市型工事で最も活躍しているクレーンである。また、不整地や
    比較的軟弱な地盤でも走行が可能な特長も持っている。また
    CREVOは、CRANE(クレーン)+EVOLUTION(進化)から
    なる造語で、「クレーンの進化」をコンセプトに1995年に発売
    され、今回発売のモデルがシリーズ4モデル目となる。
     今回のモデルは、25t吊りから70t吊りの間をカバーする
    中間機種として、ユーザーニーズの高い50t吊りラフテレーン
    クレーンを、他社に先駆け開発したもので、新開発の3軸キャ
    リヤは軽量・コンパクト。また、クラス最長の3段ジブにより
    高揚程作業にも応え、低燃費対応も充実している。
     標準仕様での価格は6,800万円(税別/装備等により異
    なる)で、年間販売見込台数は200台としている。
    ■CREVO500G3αの主な特長
    【1】軽量・コンパクトなキャリヤ…軽量・コンパクトな3軸キャ
    リヤを新開発。車両総重量は35,795㎏で、旧モデルより
    3,100㎏軽量化を達成。キャリヤ長は9,530㎜で、機動性に
    も優れている。また、運転席からバンパ前端間を大幅に短縮
    し、前方視認性を向上。さらにブーム先端に2方向の広角
    カメラを標準装備。モニタに
    よる視認性の向上で、ブー
    ム突出によるリスクの低減を
    図っている。
    【2】3段フルオートジブの
    採用…最長17.7m、3段フ
    ルオートジブの採用で、最大
    地上揚程55.7mを実現。
    高揚程作業における作業領
    域を拡大。また、ジブの張出
    格納作業時の高所作業をな
    した、SACOJib(サコジブ
    =Safety+Compact)は、
    ブーム全伸長でも張出・格納できるので、安全性の向上と省
    スペース化を実現し、作業時間の短縮も可能にしている。
    【3】環境性能を実現…ディーゼル特殊自動車2011年排出
    ガス規制対応のエンジンを搭載。排出ガス規制に対応し、走
    行時や作業時の自動再生機能つきDPF(DieselParticulate
    Filter)も装備。さらに低騒音型建設機械の指定も取得し、
    周囲環境に配慮した作業環境を提供する。
    【4】安全に配慮した装備…キャビンへのアクセスを安全に行
    う、格納式の昇降ステップを初採用。また前方と後方に、固
    定式ステップを設置。滑りにくいフラットフェンダーと共に、安
    全な昇降・移動を可能にした。
    【5】環境に配慮した装備群…クレーンの作業時や走行時の
    燃料消費情報を常に表示する「燃料消費モニタ」や、作業
    中のクレーンの不要なエンジン回転数を制御する「エコ・モー
    ド」、作業中の油圧ポンプ吐出量の最適制御をはかる「ポジ
    ティブ・コントロール」など、低燃費対応を実現している。
    【6】テレマティクスWeb情報サービス「HELLO-NET」
    装備…携帯通信によるクレーンの稼働状況の掌握と、GPS
    による位置情報確認、さらに保守管理のための情報を、ウェ
    ラフテレーンクレーン…タダノ
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    クラス最長3段ジブの50t吊り
    ラフテレーンクレーン「CREVO500G3α」発売
    The TRUCK News
    Now
    TheTRUCK2015年6月号92
    「キャンター」4トン積載ダンプ(撮影用特別仕様車)
     日産自動車㈱は、「NT450アトラス」を一部改良し、2015
    年6月4日に発売する。
     NT450アトラスは、燃焼効率を最大限に高めた高性能エ
    ンジン「4P10」と排出ガスの後処理技術である「再生制御式
    DPF+尿素SCR」による高い環境性能、デュアルクラッチ
    ランスミッション「DUONICR(デュオニック)による滑らかな走
    一部改良…日産自動車
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    滑らかな走りと優れた燃費性能が好評の
    小型トラック「NT450アトラス」を改良
     三菱ふそトラク・バス㈱(MFTBC)は、小型トラック「キャ
    ンター」4トン積載ダンプを全国の三菱ふそう販売会社及び三
    菱ふそう地域販売部門から2015年4月21日に発売した。
    「キャンター」4トン積載ダンプは、専用フレームを採用し荷
    台を堅牢にしながら、積載量4トンを確保したダンプ専用シャ
    シである。小型トラック「キャンター」をベースに、排出ガス後
    処理システムユニッ(DPF+尿素SCR)をホイールベース間
    に移設し、リヤオーバーハング部の障害物をなし、床面地上
    高1,150㎜を確保している。トランスミションはAT限定免
    許で運転可能な、6速機械式オートマチットランスミショ
    (AMT)DUONICRが選択できる。
     今回の「キャンター」4トン積載ダンプ発売について、
    MFTBC取締役副社長の末廣明夫ふそうセールスジャパン本
    部長は、「キャンター4トン積載ダンプは、小型トラックの機動
    性・経済性と高い積載量を併せ持つ、新しいカテゴリーの車
    両です。4トンの積載量を確保しながら、十分な動力性能を
    持ち、土砂輸送やレンタル・リース用途など短・中距離輸送
    で使われるお客様にお勧めいたします。これからも、三菱ふそ
    うはお客様のビジネスに貢献できる車両を提供してまいります」
    と述べている。
    ■架装主要諸元(一例)
    ・ボデー内長…3,400㎜
    ・ボデー内幅…2,000㎜
    ・ボデー内高さ…370㎜
    ・床面地上高…1,150㎜
    ■東京地区販売価格(消費税含む)
    129kW/175PSエンジン搭載キャブ付シャ
    ・6速DUONIC…5,380,560円
    ・5速M/T…5,217,480円
    4トンダンプ…三菱ふそ
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    小型車で積載量4トン、専用フレームで荷台を堅牢化
    「キャンター」ダンプ専用シャシを新設定
    ブサイトでサポート。使用されている製品の情報をユーザーと
    共有し、一歩進んだサポート・サービスを提供できる。
    ■主要諸元
    ・クレーン容量…50t×2.3m
    ・ジブ…4t×77°
    ・ブーム長さ…9.6m〜37.0m
    ・ジブ長さ…8.4m〜17.7m
    ・ブーム起伏角度…0°〜84°
    ・ジブオフセット…5°〜60°
    ・全長…12,600㎜
    ・全幅…2,780㎜
    ・全高…3,745㎜
    ・軸距…1,500㎜+4,600㎜
    ・エンジン…カミンズQSL9-4A
    ・最大出力…276kW(375PS)/1,900min-1(rpm)
    最大トルク…
    1,491N・m(152kgfm)/1,500min-1(rpm)
    TheTRUCK2015年6月号93
    大型トラック「クエスター」ダンプ大型トラック「クエスター」キサ
    NT450アトラス2WDシングルキャ
    (最大積載量2,000㎏)
     UDトラクス㈱は、国外最大市場の南アフカに大型トラック
    「クエスター」を投入した。タイの工場から部品を輸出し現地で組
    み立てるとになる。年内に周辺8カ国にも順次投入する予定だ。
     南アフカはUDトラクスの国外最大市場で年間販売台数
    は大・中・小型合わせて約3000台強。1962年の同市場へ
    の参入以来、約50年以上、現地の物流ニーズにきめ細やか
    に対応してきた。大型市場では、2002年に400馬力を超える
    モデル(国内では当時の大型車「ビグサム」に相当)を投入した
    のを機に、続く2012年の「クオン」で、ブラド力を確立した。
     クオンはこれまで、海上コンテナ、石炭・鉄・クロムなどの
    鉱物資源、建築資材、木材、穀物、サトウキビなどの農産物
    などの、片道1000㎞程度の中距離輸送を主に担ってきた。
     南ア市場ではこした従来からの輸送ニーズに加え、インフ
    ラや建設現場での需要が伸張して久しい。ダンプやミキサー、
    散水車などの車型でのクエスター投入で、こした需要に応え
    ていくと同時に、新興国が求める高い積載容量、様々な架装
    りと優れた燃費性能が好評の小型トラックである。
     今回の一部改良では、平ボディシャシー、ダンプ架装用シャ
    シー、タンクローリー架装用シャシー
    に最大積載量3tの4WD車を新規
    に追加し、商品ラインナップを強化し
    た。また、これまで一部仕様にのみ
    標準装備となっていた運転席アーム
    レストを全車標準としたほか、坂道発
    進補助装置をMT車にメーカーオプ
    ションで追加設定した。
     NT450アトラスは、「平成27年
    への対応能力、メンテナンスのしやすさ、オフロードでの頑強
    性能を実現して、中・短距離輸送での多様なニーズに柔軟に
    対応できる仕様を取り揃える計画だ。
     UDトラクスの小田原俊彦中東アフカ地域営業本部ダイ
    レクターは、「南アではこれまで、日本ベースのトラックを顧客の
    現地ニーズにきめ細かく対応させてブランド力を築いてきた。ハ
    イパワーで操作性・乗り心地に長けたクオンに加えて、現地の
    多様なニーズを取り込んだクエスターを投入することで、顧客層
    をさらに拡大していきたい」と述べている。
     組立部品(ノクダウン部品)はUDトラクスのタイ工場で製
    造・集約し南アに輸出。ボルボ・グループの現地工場で組み
    立てる。南アで組み立てた車両は、2015年以降、ジンバブ
    エ、ザンビア、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ボツワナ、
    スワジランド、レソトといった周辺8カ国にも順次投入していく
    とになっている。
     南アでの販売・整備は48拠点ある現地ディーラーが担う。
    2015年は周辺国とあわせて約400
    台のクエスター販売を目指す。3月
    にはヨハネスプルクにあるボルボ・
    グループ保有の倉庫の敷地面積を
    4500㎡から1万1500㎡に拡大し、
    プレリアにあったUDトラクス向け
    部品倉庫を統合させている。これに
    り車両稼動の要となる部品の供給
    の迅速化を図れることになる。
    度燃費基準+15%」「平成27年度燃費基準+5%」「平
    成27年度燃費基準」のいずれかを達成しており、さらに排
    出ガス浄化性能でも、国土交通省の「平成
    21年基準排出ガス規制10%低減レベル」
    認定を取得している。これにより、「環境対
    応車普及促進税制(エコカー減税)による
    減税措置に基づき、ハイブリド車では自動
    車取得税及び自動車重量税が免税、ディ
    ゼル車では各種減税の対象になる。
     全国希望小売価格帯は、4,158,000円
    〜6,087,960円(消費税込)となっている。
    南ア投入…UDトラックス
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    南アで高い積載容量のクエスターを発売
    タイ工場で製造し南ア周辺8カ国にも順次投入
    The TRUCK News
    Now
    TheTRUCK2015年6月号94
    電気自動車「e-NV200SportsUtilityGear」
    タイに投入したFUSO大型トラック「FJ」キサー車
     三菱ふそトラック・バス㈱(MFTBC)は、大型トラクFUSO
    「FJ」のタイでの販売を開始し、このたび顧客に納入した。
     今回導入したモデルは、車両総重量25トンのミキサー車で、
    タイ国の市場における新たな購買層を開拓する商品となる。
     タイは東南アジアの市場戦略上、重要な位置付けと考え、
    FUSOは長年に渡り、大型・中型・小型トラクを導入し、市
    場のニーズに対応してきた。今回の大型トラック「FJ」の発売に
    よりラインナップを充実させ、更なるシェア拡大を目指すことにな
    る。また、「FJ」に続き、新規モデルを今後展開する予定となっ
    ている。
     MFTBCのセールス・カスタマーサービス本部長ミャエル・
    カンパー取締役副社長は、「FUSO“FJ”
    は、発表直後からタイのお客様の反響を呼
    び、多くの注文をいただいています。この
    事実は、お客様の要求に十分に応えるトラ
    クであるこを証明しています。FUSOトラ
    クは、高い耐久性と燃費性能を兼ね備え、
    既にアジア・アフリカを始めとした9ヵ国に
    導入し好評を得ています。この新型車によっ
    て、新規参入市場における販売を加速させ
    るとともに、既存の市場では特に大型セグメントを強化し、マー
    ケッシェアを伸ばしていきます」と述べている。
    ◇5車種の最新鋭FUSOトラックを全世界で展開
     FUSOトラクは、成長市場において顧客ニーズにマッチす
    るように開発した車両である。車両総重量9〜16トンの中型
    トラック「FA」および「FI」、車両総重量25トン以上の大型トラ
    ク「FJ」、「FO」および連結総重量49トンの大型トラック「FZ」
    の合計5車種で展開しており、ユーザーに幅広い選択肢を提
    供している。2013年の販売開始から、現在世界9ヵ国で展
    開。2014年は同社の最大の輸出国であるイドネシアにも導
    入し、販売台数を拡大させている。
     同車は、ドイツのダイムラー社
    が100%出資するインドの子会
    社、DaimlerIndiaCommerc-
    ialVehiclesPvt.Ltd.(DICV
    社)のオラガダム工場で生産され
    ている。このFUSOトラクは、
    厳しい走行条件下で厳格な試
    験を行ない、高い耐久性を実現
    している。
    タイ導入…三菱ふそ
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    高い耐久性と燃費性能を備えた
    大型トラックFUSO「FJ」をタイに導入
     日産自動車㈱は2015年5月12日、横浜市のスポーツ振
    興支援の一環として、横浜市の外郭団体である公益財団法
    人横浜市体育協会に対し、電気自動車
    「e-NV200SportsUtilityGear」を寄
    贈した。
     寄贈式は、横浜市の柏崎誠副市長、
    横浜市体育協会の山口宏会長、日産
    自動車の川口均専務執行役員が出席
    し、横浜市庁舎(神奈川県横浜市中区)
    で行われた。
    「e-NV200SportsUtilityGear」は、「日産リーフ」に続く量
    産型電気自動車第2弾として2014年10月に発売した「e-
    NV200」をベースに、よりアクティ
    にスポーツを楽しむ人のためにカスタ
    マイズしたクルマだ。同車は、2015
    年1月に幕張メッセで開催された「東
    京オートサロン2015」に出展され、
    来場者が選ぶ「東京国際カスタムカー
    コンテスト2015」のエコカー部門で
    優秀賞を受賞している。
    電気自動車寄贈…日産自動車
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    横浜市のスポーツ振興支援の一環として
    電気自動車「e-NV200SportsUtilityGear」を寄贈
    TheTRUCK2015年6月号95
    横浜市庁舎で行われた寄贈式給電機能を利用したクーラーボックスe-NV200の充電システム
    UDトラックスは今年創立80周年を迎える
     さらに同車は、この3月に開催された横浜初の市民参加型
    フルマラソン「横浜マラソン2015」の組織委員会など、スポー
    ツ関係者のアイデアを参考に、e-NV200の特長である給電
    機能を利用したクーラーボックスや簡易シャワーなど、スポーツ
    を楽しむ人々に便利な機能を装備している。
     このほど日産自動車が横浜マラソンをサポーしたことをきっか
    けに、横浜市のスポーツ振興を担う横浜市体育協会に本車両
    を寄贈することなったもの。
     日産自動車の川口均専務執行役員は、「日産はゼロ・エミ
    ション社会の実現を目指し、電気自動車の普及に取り組んで
    います。今回寄贈する車両は、スポーツを楽しむ人々のために
    電気自動車e-NV200の新たな活用方法を提案したクルマで
    す。静かで環境にも優しいこのクルマが、地元横浜の皆さまの
    お役に立つこを心から願っています」と述べている。
    「e-NV200SportsUtilityGear」は、今後、横浜市のスポー
    ツイベントなどで役立てられる予定となっている。
     UDトラックス㈱は、今年(2015年)、創立80周年を迎
    える。UDトラックスは戦前から戦後、高度経済成長期を経
    て現在に至るまで、輸送現場が直面する様々な課題に対して
    最先端の技術力でソリューションを提供し、社会の基盤である
    輸送システムを支えてきた。
     創業者の安達堅造氏は、トラックに必要な条件として、堅
    牢性や燃費効率、稼働率、大量で効率的な輸送を挙げ、い
    ち早くユーザーのコスト削減に貢献することを目指して来た。
    現在、「GoingtheExtraMileその一歩先へ」をブランドプロ
    ミスに、安全性や環境への配慮を追求し、燃費性、耐久性、
    信頼性、操縦性に優れた、高稼働率を可能にする世界最高
    水準の製品を提供している。
     UDトラックスの村上吉弘代表取締役社長は、「創業者の
    思いを、開発・生産・販売がひとつになって今日までつない
    できました。これからもお客様からビジネスパートナーとして選
    ばれるブランド・企業になることを全社一丸となって推進してい
    きます」と語っている。
     創立80周年を迎える今年5月に新しいUDエクスペリエ
    ンス・センターが本社・上尾工場敷地内にオープン、7月に
    は新社屋が竣工する。
    ■UDトラックス80年の歩み
    ▽難所・難路を踏破した3000㎞の試験走行
     1935年12月、創
    業者・安達堅造はUD
    トラックスの前
    身となる日本
    デイゼル工業
    株式会社を設
    立。1938年に初のディーゼルエンジン、翌年の
    1939年には「LD1型貨物自動車」1号車を完成
    させ、「究極の信頼」を実証すべく、安達自身による
    3000㎞におよぶ野外試験走行を実施した。当時
    創立80周年…UDトラックス
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    輸送業界の課題にソリューションを提供し続ける
    UDトラックスが今年創立
    80
    周年
    The TRUCK News
    Now
    TheTRUCK2015年6月号96
     UDトラックス㈱は、創立80周年を記念し、本社・上尾
    工場のテストコース内に、新たに「UDエクスペリエンス・セ
    ンター」を2015年5月8日にオープンした。UDトラックス
    の歴史や製品などを知ることで“UDトラックスブランド”に対
    する理解を深めることができ、輸送会社には事業効率向上
    のためのアドバイスなども提供できる施設を目指すものとなっ
    ている。
     同センターは、UDトラクスの80年におよぶ歴史やブラン
    の日本の道路はほとんどが未舗装で、幅が狭い道路や橋も
    多かったが、LD1型は13日間にわたる走行で、1本のボル
    トも緩まず、1本のスプリングも折れることはなかった。
    ▽「UDエンジン」の完成
     1950年代に入り電
    源開発や道路・鉄道・
    港湾の整備、大規模
    プラントの開発などのイ
    ンフラ造りが活発にな
    り、高馬力の大型トラックの需要が高まってきた。1955年
    1月、3気筒110馬力(UD3)と4気筒150馬力(UD4)
    の新ディーゼルエンジン「UDエンジン」、6月には6気筒
    230馬力のUD6を発表した。UD6は当時の日本において、
    「1馬力あたりの重量が世界で最も軽いエンジン」して高く
    評価された。この先進的な「ユニフロー掃気ディーゼルエンジン
    (Uniflowscavengingdieselengine)」はUDトラックスの
    名前の由来となっている。
    ▽名車「6TW」の誕生
     1958年に開発
    された6TWは、
    経済成長の基盤
    となるインフラ整
    備に活躍した。黒
    部第4ダムの建
    設に採用され、1964年開催の東京オリンピックに向けた名
    神高速道路や新幹線の敷設などにも活躍。6TWは様々な
    現場に建設資材を運び、日本の高度経済成長期における輸
    送を支えた。
    ドの訴求、製品やアフターサービスの理解促進などを目的と
    たプログラム“UDエクスペリエンス”参加者のための施設にな
    る。これまで、2013年4月から仮の建屋で同プログラムを実
    施してきたが今回、本格的な施設をオープン。プログラムの一
    部である試乗にアクセスしやすくするため、テストコースの一部
    を活用。敷地総面積も従来の600㎡から約5倍の3,000㎡
    に拡大させている。
     新センターは、4つの展示エリアで構成されている。昭和
    ▽中型トラック「コンドル」の登場
    1970年代に入ると、輸送の
    ニーズは多様化。製造業では
    単一製品の大量生産から多品
    種少量生産に発展、流通業
    界では生鮮食品や冷凍食品を
    運ぶコールドチェーンが普及しはじめた。これに伴い、様々な
    工場資材や生活用品、食品などを経済的・効率的に輸送す
    る中型トラックの需要が高まった。1975年に投入された中型
    トラッ「コンドル」でこしたニーズに応えている。
    ▽UDトラックスとして再出発
     2007年にボルボ・グループ
    の一員となり、2010年には社
    名を日産ディーゼル工業からUD
    トラックスに変更。創立以来
    培ってきたUDトラックスの品質力とボルボ・グループのグロー
    バル技術とのシナジー効果を発揮して、伝統と新しさが融合す
    トラクメーカーとなった。
    ▽フラッグシップトラック大型「クオン」のリニューアル
     2014年、フラッグシッ
    トラック大型「クオン」をリ
    ニューアル。燃費性能の
    向上により、燃料高といっ
    た日本の輸送業界が直面
    する課題の解決に貢献。また、稼働率、安全性、操作性
    の向上を追求することで、ドライバー不足・高齢化、労働時
    間の厳格化など日本の輸送業界が直面する課題にも対応し
    ている。
    新施設…UDトラックス
    話題のニュートラック新製品情報・新情報
    UDブランドの理解促進と運輸事業効率支援を目指し
    エクスペリエンス・センターを新規オープン
    TheTRUCK2015年6月号97
    新規オープンの「UDエクスペリエンス・センター」
    40年代のトラッ「6TW」「サングレート」などの歴代トラックを
    パネルで紹介した歴史エリア。フラグシップ大型トラック「クオ
    ン」、中・普型トラック「コンドル」、新興国向け大型トラック「ク
    エスター」など現行モデルのラインアップを展示したエリア。そ
    してUD車両のデザインコンセプトを紹介したエリア。アフター
    マーケットのエリアでは、車両の稼働を支える整備現場を再
    現してアフターサービスのソリューションを視覚的に紹介するほ
    か、現行エンジンのラインアップも展示されている。さらに来
    場者を迎えるレセプションや、2階には100名以上収容可能
    な約360㎡の会合スペースが用意されている。展示エリアの
    天井には縦6m×横11mの可動式大型スクリーンを設置。
    同センターは天井高が9mと大きな空間で、日ごろ見ることの
    できない角度から車両を一望できる。
    また車椅子対応のバリアフリー設計と
    もなっている。
     UDトラックスはブランドの理解と浸
    透を促進する目的で2013年から、
    歴史やブランドに関するプレゼンテー
    ション、工場見学、試乗をパッケー
    ジ化した“UDエクスペリエンス”プロ
    グラムを実施しており、これまでに社内外合わせて世界26ヵ
    国、累計1万人以上が参加している。新センターオープン後
    の2015年以降は輸送会社や報道関係者、従業員など国内
    外から毎年6,000人以上の来場者を見込んでいる。
     UDトラックスの村上吉弘代表取締役社長は、「新UDエク
    スペリエンス・センターには、UDトラックスブランドのすべてが
    詰まっている。多くの参加者にブランドとは何かを体感していた
    だくことで、各時代の輸送の課題に対してソリューションを提供
    し続けてきたUDトラックスの80年の歴史を振り返っていただ
    きたい。また同センターを活用して今後もお客様の事業効率向
    上の支援をしていきたい」と述べた。
     UDトラックスは現在、「GoingtheExtraMileその一歩
    先へ」をブランドプロミスに、安全性や環
    境への配慮を追求し、燃費性、耐久性、
    信頼性、操縦性に優れた、高稼働率を
    可能にする世界最高水準の製品を提供し
    ている。
     また、創立80周年を迎える今年は、
    新UDエクスペリエンス・センターのオープ
    ンに加えて、7月には新社屋が竣工する。