【対談】西郷隆好 千葉県トラック協会 会長
TheTRUCK2015年5月号 16
巻頭
Birds Eye
バーズアイ
少ないのが気になる
今年は一冊もない。私はある物流関係の「賞」の審査委員をしている。この1年の間に出版され
た本、発表された論文の中から優れたものを選んで表彰するわけである。昨年はノミネートされ
たものは2冊だった。一昨年もそういう少ない状況だった。しかし、今年はひとつもない。もち
ろん、教科書、解説書、啓蒙書のようなものはあるのだろうが研究書の類が見つからない。どう
してだろうか。
話は変わるが2013年、日本物流学会は第30回の全国大会を終え、創立30周年を迎えた。
1983年、20人の設立発起人がそのまま初代の理事になり、宇野政雄早稲田大学教授(当時)を会
長としてスタートした。会員の仲間、後輩、弟子などにも入ってもらい、最初の会員は100人に
も満たない小さな学会だった。そして、1984年、早稲田大学で第1回の全国大会と会員総会を行っ
た。アナログ時代の手つくりの大会だった。
それから30年、毎年欠けることなく全国大会を行い、会員も500人以上となった。表面的に
は発展したと言える。私は会長を経て、顧問となり、創立30周年記念誌の編集を委嘱され、そ
の記念誌もこの4月に発行できた。
思い返すと1983年ごろであるが田中内閣の後を受け(間に三木、福田政権が入るが)、中曽根
内閣時代であり、国鉄再建管理委員会によって国鉄民営化の方向が明示され、電電公社民営化法
が成立した年である。それ以前に石油危機があったとは言え、まだ、経済の高度成長の余韻があっ
た時代である。
その後、バブル経済が起こり、1989年に消費税が導入され、1990年にバブルが破裂する。こ
こから失われた20年。1991年にはソ連消滅、EUの創設がある。1993年には環境基本法が公布
され、1992年には製造物責任(PL)法が成立し、翌年施行される。そして、ご存知の2008年のリー
マンショックである。
この30年を考えてみると学会が創設されたはじめの10年は経済発展、経営拡大のための物流
という位置づけが明確に打ち出されていたと思う。輸送機関の整備、荷役の機械化、情報システ
ムの展開等などである。このことが物流研究のクローズドな領域内での進歩をもたらしたのだろ
う。しかし、1995年の阪神淡路大震災、そして2011年の東日本大震災等、自然災害が大きな問
題化し、ライフラインの確保、BCP(事業継続計画)が言われ、また、地球温暖化に基づくCO
2
等の温暖化物質の削減などがクローズアップされてきた。
これらは環境経済や災害時経済の側からの物流に対する要求が顕著になるわけであるが物流研
究者たちも自ら環境、災害の側に入り込んでゆく。一時期、物流研究者たちによる環境対応の、
BCPに関する物流・ロジスティクス関係の著作が何冊も作られた。
しかし、一方で本来の物流戦略や物流技術に関する研究が手薄になっているという傾向を生み
出した。物流学会の全国大会における会員の研究発表は若手を中心としてその数は増加を続けて
いるがその多くは「環境に対応させた物流の分析」というものに偏っている。過去に示された物流
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中田 信哉
そのもの戦略、構造、技術、機器等の関する
研究が弱体化しているように思われる。物流
だけの話ではないが全体的に経済経営関係の
研究や志向はディフェンシブ(守備型)なもの
になってきているように思われる。オフェン
シブ(攻撃型)のものが少なくなったと感じる
のは私だけだろうか。
物流の研究成果(著作など)が少なくなって
いるというのはこれが関係しているように思
われる。本来の物流研究者の環境対応としての環境そのものの研究には限界がある。また、社会
全体が守備型になっているために攻撃型の研究を受け入れようとはしない。これに出版不況が絡
んでくる。このところ、物流に関する著作が少なくなったのはそういう理由ではなかろうか。物
流研究者は増えており、大学でも物流論、ロジスティクス論の講座数は増えているのに、である。
研究だけでない。企業経営でもそうである。激変する環境を追うのに忙しく、本来の前向きの
経営活動がおろそかになっていないのか。医学でもそういうことは言える。病気を直し、健康に
直接関係するのは臨床医学である。しかし、それをバックアップするのが基礎医学であり、また、
そのベースに生物学、物理化学がある。私の義兄は医者だったが大学では解剖学の教授であった。
しかし、やっていることと言えば遺跡が発掘されるとそこへ飛び、発掘された人骨を計測し、分
析することだけだった。外科手術はできず、治療もできない医者だった。
環境に対応するのが臨床医学とするとそれを実現させるのが基礎医学である。性急に治療する
ことだけを考えていてはいけない。基礎医学のレベルが臨床医学のレベルともなる。基礎医学の
研究者は儲けと縁遠い。収入は大学の給料だけである。
物流研究はそのベースとなる本来の物流戦略、物流技術の研究が基礎であり、それにこだわる
ことも必要である。これは経済政策でも経営戦略でも同じであろう。最近の物流研究の低調さは
あまりに環境対応を追いすぎるからではなかろうか。環境を超越したオーソドクスな研究を行う
人の数と成果こそ、環境対応の物流のレベルの高さになるのではなかろうか。
賞の対象となる研究書の少なさに危機を感じている。企業人でも同じ意識にある人は多いはず
である。
そこでこういう句を。
押入に使はぬ枕さくらの夜 信子
枕は使わないがピアノもそうか
囀りやピアノの上の薄埃 元
《連結車両の駆動軸重規制緩和》
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■トレーラー規制緩和の背景
まず、このたび国土交通省が連結車両の規制
緩和に踏み切った背景からお復習いする。
緩和を検討する背景となったのは、老朽化が著
しい道路対策で、道路の維持・修繕を適切に実施
していく一方で、道路の劣化に与える影響が大き
い大型車両の通行適正化を図っていくことを根本
的に見直すことになったもの。
国などが実施した実験結果では、軸重20トンの
違反車両が道路橋の劣化に与える影響は、適正
な軸重10トン車の約4000台分にも相当する。ま
た、重量を違法に超過した大型車両は、全走行車
両の0.3%であるが、道路橋の劣化の約9割以上
を引き起こしていると見られている。
国土交通省では、このような状況に対応するた
め、悪質な違反者に対しては厳罰化の措置を実施
するが、一方で、大部分を占める道路の適正車両
に対しては、物流の効率化や国際競争力の確保
の観点から、通行許可基準を緩和することにした
もの。
具体的には、国際輸送コンテナの車両だけに許可
していた駆動軸重11.5トンを、現在10トンに制限
しているバン型などのセミトレーラー連 結 車にも同
等の緩和を実施する。また、45フィート国際輸送コ
ンテナなどの車両長の許可基準を17メートルから
18メートルに緩和し、通行許可を審査する際も、リ
アオーバーハングや交差角を考慮した上で審査
条件を緩和する。
今回の緩和は、主に欧州の基準に準じている
が、国土交通としては、物流の効率化や国際競争
力を確保することも大きな目的であることを明らか
にしている。
これまで日本のトレーラーは、寸法・重量とも大
型車の制限値を大幅に超えるため、特殊車両とし
トレーラーの欧州並み規制緩和で
日本のトレーラーはどう変わる?
いち早く開発に乗り出した
花見台自動車は3車種を
NEW環境展に出展
いま日本のトレーラーが大きく変わろうとしている。国土交通省がセミトレーラー連結
車の駆動軸重(トラクタ)の制限を間もなく10トンから11.5トンに緩和、合わせて連
結全長も45フィート国際輸送コンテナを積載して内陸輸送が出来るように緩和すること
を明らかにしたからである。この規制緩和に対応したトレーラーの開発にいち早く着手
したのが㈱花見台自動車の能條健二社長である。まだ製作途上であったが、新たな提
案車両3車種のトレーラーを見せてもらった。詳細はまだ明らかに出来ないが、これ
が常に先端車両の開発に取り組む同社の姿勢である。良い機会なので、今後、日本
のトレーラーがどのように変わるのか考えてみたい。
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て扱われ、運用が厳しく制限されてきた。山坂や
橋梁の多い日本は、道路保全や安全の面からもト
レーラーの運用を厳しく制限してきたが、物流の
国際化が進展する中で、いつまでも国内法規に固
執していたのでは、海外に大きく遅れをとる恐れが
あることから、違反車両を厳罰にする一方で、対象
車両を拡大して規制緩和に踏み切ることにしたも
の。(規制緩和の内容は21Pと22Pの図表を参照)
■トラック輸送業界の反応
この規制緩和によって日本の連結車両がどのよ
うに変わるのか、物流への影響がどのように現れ
るのか、まだ論議はほとんど行われていないが、全
日本トラック協会では3月6日と19日にTV会議シ
ステムを使用した「特車講習会」を開催しているの
で、その中からトラック輸送業者の疑問点をピック
アップして紹介する。(表現方法は本誌で編集)
連結車両総重量の緩和は
6.48tくらいが限度
■質問 車両の構造を補強すれば車両重量が増
えるので、有効積載トン数が減ることになるのでは
ないか?
◇回答 現状、トレーラー総重量28t(積載重量
約20t)までの車両であれば、駆動軸が1軸のトラ
クタでけん引が可能であるが、28tを超えるトレー
ラーをけん引する場合には、これまで駆動軸が2軸
のトラクタが必 要 であった 。しかし、今後は、トレー
ラー総重量が28tから36tに緩和され、けん引する
トラクタの軸重が緩和されるので、駆動軸が1軸ト
ラクタでも36tのトレーラーがけん引できるので、
構造補強を行い、トレーラーの重量が1t増えたとし
ても、トラクタの軽量化(約1t)とトレーラーの 重量
緩和(8t)によって、保安基準上は大幅に積載重量
を増やすことができる。実際には、特車通行許可
の関係で、連結車両総重量の緩和は6.48tくらい
が限度となる。
■質問 軸重が11.5tに緩和されたトラクタのバ
ラ積み一括緩和は、いつ頃可能になるのか?
◇回答 関係する政省令等が改正され、本年5
月1日より施行される予定。なお、改正後は特例
8車種用の11.5tのトラクタと36tまでのトレーラー
は、基準緩和申請が必要なくなる。また、新基準に
則った車両に係る特車許可は、本年6月1日以降に
申請が可能となる予定。
■質問 25t以上の積載物に関する基準緩和申
請を、茨城では受け付けず、神奈川で受け付けて
いる理由は?
◇回答 関東運輸局の管轄内では、基準緩和申
請は、関東運輸局で一括して受付している。なお、
法令改正後の基準緩和申請については、運輸局
から自動車検査独立行政法人に変更となる。
■質問 特殊車両通行許可の取消について、該
当する車両の許可証だけが取り消されるのか、そ
れとも、会社で許可を受けているすべての許可が
取り消されるのか?
製作が進む45ft海コン用トレーラー(B条件で走行可能)完成間近の20ft海コン用トレーラー
花見台自動車で製作が進む軸重緩和対応トレーラー
《連結車両の駆動軸重規制緩和》
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◇回答 車両制限令の許可の取消し(公表された
あとも違反があった場合等)は、対象車両のみとな
る。なお、警告書は車検証の使用者欄単位で発出
される。
■質問 現在、会員事業所では、オンライン申請
できない国道(地方整備局管轄外の国道)を通る
経路について、管轄の土木事務所へ申請されて
いる。その場合の経路は、高速国道も含むようで
あるが、やはりオンライン申請は出来ないという事
か? あくまでも、大型車誘導区間のみで終結す
る路線の場合のみ当てはまる変更なのか?
◇回答 国道事務所が管理している道路を含まな
い経路で、オンライン申請ができるのは、対象経
路の道路種別に高速自動車国道が含まれ、さらに
大型車誘導区間のみの場合。
■質問 道路管理者並びに警察から運輸局へ連
絡が行く流れはもともと存在しており、今回の省
令改正で改めて文言が追加された(積極的に連携
して違反撲滅に務める)という解釈でよいのか?
◇回答 従来からの流れはそのままで、今回新た
に、国交省の立会い取締りで基準の2倍以上の重
量が確認された場合には、警察へ即告発される仕
組みが開始されたということ。
■質問 通行許可条件の簡素化はないのか。A〜
D条件について、一番重要だと思うが。
◇回答 特例8車種の重量算定については、6月
の車両制限令改定により、重さ指定道路の通行に
ついて、海コントレーラーと同じB条 件となる。ただ
し、寸法についての改定はないので、交差点等で
C及びD条件が付加される可能性はある。
■質問 自動計測装置は、正確に計量出来るも
のなのか(ブレーキをかけている状態では重く計量
してしまうのか)。
◇回答 ブレーキ等の影響はあるが、影響を考慮
したトリガー値が設定されている。
■質問 単車でも20tを超える車両があるが、特
殊車両扱いとなり通行許可証が必要なのか。
◇回答 重さ指定道路及び高速道路以外で、積
載した状態で20tを超える場合には、特殊車両の
通行許可証が必要となる。
■質問 車両積載車の場合、今回の緩和措置で
積載トン数も増えるという事か。また、軸重の緩和
措置についても、今まで軸重の不足により連結出
来なかった車輌(トレーラ)も、連結出来る可能性
があるという事なのか。
◇回答 特例8車種にて3軸(駆動2軸)トラクタを
使用している車両については、積載トン数に大幅な
変更はない。2軸(駆動1軸)トラクタを使用してい
る場合には、4〜6.5tほど積載量が増やせると予
想されるが、その場合はトレーラーの構造変更申
請や、新しい基準でのトラクタとの連結検討申請
が必要となる。また3軸トラクタとほぼ同じ積載量
で2軸トラクタでのけん引が可能になる。
■質問 特例8車種以外の車両の場合、取締りと
特車申請書類とは連動しているのか。
◇回答 一般的制限値を超える車両については、
前まわりを独自開発した3軸フル積載トレーラー最後軸は板バネながらリフトアクスルとなっている
花見台自動車で製作が進む軸重緩和対応トレーラー
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全ての車両について、立会い取締り、自動取締りと
も特車許可書類を確認している。
■質問 ダンプトレーラーの規制について教えて
ほしい。
◇回答 現状では、土砂用ダンプトレーラーは「幌
枠型」、その他のダンプトレーラーは「あおり型」とし
ての規制を受ける。長さの特例は同じだが、重量
の特例は異なるので注意が必要。
■質問 単車での長尺物積載の基準は、前後の
はみ出し分も含めて16mまでか。
◇回答 新規格車等大型単車の限度値は12mな
ので、車両全長を超える積載物については特殊車
自動取締り機による取締りは
全ての大型車両が対象
■質問 特例8車種以外の低床トレーラーの場合
は、自動取締りの規制はどうなるのか?
◇回答 自動取締り機による取締りは全ての大型
両の通行許可と制限外積載の申請が必要となり、
道路と交通量によって規制される。一般的な制限
値については以下の通り。
◎特殊車両通行許可:単車では、積載状態で車両
全長が12mを超えると、申請が必要。また、単車
で車両全長が16mを超えると、個別審査となる。
◎制限外積載許可:積載物の限度は、自動車の長
さにその長さの10分の5の長さを加えたもので、
自動車の前後から長さの10分の3の長さを超えて
はみ出さないこと、となっている。また、積載状態の
単車で車両全長が16mを超えると、原則として許
可されない。
車両(特車一般制限値を超えた車)が対象となる。
■質問 特殊車両通行許可取消しに該当する死
亡事故発生の場合、その他の1件でもあったら、そ
の車両のみ取消なのか?
■質問 車両制限令の許可の取消し(公表され
たあとも違反があった場合等)は対象車両のみと
《連結車両の駆動軸重規制緩和》
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なる。警告書は、車検証の使用者欄単位で発出
される。
■質問 単車(20t超)に対する申請に特化した説
明会をしてほしい。
◇回答 基本的に、特車申請は単車もトレーラー
も同じとなる。
■質問 単車(25t)のタンクローリーや作業車両
(積載重量が6t、架装物を含む車両重量19t、と
いった車)に関して説明してほしい。
◇回答 新規格車については、高速道路及び重さ
指定道路以外は特車申請が必要となる。
■質問 単車(25t)の軸重の考え方が知りたい。
◇回答 道路運送車両の保安基準第4条を参照
のこと。
■質問 特車通行許可を得ている車両をレッカー
移動する場合、そのレッカー車は特車通行許可を
得る必要があるのか。
◇回答 確認は必要だが、緊急車両及び警察の
軸重緩和でコンテナトレーラーは大きく変わる
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依頼による車両は、規則の対象外と思われる。民
間レベルの輸送の場合は通常の特車許可申請が
必要となる。
■質問 基準の2倍以上の重量(即時告発)に関
する重量計算について、重機トレーラ(特例5車種
以外)で特殊車両通行許可を取得(許可重量50t)
している場合は、以下の計算式により、(ア)の場
合は車両総重量が70t、(イ)の場合は車両総重量
が75t以上と確認された場合、即時告発の対象と
なるのか。(ア)限度が20tまでの道路:70t=50t−
20t+20t×2倍
(イ)限度が25tまでの道路:75t=50t−25t+25t×
2倍
◇回答 その通りだ。
■質問 万一、許可を取得していなかった場合、
どうなるのか。
◇回答 (ア)限度が20tまでの道路:車両総重量
が40t(=20t×2倍)以上の場合、即時告発の対象
となる。(イ)限度が25tまでの道路:車両総重量が
50t(=25t×2倍)以上の場合、即時告発の対象と
なる。
■質問 今回の改正で、手続き上変わること、新
たに申請が必要なことや申請が不要になった事項
について教えて欲しい。
◇回答 車両の諸元を変更しない場合は、特に申
請等の手続きはない。新基準のトラクタとの連結
及び車両重量の変更(増)を行う場合には、構造変
更申請と新たな車検での特車申請が必要となる。
■質問 現在、国際海上コンテナをけん引するた
めに、11.5tの軸重緩和を受けているトラクタにつ
いて、特例8車種に該当するトレーラーをけん引す
る場合には、変更申請等が必要なのか。
◇回答 様々な条件により必要な手続きは異なる
ので、行政への確認が必要だが、恐らく構造変更
申請は不要と思われる。ただし、連結検討等の申
請手続きは必要となる。なお、軸重10tで既に申請
を行っており、新たに11.5tとして使用する場合に
は、構造変更申請が必要となる。軸重10tのままで
使用する場合には、構造変更申請は必要ない。
■質問 荷主に、特殊車両通行許可制度を理解
してもらう方策を検討してほしい。
◇回答 一例として、特車講習の際に荷主を招い
て開催している協会がある。また地整局等の協力
を得て、行政による荷主向けセミナー等を開催し
てはどうか。
■質問 道路法改正後、特殊車両通行許可上の
最大積載量は、今よりも増えるのか。
◇回答 今般の改正により、駆動軸重が11.5tま
で緩和されるトラクタについては、申請経路の条件
にもよるが、最大積載量が増える可能性がある。
45ft海コントレーラーも内陸走行が可能になる
コンテナの結合にも独自アイディアを盛り込んでいる
花見台自動車で製作が進む軸重緩和対応トレーラー
《連結車両の駆動軸重規制緩和》
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申請経路の条件等によるが、(駆動軸が)1軸のト
ラクタと3軸トレーラーの組み合わせについては、
積載量が約6t増やせる予定。(1軸トラクタはエア
サス車が条件となる)。また、(駆動軸が)2軸のト
ラクタと3軸トレーラーの組み合わせについては、ト
ラクタの軸重緩和はないが、トレーラーの軸重緩
和により約1〜2t積載量が増やせる予定。両方の
場合ともに、構造変更申請が必要となる。
■質問 シングルエアサスのヘッドとダブルのヘッ
ドでは、通行許可上の最大積載量に違いはある
のか。
◇回答 特例8車種のトレーラーをけん引する場
合には、総重量制限(44t)がほぼ同じになるため、
トラクタ重量の軽い1軸トラクタの方が積載重量を
増やせる可能性がある。また、1軸トラクタの方が
カプラ高さを低くできるので、組み合わせるトレー
ラーの車高も低くできるため、(高さのある)嵩物
の荷物が多く積載できるようになる。
■質問 悪質な重量オーバーなどで運送事業者・
荷主の名前公表は、本当にされているのか。見た
ことがない。
◇回答 平成25年2月の指導取締り要領の改正
による社名公表は、未だ実施された事業者がな
い。しかし、大型車の適正化方針を受け高速道路
会社では、社名公表を実施し、高速道路・債務返
済機構のホームページに掲載されている。また、本
年2月23日からの告発制度開始にともない、道路
局でも社名公表、告発を予定している。
■質問 基準内車両となったトレーラーを基準緩
和申請の必要なトラクタでけん引できるのか。
◇回答 特例8車種をけん引するトラクタは、基
本的には全て基準内トラクタに変更が可能。変更
を行わない基準緩和トラクタでも、(確認が必要だ
が)けん引は可能と思われる。また、その逆の組み
合わせも同様。
■質問 トリプル 軸のトレーラーについても、緩
和の取扱について、具体的な説明資料を出して
欲しい。
◇回答 トリプル軸のトレーラーを、今般の改正で軸
重が緩和されるトラクタでけん引する場合、従来、海
上コンテナ輸送車両にのみ適用されてきた軸重の緩
和に関する計算式が適用される。橋梁照査式に関す
る電子ファイルは国交省にもないので、車両制限令
の手引き等書籍を入手し、確認して欲しい。
■質問 オンライン申請で、グーグルクロームで
提出できないのはなぜか。
◇回答 国交省がInternetExploer利用を前提と
したシステムにて開発しているため使用できない。
利用に際してのシステム、使用機器の条件は、特
車PRサイト(http://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/
PR/)で確認して欲しい。
■質問 特車許可で、協議に時間が1〜3ヶ月も
かかるのはなぜか。
◇回答 国交省が定める申請から許可(不許可)
までの標準処理期間は下記の通り。
○新規申請・変更申請:3週間以内○更新申請:
2週間以内。
ただし、上記期間で処理が行われるのは、①申
請後に変更がない場合、②個別審査がない場合、
③未収録道路がない場合、④特殊車両算定限
度を超えない場合、以上の条件を満たしている場
合。高速道路と国道のデータは、ほぼ100%道路
情報便覧に登録されており、都道府県道について
も、60から70%が登録されているが、問題は市町
村道であり、日本の道路の84%を占め、総延長は
100万㎞を超えるが、ほんのわずかしかデータが
登録されていない。道路情報が掲載されていない
未収録道路が含まれる経路については、個別協議
及び審査が必要となり、1〜3ヶ月程度かかる場合
が多くなる。また、窓口によっては申請が集中する
ため、審査に入る前の段階で時間がかかる場合も
あるが、申請処理の効率化については、本年より
県単位での窓口集約化により集中的に申請処理
を行うなど、審査期間の短縮に向けた動きも見ら
れる。
■質問 重トレの緩和・改正はないのか。また、緩
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和申請(更新)の簡素化は行われないのか。
◇回答 国土交通省道路局が昨年5月に発表した
「道路の老朽化対策に向けた大型車両の通行の
適正化方針」において、違反実績のない者に対す
る許可期間(現行2年)の延長について、平成27
年度実施に向けて準備すると発表された。また、
関係する政省令等が改正され、特例8車種用の
11.5tのトラクタと36tまでのトレーラーは、基準緩
和申請が必要なくなりる。本年5月1日より施行さ
れる予定。
■早々に新モデルを開発、
5月の環境展に出展の花見台自動車
今回の連結車両規制緩和でいち早く緩和のメ
リットを活かしたトレーラーの開発に着手したのは
(株)花見台自動車の能條健二社長である。
これまで、3軸トレーラーを2軸トラクタ(1軸駆
動)で牽引する場合は、トラクタのグリップ力が弱く
て、僅かな坂道や凍結路では走行が困難になるた
め、第5輪荷重をアップするために、トレーラー先端
に約2トンのカウンターを取り付ける場合がある。
この車両は車両重量が重くなるため、積載が制限
されるばかりでなく、燃料消費も増大する。能條
社長はこの車両をメタボと失笑し、「わが国として
恥ずかしい車両」と酷評、今回のトラクタの駆動軸
重の規制緩和は、第5輪に充分な荷重をかける事
ができるため、「恥ずかしい車両」を造らなくて済む
ようになるという。
5月の環境展に出展する20ft海コン用と45ft
海コン用トレーラー、それに30t480㎏フル積載3
軸トレーラー3車種の詳 細はまだ明らかに出 来な
いが、軸重規制緩和対応トレーラーの開発につい
て、能條健二社長は次のように述べている。
「軸重の規制緩和によって合理性のあるトレー
ラーを製作できる時代になった。法律が変わったの
だから、メーカーがそれによる機能を最大限発揮
するトレーラーを開 発するのは当 然だ。この法改正
で第5輪には充分荷重をかける事ができるので、タ
イヤのグリップ力が増し、走行性能が向上するの
で環境にも優しい、安全性の高い車両が出来る。
今度の改正で45ft海コンを積載したトレーラーが
内陸を走行できるようになるので、国際コンテナリ
ゼーションも大きく前進する筈だ。トレーラーはトラ
クタと分割することで輸送と荷役を分離できる。こ
の機能を使うことで荷役作業の待ち時間なども解
消できるので、合理化が達成されドライバー不足
にも貢献する。今度の法改正は欧州の基準に合
わせていると聞いているが、ヨーロッパではアウト
バーンをトレーラーと乗用車が並列走行してトレー
ラーが急停車しても、車体が安定しているほどタ
イヤのグリップ性能は強化されている、と聞いた。
日本もその時代になったのだから、それに対応する
トレーラーをいち早く市場に出すべきだと思う。」
能條社長はまだ製作途上のトレーラー3車種を
特別に見せてくれた。従来はグースネックで対応し
ていた20ft海コン用トレーラーも、前回りを創意工
夫することでキングピンの位置を後方にズラし、連
結全長が短縮されキャブバックの空間も必要最小
限になる。また、45ft海コン用トレーラーもB条件
で内陸走行できるように車軸を配列している。
全日本トラック協会では、今回の軸重規制緩和
を最大限活かすために、補助金を活用して普及促
進に取り組むことも検討されているようであるが、ト
レーラーメーカーとしていち早く開発に乗り出した
能條社長には、開発者としての意気込みを感じる。
(秋林路)
軸重緩和対応トレーラー開発にいち早く着手した能條健二社長(手前は井上
元氏)
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長く続いた江戸時代から明治維新を経て世界に門戸を開いたわが国は、
東京を中心に近代国家を築き“マンモス都市東京”が出来上がった。その
隣県である千葉は、これまで同じ隣県の神奈川に比べて経済面でやや遅れ
ていると指摘されるケースがあった。しかし、浦安市から市原市にかけての
臨海地域は商・工業の進出、ディズニーランドに代表されるレジャー産業の
発展が著しく、首都圏の中心的役割の一端を担っている。また東京湾の海
底を貫くアクアラインは神奈川に直結しているので、南房総から都心への
アクセスも非常に好転している。現在建設が進んでいる圏央道が完成すれ
ば、外房地域も大きく発展するに違いない。
物流の一端を担うトラック運送事業は、その地域の産業と密接に関係し
ているが、千葉県は大消費地東京に近く、温暖な気候にも恵まれているの
で“穴場”的存在とも言える。その千葉県の運送事業者を束ねているのが
一般社団法人千葉県トラック協会(以下、千葉ト協)である。運輸支局や自
動車ディーラーも集結する千葉市美浜区新港の一角に本部を構える千葉ト
協は、県や経済界、一般市民も含めて様々な活動を展開している。
千葉ト協の西郷隆好会長は、温暖な南房総で大きく発展した安房運輸株
式会社の経営に長く携わって来られた方(現在は取締役相談役)で、温厚な
人柄が喋り方にも滲み出るリーダーである。
トラック協会長インタビュー《千葉県》
西郷隆好
(安房運輸株式会社)
国土交通省認定の
適性診断事業の推進並びに
交通安全適性診断車の導入に
より県民の交通安全教育に貢献
TheTRUCK2015年5月号 27
一般社団法人千葉県トラック協会の西郷隆好会長
□秋林路 私ども、来年のトラックの日を中心に4日間
(10月7日〜10日)、幕張メッセで東京トラックショー
を開催する計画です。千葉ト協さんは地元になります
ので、ご支援宜しくお願いします。
■西 郷 従来は東京ビッグサイトでしたね。
□秋林路 はい、30余年前の開催当初は晴海の展
示会場でしたが、そちらが閉鎖になって、自動的に
東京ビッグサイトになりました。東京モーターショーは、
幕張メッセが出来た時に移ったのですが、今は東京
ビッグサイトに戻っていますので、入れ替わりに東京ト
ラックショーが幕張メッセに移るカタチです。
■西 郷 全日本トラック協会もずっと後援していま
すね。
□秋林路 はい、第4回目からですので、20年以
上になります。2016東京トラックショーは、少子高齢
化等でトラックのドライバー不足が深刻化を増す時期
ですので、運送業界の将来を担うお子様と親御さん
をご招待する“こどもトラックショー”も計画しています。
TheTRUCK2015年5月号 28
2016東京トラックショーの開催について語る本誌・秋林路
■西 郷 千葉ト協も子供たちにトラック運送の役割
を知って頂くイベントを積極的に開催していますが、
大切なことですね。
□秋林路 はい、そのように考えています。親御さ
ん達はバスで来場される事になるので、車内でも全日
本トラック協会が制作したDVDを見せたり、会場で
はトラックに自由に乗車してメーカーの人から説明を聞
いたり、後で東京トラックショーの写真や絵画、作文
などのコンテストで表彰すれば、子供たちも積極的に
観てくれるのではないかと考えています。
■西 郷 若い世代が運転免許も取得しないほどク
ルマ離れの時代ですから、親の世代が苦労してつく
り上げた運送事業を子供たちに知らせることは、大
変意義があるのではないでしょうか。
□秋林路 目的は子供たちにトラック運送の役割を正
しく伝えることですが、NHKをはじめマスコミにも広く
取材を呼びかけますので、適正運賃を収受出来ない
ことが、ドライバー不足の大きな要因になっていること
を広く社会に伝える良い機会になると思います。
■西 郷 東京トラックショーの内容は従来と同じな
のですか。
□秋林路 トラックメーカーや車体・トレーラメーカー、
機能部品や新素材などをユーザーに広く観て頂くコン
セプトは変わりませんが、最近はメーカーとユーザー
が交流する機会が少なくて、ユーザーニーズが伝わ
りにくいと言われていますので、その交流促進の場に
なることも期待していますし、「トラック輸送の未来」を
テーマに、官や荷主も交えたシンポジウムも開催の予
定です。
■西 郷 そう言えば、最近のトラックは我々経営者
から見るとデラックス過ぎるのではないかという声があ
ります。サイドミラーだって運転席に座ったまま自由に
角度を換えることも出来るし、室内も超豪華です。運
賃は上がらないのにトラックだけが高価になって経営
を圧迫しています。昔はもっとシンプルだったし、運転
手も労を惜しまなかった…。
□秋林路 確かに、最近のトラックはデザインも室内
も豪華です。運送経営の立場では、そのコストが経
営を圧迫していることになるのですが、逆にドライバー
さんの立場でみると、運転室は長時間過ごす職場で
すので、居住環境は安全面でも重要です。最近大
きな問題になっているドライバー不足の原因は、賃金
が低すぎるという事ですが、その他にプライドを持て
る職業として認知されていないという事が上げられま
す。やはりプライドを持って働く為には、飛行機のパ
イロットのようなカッコ良さも必要です。私はトラックだ
けではなくて、ドライバーのユニホームも子供達が憧
れるようなデザインを追求することも大事だと思ってい
ます。
■西 郷 確かにそうだね。“魅力ある職業”にす
るべきだと多くの経営者が言い続けているけど、実態
は何も変わっていない。ただ、その為には車両に対し
てもドライバーに対しても投資が必要なので、運賃が
上がらない事には手の打ちようがないのが現実です。
□秋林路 そうですね。来年の東京トラックショーで
は、その実態を官や荷主、社会にも広く伝えることが
出来れば良いと思っています。
ところで今回はトラックショーの話題から入ってしまい
ましたが、このシリーズでは、地方トラック協会の活動
と、会長さんの会社と素顔を紹介しております。まず
TheTRUCK2015年5月号 29
東京湾臨海部に広がる京葉工業地帯
神奈川と直結する東京湾アクアライン
協会の活動ですが、その前に千葉県の産業構造や
物流の特長などを教えて下さい。
■西 郷 経済のグローバル化が進む中で産業の
競争力向上には物流の高度化、効率化が不可欠で
すが、幸い、この千葉県は非常に大きなポテンシャル
を秘めた県だと思います。例えば、首都圏でありなが
ら自然が豊かで、産業も全国で上位にランクされる産
業が多いので、これからも千葉県の物流は増加して
いくと考えています。具体的には、重厚長大産業を
担う京葉工業地帯を中心とした鉄鋼や石油化学製品
は全国第6位ですし、温暖な気候と大消費地である
東京に隣接する有利な立地条件で、農業産出額も
全国第3位、海面漁業漁獲量も全国第5位です。
全国屈指の農林水産物、花き類は全国第2位、畜
産も全国上位(鶏卵2位、豚3位、生乳5位)になっ
ていて、非常にバランスが取れた県といえます。
□秋林路 なるほど、陸・海・空の物流ではどのよ
うな動きがありますか。
■西 郷 陸でいえば東京湾アクアラインの利用促
進、とくに千葉県ではご存じの通り、森田健作県知
事に協力してアクアライン800円運動を後押しして実
現する事ができました。これは、千葉県の物流だけ
でなく、広くは首都圏を中心にした物流網の中で果た
す役割は非常に大きいと考えています。さらに外房、
九十九里を通る圈央道の開通や東京外環道の市川・
松戸区間の開通など、道路網の整備はこれからも進
みますので、市川地区や東葛地区を中心に大手企
業の物流センターが多数進出しています。これら高
速道路網の整備促進に伴って大型商業施設の進出
等も相次いでいますので、全県的にこの動きが続くも
のと見ております。
一方、海上輸送は、全国の港湾で日本一の広さを
持つ千葉港(市川市〜袖ヶ浦市まで6市にまたがる)
は、港湾貨物取扱量でも3大貿易港としての地位を
確立していますので、正に重厚長大産業の一大結節
点になっています。
空は成田空港の滑走路延長、LCC(格安航空)ター
ミナル増設に伴う物流量増加に対応した航空貨物の
運送事業者が成田地区にたくさん有ります。
このような中で千葉ト協では、重量鉄鋼部会(49社)
と、海上コンテナ部会(28社)を組織し、重量品・鉄
鋼品と海上コンテナの輸送に関係する法令遵守等を
含めた様々な活動を行っています。
また、航空貨物については部会組織にはしていま
せんが、印旛支部・香取支部を中心に輸送に携わる
事業者が沢山あります。さらに圈央道が東関東自動
車道まで延びればアクアラインを経由することができま
すので、成田空港発着貨物の流れが良くなると期待
しています。
TheTRUCK2015年5月号 30
災害時の支援物資輸送・保管等に関する3者協定を締結
□秋林路 千葉ト協とし
て取り組んでいる課題とし
てはどんな事が上げられ
ますか。
■西 郷 協会の課題と
しては、増加する輸送量
の動きを物流業界として十
分に取り入れて、共同輸
配送や積載の効率化、ま
た業界を挙げての運賃確
保対策、燃料高騰対策、
高速道路料金の低減、ド
ライバー不足対策等やらな
くてはならない事が山積し
ています。事故防止にも
積極的に取り組み、トラッ
ク運送業界が名実ともにライフラインとして認識される
ような事業を行いたいと思っています。物流は経済活
動の一環ですので、未来永劫なくなる事はありません
ので千葉ト協としてしっかりとフォローして行きたいと考
えています。
□秋林路 千葉ト協のホームページによると、組織力
強化にも積極的に取り組んでおられるようですね。
■西 郷 トラック業界の地位向上と法令遵守を図
る為に、一昨年から非会員の入会促進活動を展開し
ています。今年3月末の会員数は過去最高の1,781
社で、5両未満の事業者を除いた組織率では64%に
達しています。さらに会員数2,000社、組織率70%
を目指して、入会促進活動を積極的に展開していると
ころです。
□秋林路 トラック運送はライフラインに位置づけられ
ていますので、災害対策も大きな柱になるのではない
ですか。
■西 郷 その通りです。災害対応としては平成25
年1月22日に千葉県・千葉県倉庫協会と災害時の
支援物資の輸送、保管などに関する三者協定を締
結し、大規模災害時の物資輸送、保管について官
民が一体となり、三者が協力して有事に備えることに
なりました。千葉ト協の登録状況は、事業者94社、
車両406台、物流専門家33人、一時保管施設8
か所、フォークリフトオペレーターを含む作業員124
人、荷役機器30台で、迅速な対応ができるよう体制
整備を行っております。
□秋林路 万全ですね。業界のイメージアップも大
事な活動だと思いますが…。
■西 郷 広報・PR活動の一環として、千葉ト協
のマスコットキャラクターの「ちとらくん」の着ぐるみを製
作し、県内16支部が行う「トラックの日行事」などへ
参加しています。また、県内の小学生を対象に「児
童絵画コンクール&交通安全標語」を募集し、展示会
を開催するなど、広く一般県民・消費者に対して、トラッ
ク運送業界の紹介とイメージアップを図っています。
□秋林路 現在、千葉ト協の車両保有台数はおよそ
何台位ですか。
TheTRUCK2015年5月号 31
■西 郷 平成27年1月現在で、普通車35,953
台、小型車2,406台、牽引・非牽引9,927台など、
合計で48,301台となっています。これは、非会員の
保有車両(13,028台)を加えた占有率では78.8%を占
めています。
□秋林路 交代要員も含めて、必要なドライバーの
人数はどの位ですか。
■西 郷 平成27年1月末の被牽引を除く会員保
有車両約42,000台を稼働率7割と仮定すると、必要
なドライバー数は約30,000人と思われます。
□秋林路 では、現在のドライバー数と今後予想さ
れる不足の推移はどのようになりますか。
■西 郷 具体的な数値ではありませんが、会員
向けアンケート調査結果によると約7割の会員がドライ
バー不足、または今後不足が予想されると回答して
います。
□秋林路 なるほど…そのドライバー不足に協会とし
てどのように取り組んでおられるのですか。
■西 郷 今年度から、就労予定者に対する業界
のPRと求人情報を千葉ト協のホームページなどを活
用して行う予定です。
□秋林路 ドライバーにとって「魅力ある職業亅にする
為には何が必要だとお考えですか。
■西 郷 やはり、適正な運賃を収受して、ドライバー
の賃金を上げることが第一です。また、歩合制給与
となっているのにコンプライアンスの面でドライバーとし
て稼げなくなっているので、この課題を克服
していく必要があると思います。
そのためには、荷主企業の理解と協力を
得て、他の産業と比較して低い賃金水準を
2割程度引き上げ、長時間労働を含む労働
環境の改善を行って、ドライバーの待遇改
善と自らが誇れるステ一タス性を与える必要
があると思います。また、女性・高齢者・
外国人労働者の活用など、課題も多いので
すが対策を進める必要があります。
□秋林路 ドライバー不足は今後ますます
エスカレートすると言われていますので、荷主には積
極的に理解を求める必要があります。会員各社への
経営支援ですが、適正運賃の収受について、取り組
んでおられる内容は?
■西 郷 国土交通省令で定められた「運送業にお
ける書面化」の推進をしています。従来の運送契約
では曖昧になっている荷役作業や積卸しに係る附帯
料金、荷主構内などでの荷待ち待機時間などを正式
な料金として収授するため、運送事業者、荷主企業
双方に理解をいただけるよう取り組んでいます。
□秋林路 燃料価格の変動が激しい時代ですが、
対応とその内容は?
■西 郷 燃料サーチャージ制度への理解と普及を
図り、セーフティネット保証を活用して支援しています。
□秋林路 高速道路料金など経営負担となっている
課題への取り組みは?
■西 郷 私共の業界では高速道路の利用は時間
短縮やドライバーの負担軽減に不可欠となっており、
千葉県と連携したアクアライン通行料金の値下げ運動
の展開や上部団体である関東トラック協会と連携した
負担軽減の申し入れを行っています。
□秋林路 随分、積極的ですね。
■西 郷 その他にも「次世代経営者研修会」の開
催では、若手経営者層を対象に、安全管理・法令
遵守・組織管理・計数管理・労務管理など、企業経
営に必要なノウハウを修得する場を提供しています。
TheTRUCK2015年5月号 32
マスコットキャラクター“ちとらくん”
トラックの日イベントの会場風景
絵画コンクールの募集広告ポスター
㈱石原運輸のGマークラッピンクトラック
また、弁護士並びに社会保険労務士と顧問契約
を締結し、事業経営に係る法律問題や労働問題など
の相談業務を行っています。
□秋林路 最近、Gマークを貼付した車両を見かけ
る事も多くなりました。
■西 郷 そうですね。コンプライアンスの遵守と事
故防止に向けた指導や、優良認定事業者を増やす
取り組みとして、「Gマーク認定」を推進しています。
会員事業者に協力を要請して、Gマークを施したラッ
ピングトラック8台を走らせています。
□秋林路 Gマークはトラック運送業界のイメージアッ
プに大きく貢献していると思います。安全対策として
はどんな事に取り組んでおられますか。
■西 郷 平成30年までに、千葉県内のトラック
が第一当事者となる事故件数を520件以下、負傷
者数を720人以下、死者数を8人以下、飲酒運転
ゼロを目指す「千葉県トラック協会事業用トラック総合
安全プラン2009」の各種施策を推進しています。特
にデジタルタコグラフ、ドライブレコーダーの導入促進
に力を入れておりまして、ドライブレコーダーについて
は千葉県警察本部と映像提供の協定を結び、会員
の対象車両40,000台の半数にあたる20,000台の
装着を目指しています。(現在、約16,000台が装着)
また、平成15年度からスタートした「安全性優良
事業所認定制度」は11年目になりまして、千葉ト協
では現在の会員事業者の取得率は570社(33.5%)
で、平成30年度までに会員事業者の4割に当る約
700社の数値目標を設定し取り組んでいるところで
す。また、千葉県内の3,850事業所の内、955事
業所がGマークを取得しており、全体の25%に達
TheTRUCK2015年5月号 33
適性診断ルーム
銚子通運㈱のGマークラッピンクトラック
安房運輸㈱のGマークラッピンクトラック
交通安全適性診断車“ちとらくん”とトラックの日の交通安全教室
していますが、27年度中には1,000事業所を目指し
ています。
□秋林路 事故はドライバーの適性とも関係がありま
すが…
■西 郷 その運転者に対する適性診断事業につ
いては、平成23年度に国土交通大臣の認定を取得
して、義務付けの適性診断のうち、新規雇用者に対
する初任診断と、65歳以上の適齢診断を行うととも
に、一般適性診断も行っています。今年度は、新た
に事故惹起者を対象にした「特定診断I」(重大事故
を含む人身事故惹起運転者が対象)を開始します。
これまでの受診実績は、一般診断4,467人、初任診
断8,293人、適齢診断1,082人、合わせて13,842
人で、この数字は自動車事故対策機構とタイアップし
た認定機関では全国トップの数字になっています。
また、平成20年に交通安全適性診断車“ちとらく
ん”を導入し、交通安全教室を要望のある学校や一
般企業向けに行っているほか、協会会員向けには一
般適性診断を行っています。特に、交通安全教室で
は、子どもや高齢者などの交通弱者向け講習や、自
TheTRUCK2015年5月号 34
環境事業の一環、植樹式後には参加者全員で記念撮影
転車シミュレータを利用した自転車教室なども好評を
いただいております。
□秋林路 交通安全適性診断車は面白いですね。
■西 郷 “ちとらくん”を導入してからの利用実績
は、県民対象の交通安全教室には約50,000人が参
加し、会員向けの適性診断では、約18,000人が受
診しています。
□秋林路 安全と並んでこの業界が取り組まなけれ
ばならないのが環境問題ですよね。
■西 郷 トラック運送は公道を使用して行う事業
ですので、環境対策は社会的責任だと考えていま
す。具体的には、低公害車(CNG車・ハイブリッド
車)、最新規制適合車の導入促進を積極的に行っ
ています。その他の取組みとしては、環境から始め
る経営改善を目指した「グリーンエコプロジエクト活
動」を展開し、参加事業者はCO
2
・使用燃料の削
減、交通事故件数の減少と着実な成果を上げてい
ます。また、複数の自治体と共同で「トラックの森づく
り」事業を推進することで、トラック運送業界の環境
への取り組みを広く一般県民にアピールし、業界のイ
メージアップにも努めています。さらにトラック4ディー
ラーの協力を得て省燃費運転講習会を年間8回開
催しています。
□秋林路 安全・環境問題で特に国に要望したいこ
とは御座いますか。
■西 郷 安全・環境機器の導入支援をさらに進め
ていただきたいと思います。また、安全・環境機器に
ついては、国の主導で機器を統一し、価格を下げる
取り組みもお願いしたいと思います。
□秋林路 ドライバー不足とも関係のあった中型運転
免許問題は全日本トラック協会と全国高等学校校長
協会の活動もあって18歳からの取得がOKになる見
通しですが、それに対する感想はいかがですか。
■西 郷 非常に良いことだと歓迎しています。若
年層の呼び込みに繋がればと期待しています。
□秋林路 この制度改革で国に要望したい事はなに
か御座いますか。
■西 郷 施行まで2年程度かかると思われます
が、少しでも早い施行を望
んでいます。また、免許
取得に係る事業者やドライ
バーの負担を少しでも軽減
して頂きたいと思います。
□秋林路 最近、ユーザー
ニーズがメーカーに届きにく
いといわれていますが、何
かの情報交流の場がありま
すか。
■西 郷 現在、当協会
としてはトラックメーカーとの
交流が殆どありませんが、
各支部や青年部会などで
メーカーの工場の施設見学
会や懇談会を行っていると
TheTRUCK2015年5月号 35
創業当時の安房運輸(安房運輸70年の歩みより)
聞いております。当協会としても、安全装置の価格
低減や必要な設備の要望など、トラックメーカーにお
伝えしたいことは沢山ありますので、今後は是非積極
的にその機会を得たいと思っています。また、トラック
ディーラーが会員事業者への助成金申請を行うなど
接点も多いので、このつながりも今後模索して、事業
者の意見を製造・販売の現場で生かして頂きたいと
思っております。
□秋林路 そうですね。物づくりの立場にも都合が
あって出来ることと出来ない事があると思いますが、
ユーザーとの接点が希薄になると、現場が困るケー
スも出てくると思います。私としては東京トラックショー
が、情報交換の場になることを期待しています。幸
い幕張メッセには大規模な国際会議場もありますの
で、荷主企業も交えて物流車両のあり方を論議する
場が設定できれば良いと考えています。
■西 郷 そうですね。大いに期待しています。
□秋林路 東京トラックショーの開催は来年ですの
で、関係者に相談して準備を進めます。
ところで、ここで少し西郷会長の安房運輸について
お伺いします。まず創業当時の事から…。
■西 郷 当社は国の企業合同によって昭和18年
(1943年)11月に安房貨物自動車として発足して
いますので、一昨年で創立70
周年を迎えています。
□秋林路 当時はどんな物資
を運んでいたのですか。
■西 郷 安房地方は千葉県
内でも暖かい地域ですから、
お米や野菜、花、魚などを東
京に運んでいたようです。
□秋林路 西郷会長が入社さ
れたのは何年ですか。
■西 郷 昭和37年に事務
員として総務部に入りました。
当時は社員数が100名、保有
車両が40台弱でした。
TheTRUCK2015年5月号 36
品質第一の荷役作業(木更津営業所)
□秋林路 現在の規模は?
■西 郷 グループ全体では社員が約900名、車
両も600台以上になっています。年間売上げも100
億円に達する規模に成長しています。
□秋林路 素晴らしい。事務員としてご入社という事
ですが、若い時分は何か別の経験を?
■西 郷 当時は長男が跡を継ぐという暗黙のような
ものがあったのですが、私は都会に憧れていました
ので、高校を卒業して直ぐに東京に出ました。それ
で約8年間社会勉強をして会社に入ることになったの
ですが、何も分からないので総務で少し下働きをして
から営業に出ました。
□秋林路 営業というと荷主まわりですか。
■西 郷 そうです。当時は水産とか農産物の生
産者を回って荷物を集めていました。
□秋林路 昭和40年代ですと、まだコールドチェー
ンも始まったばかりですし、物流という言葉すら耳新
しく聞こえた時代です。温度管理もそれほど厳しくな
かったと思います。
■西 郷 そうです。要は荷物が相手に届けば良
い。安房地方から東京までそれほど遠くないので、
農水産物も鮮度が落ちる心配もなかったです。ト
ラックもボンネットの8トン車クラスが最大で、まだア
ルミバンもなくて、荷台には幌骨を立てていました
が、雨が降らなければシートも掛けていませんでし
たね。
□秋林路 当時の運送業者は非常にプロ意識が高
かったと聞いています。
■西 郷 運送事業免許も簡単には貰えない時代
ですから、経営者にはプライドがあったと思います。
運賃も当時の運輸省が決めたものがあったので、割
に安定していました。東京から戻る場合も大手の運
送業者さんから、安房方面に送る荷物を復荷として
頂いていたので、恵まれていました。
□秋林路 現在は主にどんな事業なのですか。
■西 郷 運送、引越、保管のほかに人材派遣の
サービスもあります。
□秋林路 ホームページによると「お預かりした荷物
は、そのままの荷姿で、音を立てない丁寧な荷運び
をモットーにしている。」とありますが、輸送品質という
点には徹底的に拘っておられるようですね。
■西 郷 引越もそうですが、お預かりする荷物は
お客様が大切にしておられるものですから、細心の
注意を払います。
□秋林路 花の事業も大きいようですね。
■西 郷 南房総にはすてきな花が沢山ありますの
で、これを全国各地へお届けします。当社は花造り
農家の方々と長年にわたる信頼を構築していますの
で、丹精込めて育てた花々を、産地から消費者の皆
様に直送しています。
□秋林路 暖かい南房総は農水産物が豊富です
し、大消費地の東京に近いことも地の利に恵まれて
いると思います。千葉県
は東京湾に面した内房と
太平洋に面する外房では
産業構造に大きな違いが
ありますが、現在、建設
が進んでいる圏央道が完
成すると、アクアラインを
通って神奈川〜静岡〜東
海へと直結しますので、
物流も大きく変わるのでは
ないでしょうか。
TheTRUCK2015年5月号 37
■西 郷 そのように思います。当社も常に社会変
化に対応して、最善のサービスを提供していきたいと
考えています。
□秋林路 西郷会長が社長を務められたのは何年
間ですか。
■西 郷 平成6年から約20年間です。
□秋林路 社長業として最も大切に考えておられた
事はどんな事ですか。
■西 郷 お客様が一番大切であることは当然です
が、経営の面では従業員あっての会社ですから、利
益が出れば出来るだけ社員に還元することに努めて
来ました。利益が出た時には賞与も年3回出しまし
た。この考えは先代も現社長(石川夕伎夫氏)も同じ
です。
□秋林路 御社の社員さんは恵まれていますね。と
ころで、西郷会長のご趣味などは?
■西 郷 ゴルフもやりますが今は“花づくり”です。
私は生まれ育ちが温暖な館山ですから、親も花づくり
をしていましたが、私も30名ほどで共同で花を作っ
て出荷しているんです。ですから、土いじりが私の趣
味です。(笑)
□秋林路 花は心の文化ですので、素晴らしいご趣
味です。それで、多少のお小遣いになればそれに超
したことはない(笑)。最後に今後の抱負をひと言…。
■西 郷 周りの皆様にも申し上げているのです
が、今年は人生集大成の年だと考えています。それ
が全てです。
□秋林路 それは…大切な年ですね。トラック運送
業界は国際情勢も大きく変化している時代ですので
課題山積ですが、先人の取り組みをお手本にして更
に発展して頂きたいと思います。本日はお忙しいとこ
ろ貴重なお話を有り難う御座いました。
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
会場受付風景
MATSはネーミングの通り会場がアメリカ中央部で開催されるので、大陸横断のオーナーオペレー
タ達も好んで立ち寄る
主催者:トビー・ヤング氏
MATS2015
ミッド・アメリカ・トラッキン
春の到来を告げる
米国最大のトラックショー
文と写真=
スヴェン
─
エリク リンドストランド
訳=
西襄二
アメリカでは国土が広いので、地域を分
けて年間に3回程度のトラックショーが開
催されている。今回は中でも3月に開
催された最大級のMATS:MidAmerica
TruckingShowのリポートである。
TheTRUCK2014年5月号 38
前年の市況は高水準
今回が第44回目となったミッド・アメリカ・
トラッキング・ショーMATS2015は3月26日
から28日の3日間、例年の会場(ケンタッキー州
ルイヴィルの国際展示場)で開催された。出展者は
1000社を超え米国43州及び海外14か国から賑
やかに集結した。来場者は81.768人で、居住地
は全米50州と海外74か国に及んだ。
2014年のアメリカトラック市場は活況を呈し、
クラス8市場では20万台に手が届く販売実績を
記録した。これは2006年以来の最高である。本
2015年は更にこれを上回る22万〜23万台が売
れると予測されている。
アメリカの中型トラック(クラス6、7)市場は基
本的に全需として10万台のレベルで大きな変化は
ない。このところのドル高の影響は北米に本拠を置
かないメーカーにとって有利に展開しており、恩恵
に預かるのは日野、ダイムラー、それにボルボなど
が挙げられる。ダイムラー及びボルボ両グループ
は、アメリカ大型トラック市場で凡そ60%のシェ
アを有する。ブランドでいえば、フレートライナー
Freightliner、ウエスターンスターWesternStar
(以上、ダイムラー系)、ボルボVolvoそれにマッ
クMackなどである。日野は現在クラス5、6、7
で参入しているが2014年には7,686台を販売し
た。しかし、日野は今回のMATS2015には出展
していなかった。
市場は気まぐれ
アメリカのトラック市場の販売台数はジェット
コースターのように上下が激しい。世界でもこれほ
グ・ショー
TheTRUCK2014年5月号 39
出所:Ward'sCommunications
順位
車名
2014年間
販売台数
シェア%
1Freightliner70,17635.64
2International28,85514.65
3Kenworth27,53713.98
4Peterbilt26,83613.63
5Volvo23,62612.00
6Mack16,8278.55
7WesternStar2,9991.52
8その他660.03
196,922100.00
出所:Ward'sCommunications
年次販売総数備考
1999263,316
2000210,930
2001139,576
2002146.031
2003142,724
2004203,142
2005256,002
2006284,008過去最多
2007150,965
2008133,473
200994,778
2010107,152
2011171,358
2012194,715
2013184,784
2014196,922
(表1)アメリカ国内市場クラス8車販売実績推移
(表2)アメリカ国内市場クラス8車販売実績推移
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
小規模企業が沢山参加してアクセサリー類の小間を連ねている
ど変動の激しい市場は他に見られない。過去最高は
2006年の大型車全体で28万台超を記録したが、
これは2007年から厳しくなったEPAの排出ガス
基準の発効を前にした駆け込み需要であった。アメ
リカの経済が全体として落ち込んだ2009年(リー
マンショックによる)には全需が9万6千台まで落
ち込んだものである。翌2010年から更に厳しい
排出ガス基準の発効を控えていたが、駆け込み需要
は完全に不発であった。
経済は上向き
このところアメリカ経済は全般に上向きで、道路
輸送需要は増加している。市中には未だ年式の古い
車両が多数保有されておりトラックもトレーラも代
替対象車が控えている。この関係で、大口の輸送企
業やリース車のセクターで新車の導入が活発になっ
ている。
今回のショーの会場はこうした2014年の活況
が反映して派手な設営の展示も多く、大手では自社
展示スペースに上階を設けて顧客の接待に心を砕い
ていた。車両展示の近接コーナーでは、小規模企業
が部品やアクセサリーの販売に余念がなかった。
ディーゼル車は引き続き主役
昨年来の石油価格の急激な低下傾向で、アメ
リカのディーゼル用軽油価格は1ガロン2.72
ドル(リーッター当たり0.78ドル≒74円/
L・・1USD=\120で換算)という水準にある。結
果、代替燃料として天然ガスなどの競争力はかなり
殺がれてしまっている。カミンズなどは、総排気量
15リットルのガスエンジン開発を当分中断すると
発表している。ボルボも2015年後半にガスエン
ジン搭載車をアメリカ市場に投入する計画であった
が、生産開始は早くても2016後半にずれ込むと
している。
TheTRUCK2014年5月号 40
カミンズと共同で開発した2.8Lディー
ゼルエンジン。アメリカでは珍しい小
型で最新技術が投入された
NISSANTITANトラックと言っても普段使いの足として重宝がられている
ヘッドカバーはマグネシウム製。排出ガス制御シス
テムはエンジンに直に搭載された。こうしたコンパ
クト・軽量化の結果、V8オールアルミ製のオリジ
ナルエンジンより80lb(≒36㎏)の軽量化を果た
した。
ハイウエイ走行モード試験(HFET)及び市街地
カミンズのATLASプロジェクト
カミンズ社はこの4年間、アメリカエネルギー
省(DOE)と共同研究を重ねてきた成果を公開し
た。軽量車向け先進技術開発プログラム(ATLAS)
として0.5トン積みピックアップ車向けディーゼ
ルエンジンの開発を行って来た。将来の第二次排出
ガス規制強化の基準に対応するこのエンジンは、
メーカーとしての総合平均排出ガスレベルの低減
(CAFE)を賭けた重要なプロジェクトで、2025年
まで有効な基準に対応する目的があった。
完成したデモ機はNISSAN北米社が提供した
Titan車に搭載された。この車のオリジナルエンジ
ンはガソリンV8型だが、カミンズチームは4気
筒のISF2.8型エンジンをベースとして開発に挑戦
した。
ATLAS対応エンジンは総排気量2.8L、重量
362lb(≒164㎏)でアルミ製シリンダーブロッ
ク、ヘッド、オイルパンを有することが特徴だ。
TheTRUCK2014年5月号 41
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
Volvoの展示場。VN型は近くキャブを含めて大幅なリニューアルを受けるものと筆者は見ている
走行モード試験(FTP-75)の成績は夫々35mpg
及び25.5mpg(≒14.9㎞/L及び10.8㎞/l)
である。これはアメリカ燃費基準(CAFE)の定め
る28.9mpgに対している現行のV8エンジンの
18.9mpgの場合と比較して大幅な改善である。同
時に排出ガス基準に対しても余裕をもってクリアす
る低レベルを達成した。
カミンズの2ステージターボ過給
新設計の2ステージターボ過給方式が2016年
型NISSANTitanXDピックアップ車に採用され
た。この次世代型ターボ過給システムはカミンズの
ロータリータービンコントロール(RTC)により、
走行性能向上と低排出ガスレベルを同時に達成して
意欲的なボルボ
Pusherプッシャー6×2アクスル
今回のショーで筆者が目玉の筆頭に上げたいの
いる。カミンズと日産の協働の成果である。
車載診断システム
出展した全メーカーが展示車に車載診断システム
を搭載しており、NavistarInternationalが最も
新しい採用メーカーとなった。この方面ではボルボ
が先駆者であり、同グループのMACKとともに北
米でこれまでに販売された8万台余のトラックに
採用されている。このシステムは診断に要する時間
を最大70%短縮する効果をもたらし、整備時間を
20%以上短縮している。
その他、今日標準装備化しているITシステムとし
ては、交通状況に順応したクルーズコントロールや
自動非常ブレーキシステムを挙げることが出来る。
は、ボルボの荷重感応型リフトアクスルである。長
く、アメリカの長距離運行用大型連結車用セミトラ
クタでは、6×4式のタンデムアクスルが好んで採
用されてきた。ボルボ車誕生の北欧では、ここ何十
TheTRUCK2014年5月号 42
Volvoのリフトアクスル。後前軸は非駆動軸で第五輪荷重の大小を感
知して必要な条件下で自動的にリフト/接地を使い分ける
LongVNと呼ばれるモデル。鼻先が長い上に長大なホィールベースで巨大なリビング付き?スリーパーを搭載して出展された
MackPusherマックプッシャ6×2
ボルボの北米系列であるMackは先に紹介したボ
ルボのリフトアクスル
方式を搭載したプッ
シャを出展した。但
し、名称はロードロ
ジックLoadLogicで
ある。マック系車に搭
載されているAMTは
ボルボのIーShift(外
観は青色ペイント)と
実質同じだが、名称は
mDriveと称し外観は
赤色にペイントされて
いる。
Nackのマスコット
はブルドッグなので、
Mack用AMTをBull-
年もの間6×2方式が好んで採用されており、これ
は軸距の長いストレートトラックにフルトレーラを
連結した場合で連結総重量が60トン、連結全長が
25.25mという長大車でもこの駆動方式である。
ボルボの新アクスルは、ダブルタイヤを履いて後
前軸として組み付けられている。電子的にカプラ荷
重の大小を検知し、積載の無い状態では走行中に新
アクスルはリフトアップされる。積荷を降ろした復
路運行などではこの状態で運行し走行抵抗を軽減す
Shiftブル・シフトと呼ぶ人もいる。当初はオンハ
イウエイの運行車に採用されていたが、最近は建設
用途などの重量モデルにも採用が拡がり、こちらは
黒色に塗られている。(こうした色分けは、細部の仕
る。燃費改善とタイヤライフに貢献する。駆動力の
効率的伝達にも寄与する。降雪時の滑りやすい路面
では後々軸の負担荷重を増し駆動力を効率的に発揮
させる。ボルボ北米社のゲラン・ニベルグ社長の説
明である。
ボルボはVN及びVHDモデルを多数展示し、
加えてAMT(自動化機械式トランスミッション)で
あるIーShiftなど駆動系コンポーネントも充実し
た展示を行った。IーShiftは2007年から北米市
場に導入されてきたが、ヘビーデューティ用途の
モデル向けにも追加され、建設用途車等に採用が
拡大している。
北米市場で主力のVNモデル(ボンネットを有す
る北米型)は欧州で主力の実績有るFHモデルとコ
ンポーネントの多くを同じくしている。近く、北米
VNモデルは大幅なリニューアルを受けることにな
る筈だ。筆者の見るところ、キャブはルノートラッ
クの骨格が利用されるのではないか。何故なら、こ
のキャブのウィンドスクリーンはボルボの近年の
FHより立っており、北米スタイルに馴染むのでは
ないかと観察している。
TheTRUCK2014年5月号 43
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
MackTitanは押し出しが強いデザインだ。背後のパネルの460の数字はアメリカの東海岸から西海岸の全域をカバーしてサービス拠点460か所で最
高のサービスを提供していることを訴求している
これまで親しまれてきた古
くなったMackのマスコット
〝ブルドッグ〟
リデザインされたMackのマスコット〝ブルドッグ〟。金色
は自社エンジン搭載車、銀色はカミンズ製エンジン搭載
車と使い分ける
様が異なるコンポーネントの誤用を避ける目的もあ
ろう:訳者注)
Mack車のエンジンは11リットルのMP7型、
13リットルのMP8型、そして出力600馬力超の
16リットルMP10型が用途によって使い分けられ
ている。全てボルボのエンジニアリングによる。
昨年、Mackのマスコットのブルドッグには少々
デザイン変更があり、やや頭を横に向けている。
このマック車
用エンジンはボ
ルボパワート
レーン社から供
給されている。マックは創業114年の歴史を有するアメリカ国内
きっての老舗だが、ここで長年親しまれてきたマスコットのブルドッ
グのイメージチェンジを断行した。新しい愛称は〝BornReadyお
馴染みだね〟とされた。
TheTRUCK2014年5月号 44
Mack用AMTは黒色塗装。基本的にはVOLVOの
iShiftと共通
Mack用リフトアクスル(右方が前方)
Mackのデモ車。簡易型アンダースカート整流板が見える
Mack用エンジン。右手前からMP10、MP8、
MP7で赤色ペイントが特徴(ボルボエンジンは青
色)。全てVOLVOのエンジニアリングで製造される
Freightlinerフレートライナーの
近未来車
北米ダイムラートラック社はアメリカ市場の重量
級車で42%超のトップシェアを確保しているが、
今回は近未来車のコンセプトモデルを展示した。昨
年のIAA2014に出展したものに近い。
ここ5年間、8000万USDの開発費をつぎ込ん
でこのコンセプトモデルは開発された。これまでに
世に出た重量トラックと比較して最高レベルの効
率を誇る。開発に投じられた8000万USDの内、
4000万USDは米エネルギー省からの補助金であ
り残りはダイムラーの自己資金が当てられた。
このスーパートラックは、ダイムラー北米社の
ディアンヌ・ヘイムズ市場戦略部門長が語るところ
によると、在来車に対して115%の輸送効率向上
が見込まれるという。燃費効率の向上と相まって、
軽量化によって実質積載重量を増加出来る相乗効果
がその裏付けとなっている。
そして本プロジェクトのデレク・ロッツリーダー
によれば、出展したコンセプト車には各種のIT利
用の電動システムとしてパワステ、空圧システム、
車速感応空力システム、長距離運行用ハイブリッド
システム、廃熱回収システム等に加え、トレーラに
TheTRUCK2014年5月号 45
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
DaimlerNorthAmerica社のFreightlinerスタンド。グループのDetroitのロゴパネルも見える。クラシックデザインのモデルは無い
Freightlinerの近未来コンセプトモデル〝Supertruck〟本プロジェクトのデレク・ロッツリーダー
TheTRUCK2014年5月号 46
MercedesBenzメルセデス・ベンツのSprinterスプリンター車をアメリカではFreightlinerフレートライナーのブラン
ドで販売する。これは4×4モデル。サウスキャロライナ州チャールストンの新工場で生産される予定。
Freightlinerのスタンドにはこんな半製品〝Glider
グライダー〟が展示された。事故で大きく損傷した
車のパワートレーンやアクスルなどが補修して再使
用が可能な場合、こうした主要コンポーネント・レ
スの半製品をアフターマーケット用に供給する。ア
メリカならではのマーケティングといえよう
は太陽電池パネル等が
搭載されている。
パワートレーンは、
グループのデトロイト
ディーゼル社のエン
ジンDT12型にAMT
(PowerShift3)と温度
/車速感応式のグリル
シャッターも採用され
ている。低速走行時に
このシャッターは開い
てエンジン冷却を充分
に行う一方、高速走行
時には閉じて空力特性
を改善する。
なお、既にこうし
た新機構は現行モデ
ルにも採用され、フ
レートライナー車の
CascadiaEvolution
モデルでは今後の姉妹
車のベンチマークなっ
ている。
が中間仕様だが、限定モデルにICONのバッジを
付けて一際来場者の注目を集めていた。ベース車は
クラシックなスタイルのW900L型である。
ピータービルト車では2台の579Epoqモデル
を展示した。メーカー側の説明によれば、燃費が最
高14%まで改善されているという。これに寄与し
ているのは空力デザインの改良、パッカーMX13
型エンジン及び動力伝達機構の仕様最適化である
という。転がり抵抗を改善したグッドイヤーFuel
Maxタイヤの影響も大きいという。
Paccar社
パッカーPaccar社の車名ブランドはケンワー
スKenworthとピータービルトPeterbiltで、ア
メリカ国内で歴史のある両車だ。オーナーオペレー
タに好まれるブランドとして根強い人気がある。こ
れら両車の展示は概ね前年と趣を同じくしていた
が、両車の間にMX型エンジンの採用で異なる動
きがあった。
ケンワースのT680型とT880型はルーフ高さ
TheTRUCK2014年5月号 47
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
Paccar社のKenworth部門の旗艦車Icon900。このクラシックなデザインが今も根強い人気を保っている
KenworthT680型車。こうした空力を考慮したデザインも増加傾向
TheTRUCK2014年5月号 48
グループのオランダDAFのLF車はKenworthKW270として販売される
PeterbiltのEpicモデル
TheTRUCK2014年5月号 49
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
これもアメリカのトラック・・
Peterbiltの会場風景
Peterbiltの389モデル。クラッックデザイン車は欠かせない
Paccar社のPeterbilt部門のスタンド。自社製パワートレーンの訴求に
余念がない
キャンディをどうぞ
自社グループのMX13ディーゼルエンジンとパワートレーン
TheTRUCK2014年5月号 50
InternationalのクラシックモデルEagle
Internationalの旗艦車LoneStar。根強い人気が有る車だ
InternationalのN13型ディーゼルエンジン
ナヴィスターインターナショナル
独立系ナヴィスター車は全車にリモートア
クセス可能な車載診断システムOnCommand
Connection(OCC)を標準搭載し、この6月から
納車を開始すると発表した。ショー開催時点で既
に同車のオーナーである人達に対しては、地元の
ディーラーの招きにより無償で追加装着出来るとし
ている。
ナヴィスターのこの遠隔診断システムは、全米中
のテレマティクスプロバイダー11社を通じて接続
が可能である。4000項目を上回る診断コードの対
象となるのは、自社製のコンポーネントに関わるも
のからサプライヤに発注して納入されたシステム、
例えばカミンズ製エンジンやイートン製変速機など
を含む。
TheTRUCK2014年5月号 51
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
InternationalのWorkStar
InternationalのPoster
TheTRUCK2014年5月号 52
DaimlerグループのWesternStar5700型、デイキャブだ
アメリカ特有の複雑なブリッジフォーミュラに対応する多軸シャシ架装のミキ
サー車
WesternStar4900EXは乗り心地の良さを訴求
ウエスターンスター車
ダイムラー系列のウエスターンスター車は、ト
ラックメーカーとしては全米中最小規模ではある
が、オーナーオペレータに根強い支持層がある。
長距離運行用新型5700XE型のクラス8型トラク
タでは、2015年後半からノースキャロナイナ州ク
リーヴランドにあるダイムラー北米社の工場で生産
が開始される予定である。
TheTRUCK2014年5月号 53
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
Dana特製タンデムアクスルセット。後前軸の駆動力をON/OFFするこ
とで巡航時の走行抵抗を軽減できる
CumminsのISX15型ディーゼルエンジン
新品と見まがうCumminsのRemanufactured再生エンジン
CumminsとEatonの組み合わせパワートレーン。両社が共同で完成さ
せた最適協調制御システムで運転される
賢い駆動系制御システム
ボルボは、エンジンと12速AMTであるIー
Shiftトランスミッションを統合制御して運行の最
適化を行うことについては先駆者であった。
エンジンメーカーのカミンズとトランスミッショ
ンメーカーのイートンは連携して10速AMTフ
ラーシリーズとエンジンの統合制御に成功してい
る。アメリカでは一つのブランド車に複数のエンジ
ン、トランスミッション、アクスルなどの主要コン
ポーネントをカタログ上の選択仕様に表記し、ユー
ザーの好みに対し選択肢を設けてきた歴史がある。
垂直統合している欧州や日本の場合とトラック文化
が異なるといえる。
ダイムラーの場合は、傘下のデトロイト(かつて
のデトロイトディーゼル)のブランドでDT12型エ
ンジンとAMTであるPowerShiftの両方を製造し
ている。
2010年、Paccar社はグループの欧州オランダの
DAF製13リットルMXエンジンを、北米市場で
KenworthケンワースとPeterbiltピータビルト
両車の標準仕様の一部に組み入れたことがある。こ
の時、組み合わせるトランスミッションは、自社製
手動ミッションとEaton社製SmartAdvantage
スマートアドバンテージAMTの組み合わせを選択
可能としていた。
欧州で販売しているDAFのMX13型エンジンに
はZF社のAstronicという名称のAMTを組み合わ
せている。筆者が見るところ、ZF社はPaccar社
と連携して新型のTraxonトラクソンという名称の
AMTを北米市場向けに現在開発中である。2000
年代の初期に、ZFとMeritorの両社はFreedom
Lineという名称でAMTであるAS-Tronic自動変
速機を開発していたことがあった。しかし、これは
時期尚早で立ち消えていたといえよう。
Dana社の新製品
TheTRUCK2014年5月号 54
ZFのハイブリッド機能組み込みパワートレーン。ZFの展示場の一角にモデルトラックの実演をしていた
WITの主宰者エレン・ヴォ
イエ氏。女性起業家の一
人としてオバマ大統領表彰
をうけたこともある人だ
アクスル等シャシ組み付け用コンポーネントメー
カーの大手Dana社は、6×4のタンデムアクス
ルの走行抵抗軽減を目的に、発進時に2軸でしっ
かりと路面をグリップして不整路面での発進を確
実にすると同時に、一定速度に達すると中間軸の
駆動系を切り離して走行する新製品を出展した。
AdvanTEKDualRangeDisconnecというのが
そのシステムの名称である。
女性ドライバーの会
本誌では過去に何度か紹介したが、営業免許を
保有して仕事をする全米の女性ドライバーを組織
する団体WITWomenInTruckingは益々意気軒
昂な所を見せ、ショー開催期間中に年次大会を開
催した。会長のエレン・ヴォイエ氏の指導力のも
と、会員登録している女性ドライバー達はそのプ
ロ意識の高さと運転実績を買われて引く手あまた
の状態という。アメリカでもドライバー不足は深
刻と言われているが、AMT採用車の増加や女性ド
ライバー向けのキャブ装備デザインを取り入れる
動きなども後押しとなって女性ドライバーは今後
も増加するはずである。かつて、アメリカのトラッ
クはシンクロ無しのギヤボックスをダブルクラッ
チ操作で巧みに操るのがプロドライバーといわれ
ていたが、これは昔語りになっている。
MATSは間違いなくアメリカで開催されるト
ラックショーの中で最大規模である。しかし、IAA
商用車展の規模は桁外れに大きく、こちらが世界
最大のトラック及びバスを網羅したショーである
ことは動かない事実である。
次回のMATSは2016年の3月31日から4
月2日にかけて同じ会場で開催される。
(本稿おわり)
TheTRUCK2014年5月号 55
出所:Ward'sCommunications
年次車名
2014年間
販売台数
シェア%
1Chevolet24,0017.86
2Dodge/Ram137,83745.12
3Ford109,81335.95
4Freightliner3,6241.19
5GMC8,8192.89
6HINO1,0360.34
7International1,9460.64
8ISUZU
16,756
5.48
9Kenworth140.00
10MitsubishiFUSO1,6310.53
11Peterbilt190.00
合計305,496100.00
(表3)アメリカ国内市場クラス3、4、5トラック2014年販売実績
MID-AMERICATRUCKINGSHOW2015
WomenInTruckingWITは会員を増やし、今年もMATS開催期間中に会場の2階コンベンションホールで年次総会を開催した
TheTRUCK2014年5月号
56
大きさ呼称クラス
車両総重量
(連結総重量)
(lbs)
車両総重量
(連結総重量)
(㎏)
車軸数タイヤ数代表車種・用途
Light(小型)
1<6,000<2,72424ピックアップ、バン
26,000ー10,0002,724ー4,54026ステップバン、小型郵便車
Medium
(中型)
310,000ー14,0004,540ー6,35626メトロバン、小型けん引トラック
414,000ー16,0006,356ー7,26426平ボディ
516,000ー19,5007,264ー8,85326
中型けん引トラック、ステーキ煽り付平ボディ、小
荷物集配バン
Light-Heavy
(中大型)
619,500ー26,0008.853ー11.80436
単車トラック(30フィート級)、引越バン、清涼飲料
配送車、家庭用暖房オイル配送車、武装警護車、
ミニバス
Heavy(大型)
726,000ー33,00011,804ー14,982310
トラクタ/トレーラ(40フィート級)、引越用バントラッ
ク、ダンプトラック、近距離路線バス
8>33,000>14,982
3
3+
10
10+
トラクタ/トレーラ(50')、引越用バントラック、貨物
トラック、コンクリートミキサ、ダンプトラック、連節
バス、グレイハウンド型バス
(バークレー市条例より抜粋) 翻訳:物流問題研究所
摘要A.商用車とは商用車登録票(ナンバープレート)を掲げた車両をいう
B.米トン1ton=2000LBS(≒908㎏)
1ポンド≒0.454g 1メトリックトン≒1100lb
C.トラック(商用車)の重量別分類(下表参照)
(表4)米国商用車重量別区分
5台積?車両運搬車
(扉??車両、?????車対応OP装着車)
5台積?車両運搬車
(扉??、側方???????荷役対応低枠型)
小型???軽自動車3台積?車両運搬車
大型3台積?車両運搬車
(?????車対応???装着車)
4t、5.5t???2台積?車両運搬車
(?????装着車)
小型???2台積?運搬車
(後柱昇降式、WB延長改造車)
小型???2台積?運搬車
(?????OP)
5台積載車両運搬車
(F???????仕様OP装着車)
素早い対応 徹底追求
お客様の信頼のために最高の品質を
本 社 〒136ー0071 東京都江東区亀戸1丁目7番3号 パークノヴァ亀戸20
TEL03ー3683ー0391(代表)FAX03ー3636ー1105
八千代工場 〒276ー0004 千葉県八千代市島田台815番地
TEL047ー488ー2511(代表)FAX047ー488ー2514
http://www.hosoyashatai.co.jp/
詳しい情報はウエブで検索
トラック関連の企業や団体が集まる千葉市新港に位置する房総車体の本社工場。この近くに第2工場もある
TheTRUCK2015年5月号 58
新シリーズ
◇
時代を語る
車体人
?
側面にシャッターを取り付けた
“シャッターバン”を独自開発
ボディー架装に妥協を
一切許さない
技術力重視のメーカー
今月号からトラックボディーメーカーを主軸とした新シリーズ「時代を語る車体
人」をスタートさせることになった。トラックは産業の生産財で、運送事業者は
トラックを道具として利用し利益を得る。そんなトラックで重要な部分になる
のがボディーである。全国には優れた技術を持ち、ユーザーニーズを優先さ
せたボディーを製造する企業が数多く存在している。30年以上前に北海道
から九州・沖縄までボディーメーカーを訪ね歩いた「聞き耳訪問記」を担当し
ていたが、それに次ぐ第二弾のシリーズとなる。その初回となる今回は、シャッ
ター開閉の側面開放車“シャッターバン”で知られる房総車体有限会社を選
んだ。(於久田)
大型トレーラも環道を走行する車両を優先に
して停止することなくラウンドアバウトへ進入
輸送中の板ガラスを保護する構造のフルシャッター
バン式のガラス運搬車。シャッターバンなら工事
現場などの限られたスペースでも側面を全開放でき
る。これがシャッターバン最大の特長で魅力にもなっ
ている
60歳を過ぎ髪の毛に白いものが目立
ち始めた佐藤幸男社長。筆者とは
40年近い付き合いになる
TheTRUCK2015年5月号 59
房総車体(千葉県)
ステンレスフレームを採用した医療廃棄物運搬用のシャッター
バン。これまで培ってきた技術力を活かしあらゆるニーズに応
じたボディー架装が行えるのが房総車体だ
TheTRUCK2015年5月号 60
新シリーズ
◇
時代を語る
車体人
?
画期的側面開放車として
シャッターバンを開発
房総車体を訪問するのは約2年ぶりだ。筆者が
初めて同社を訪問したのは今から40年近く前にな
る。大手車体メーカーの営業部長から、千葉にシャッ
ター式の側面開放車を開発したメーカーがあると聞
き、速攻で訪ねたのが最初だった。まだ、記者にな
り立てでボディーの事は殆ど分からない筆者に、創
業者の故佐藤清明社長とご子息の佐藤幸男(現社長)
氏は“シャッターバン”の構造からその優位性を懇
切丁寧に説明してくれたのを今でも覚えている。そ
の後、ことあるごとに同社を訪ねている。用が無く
ても訪ねて、創業者である先代社長の話を聞くのが
好きだった。その破天荒とも思えるボディーに対す
る開発思想は筆者の肥やしにもなっていた。その先
代が神主の家系だと聞いて驚いたこともあった。
同社は昭和30年の創業である。その頃は房総電
機としてバッテリー再生の仕事を主体にしていた。
戦後、自動車の需要アップにバッテリー生産が追い
つかない時代だった。その時に再生バッテリーを扱
う事業をいち早くスタートさせ、大きな財を築き上
げた。房総車体としてボディー製造に転じたときに
は、その豊富な資金力を使い、プレス、シャーリン
グ、NC旋盤など当時の最先端工作機械を数多く取
り入れた技術優先の工場を保有していた。“シャッ
ターバン”を開発したのはその頃である。
その後も工場を拡張するなど発展を続けたが、日
本経済の荒波をまともに受け、会社の規模を縮小せ
ざるを得なくなった。しかし、従来から受け継がれ
たもの造りへの技術的妥協は現在でも一切していな
い。そこには創業者のDNAを完璧に受け継いだ佐
藤幸男社長がいる。このようなボディーメーカーは
全国に数多く存在するが、その中でも房総車体は筆
者の思い入れがもっとも強い会社である。
不思議と千葉県を基盤にしたボディーメーカーは
極端に少ない。房総車体は千葉で創業し、しっかり
千葉に根を張り、そしてシャッターバンなど開発製
品で全国展開している数少ないボディーメーカーの
一社である。
シャッターバンは開放時の突起物がない。そのメリットを利用
した各種シャッターバンがこれまで数多く開発されている
TheTRUCK2015年5月号 61
房総車体(千葉県)
同社が位置する千葉市新港は、自動車ディー
ラー、陸運事務所、千葉県トラック協会など、特に
トラック産業が集積しているエリアだ。JR京葉線
稲毛海岸駅からタクシーで10分ほどの場所に同社
はある。久しぶりにお会いした佐藤社長の頭には白
いものが目立つようになっていた。佐藤社長の顔を
見るとなぜかホッとした気持ちになる。40年近い
付き合いだし、年も殆ど同じなので言いたいことを
言い合える中でもある。筆者を信頼してくれている
ので佐藤社長も何でも話してくれる。そんな関係が
今でも続いている。
塗装とトラクタヘッドの仕事が増加
シャッターバン式ガラス運搬車に注目
房総車体には大型車対応の塗装ブースがある。大
型車に対応した塗装ブースを持つ会社はこの新港に
は2社だけで、そのうちの1社が房総車体である。
「2色ならメーカーやディーラーでも対応してい
ますが、多色塗装になると当社に注文が来るんで
す。キャブの塗装だけでも1台塗るのに3〜4日
かかるんです。なので、月に10台ぐらいが限度で
すね。ディーラーから注文が来ますが、現状、塗装
関係はフル稼働です。過去に扱った塗装のデータを
整理し管理してますので、同じ仕様であれば敏速に
対応できます」(佐藤社長)
工場にはトラクタヘッドが数台おかれていた。最
近になって、その関係の艤装が集中していると言う。
「現在のメインはトラクタヘッド関係です。その
殆どはディーラーから受注しているもので、月に
20台〜30台ほど扱っています。サイドスカート
を取り付けたり、ユーザーから指定されたカプラの
取り付けがその殆どです。最近はサイドスカートが
流行のようで、その取り付けも増えています。その
他、スライドカプラなども受注することがありま
す。先日もカプラ架装と塗装の仕事が約60台ほど
飛び込んで来ました。洗剤や化粧品などを扱ってい
る大手の化学メーカーやタイヤメーカーの輸送にト
レーラが利用されるケースが増えていますので、そ
工場内でサイドスカートを取り付け中のトラクタヘッド。最近はヘッド関連の仕事が増加しているという
塗装技術力が高いことでも房総車体は知られている。なかでも多色塗装の
仕事がその大半を占めているとのこと
TheTRUCK2015年5月号 62
新シリーズ
◇
時代を語る
車体人
?
の関係でヘッドの仕事が増えているんだと思いま
す。手離れもいいのでヘッド艤装は当社にとってあ
りがたい仕事のひとつです」(佐藤社長)
同社が独自開発した“シャッターバン”関連の車
両も年間で14台〜15台ほど架装しているという。
「シャッターバンのような造りボディーは月に
1台前後のペースですね。板ガラス運搬用のフル
シャッターバンや医療廃棄物用のシャッターバンな
ど特殊なものも架装しています。医療関係のものは
フレームにステンレスを使用しています。シャッ
ターバンは、解放時にシャッターが天井部に格納さ
れますので、ウイングのように突起すると
ころがありませんから、狭い場所での側面
全開放が可能です。そのようなメリットを
考えて使ってもらってます。開閉方式も初
期のものから改良を加えていますので、よ
りスムーズな開閉ができますし、開閉時の
騒音も殆ど出ないようになってます。電動
式のシャッターバンも扱ってますが、それ
も従来の24Vモーターではなく100Vタ
イプを採用しています。100Vなら汎用
モーターが利用できますから、その方がコ
スト的なメリットが出るし、信頼性も高い
んです」(佐藤社長)
さすがに電気関係からスタートした会社だけに電
源の変換技術やその発想はボディーメーカーの中で
も特筆すべき点かもしれない。
損傷し易い大型板ガラスを運搬するために開発さ
れたフルシャッターバンは、輸送中に石の飛び跳ね
などからガラスの損傷を防ぐもので、工事現場の狭
い場所でも開閉できるというシャッターバンの大き
な特長を活かした車両である。最近の建築物ではガ
ラスの寸法や形状も多様化しているし、開放的な空
間演出のために窓の大型化も進んでいる。傷つきや
すい板ガラスを安全、確実に輸送できるシャッター
高速道路で活躍する道路標識車。ロール式の表示機の下に
LED表示もプラスして認識性をアップさせている
トラック搭載小型クレーンと後部にはテールゲートリフターも取
り付けられた車両。ニーズを盛り込んだこの種のボディー架
装では優れた実力を持っている
YouTubeにアップされている「世界疾走ワールドGT-Rトレーラームービー」
のワンシーン。側面を開放した状態で世界各地を走り回る映像は圧巻だ
TheTRUCK2015年5月号 63
房総車体(千葉県)
バン式ガラス運搬車は今後注目される車両のひとつ
だと思う。
その他、道路公団向けの道路標識車などの架装実
績も大きいものがある。これまでにも大型の炊飯釜
を搭載したトレーラタイプのシャッターバンや移動
販売車、さらにステージ車や災害救援車など特殊な
ボディーも数多く扱っている。
現在、社長を含め7〜8人の規模だが、
ユーザーニーズに応じた各種車両架装では
優れた技術力と開発力がある。そこには、
これまで永年培ってきた決して妥協を許さ
ないボディー造りの思想が脈々と息づいて
いる。
余談だが、YouTubeに「世界疾走ワー
ルドGT-Rトレーラームービー/THE
BLACKMASKPROJECT」(https://
www.youtube.com/watch?v=eCsDm
zU2KZk&feature=related)という映像
がアップされている。ここでは、側面を開
放したまま世界中を走り回るシャッターバ
ン型商品展示車をご覧いただくことができる。“開
けたまま走れる”これもシャッターバンのひとつの
魅力であろう。是非とも一度確認していただきたい。
■訪問企業データ
会社名:房総車体有限会社
本社所在地:〒261-0002
千葉市美浜区新港119-2
Tel:043-241-1856/Fax:043-242-3171
メール:hzi03744@nifty.com
URL:homepage1.nifty.com/~ms/boso/
主要製品:シャッターバン、ドライバン、保冷シャッ
ター、トラック部品、ウイング、車庫、特殊車両、
デコトラ、道路工事用標識車両
TheTRUCK2015年5月号 64
■最初の実証試験システム図
トランスヒートコンテナ:
熱の宅配便
澤田征二
☆物流の進化
今迄、一般にはあまり話題にならなかった「物流」に
関しての情報が、マスコミに多く露出するようになって
きたように思う。産業としてだけでなく、「物流」とい
う経済活動が一般生活へも影響が大きくなってきて、
一般の人々も情報が必要と考えられるようになってき
たという事だろう。
●
高速道路の伸延に関しても、乗用車/観光など人の
移動についてのコメントが減って「物流」の観点から
の意見が多く見られる。
●
一般の人々があまり興味を示さないと思われる「大型
物流施設」についてもその機能や役割などが紹介さ
れる。
●
スーパーやコンビニと宅配業のコラボについてと
か、ネット販売と配送についての考察が話題となった
りしている。
●
宅配向けの車両として、電動自転車が使われるよう
になったとか、配達員として住んでいる地区の主婦
を採用するといった、物流に関する身近な情報など
も紹介されるようになった。
物の移動を輸送や運搬と言った、一分野の活動で
なく、その影響をも含めて「物流」として経済を支える
大きな要素として捉えるようになってきたのではないだ
ろうか。
☆物ではない「熱」を運ぶ車両?
ここで紹介しようと思う車両は、環境省が地球温暖
化対策技術開発実証研究事業として「簡易移送型潜
熱蓄熱装置」と言う仰々しい名前のプロジェクトで生ま
れたもの。
基本理論になる、熱の受け取り(充填)/保持/供
給(排出)のシステムはプラント・設備の総合企業であ
る三機工業㈱、運搬車両に組み上げるのを特装架装
メーカ極東開発工業㈱、実証テストは熱を受け取る廃
TheTRUCK2015年5月号 65
■専用台座を使った脱着
棄物総合リサイクル施設とその供給先の温浴施設をア
レンジした、三重中央開発㈱というメンバー3社で
実証実験をスタートさせた。
コンテナに「・・・・・・・」と書かれたステッカが、
これも「物流」です、とアピールしているように見え
る。この車両の荷台(コンテナ)が捨てられる・排熱を
預かって、それを必要とする所へ届ける。
「熱を運ぶ」という身近で判り易い事例を紹介し
よう。
とある地方の名物料理がTVのグルメ
番組で紹介された。
その調理法なのだが、鍋に出汁と具材
を入れ、そこに別のコンロで高温に温め
られた石を放り込むというもの。出汁が一
瞬で沸騰し、コトコト炊くのとは違った美
味しさになるという。石がコンロに代って
「熱」を運んできたことになる。
ここで紹介する車両の仕事は、この料
理法の「石」の仕事を大きなビジネスとし
て確立したものと考えれば良い。
この料理の場合は、おいしくなる為に必
要な量の熱を他の所で造っているが、今
回説明する装置は「排熱(捨てている熱)」
を活用しようというもの。熱の「リユース:
Re-Use」と言ったらよいのだろうか?
車両であれば、運ぶ時は何でも大量
である方が単位のコストは安くなる。そこ
で、このプロジェクトのスタート時には、
荷台のコンテナで最大の容量が確保でき
る、20フィート海上コンテナで計画・スター
トした。
しかし、海上コンテナは日本国内では
基準緩和車両である他、大型のセミトレー
ラ連結車であるために通行できる道路が
限られるほか、狭隘な道路には侵入でき
ない。
その為に、受け取れるお客が限られて
ビジネス展開が広がって行かないと考え
て、そこでサイズを落し、大型トラックを
利用することに変更する。
また、熱の受け取りと供給はパイプを介
しての間接的な熱交換になるので時間が
かかる。装置は長時間待機となるので車
両ごと待機させると、車両の稼働率が下がるのでコン
テナを置いてゆくシステムになった。
ただ、アーム式脱着荷台の場合はコンテナの脱着
時に一度大きく傾き、コンテナ内の液体:熱媒油が
上部のマンホールなどからこぼれる可能性が考えられ
る。そこでコンテナ設置場所に移動できる専用台座を
用意して、最大傾斜角度を15度以下に抑えることに
した。なおこの専用台座も脱着荷台車のキャリア(シャ
TheTRUCK2015年5月号 66
■熱の充填/排出システム図
■トレーラ/フックロール比較図
シ部)が運搬/移動できる構造になっている。
☆システムの物理的理論:潜熱?
熱エネルギーとは、発生源の温度と自然の大気や
水などとの温度差によって生み出されるのであるか
ら、同じような工程の排熱を利用する産業の場合と比
較してみよう。
製鉄所の場合は溶鉱炉から出るのは1000℃を超
え、それも大量であるから前工程である原材料の予
熱や、タービンによる発電など現在の工業製品を使っ
たエネルギー回収が可能。これを工程に組み入れる
ことで日本の製鉄技術は省エネ型と言われている。
しかし、ここで紹介するのは、低温で少ない熱量:
排熱を捕まえてきて、それでも役に立つ仕事をさせよ
うというシステムなので、きめの細かい考察/検討が
必要となる。
熱の閉じ込め方は「潜熱」と
言う物理理論を使う。
例えば、H
2
Oは「水」と言
う液体の「相」と「氷」と言う固
体の「相」を持つ。水を冷やし
て(熱を放出する)0℃になると
氷になり、氷を温めて(熱を注
入する)0℃(融点)を超えると
溶けて水になる。例えばステー
キを焼いて出て来る牛脂はこ
の融点が高く(約50℃)鉄板が
結構暖かくても白く固まってし
まう。
この時にやり取りする熱の事
を「潜熱」と呼び、このシステムは運搬するコンテナに
「相」の形で熱を閉じ込める。
例えば100℃以上の融点を持つ特殊な砂糖(潜熱
蓄熱材)を用いれば理論上は相手を100℃まで温める
ことが出来る。
コンテナ内は基本的にタンクになっていて潜熱蓄熱
材で満たされ、熱を運ぶ役目の熱媒油が通るパイプ
が巡らされている。
このパイプを介して熱媒油と潜熱蓄熱材が熱交換を
して熱の出し入れを行う。
☆熱の直接売買ビジネス
日本は世界第4位のエネルギー消費国であるの
に、その自給率は約4%しかない。最近怪しくなって
きた世界情勢を考えると、エネルギーに関しては使う
時の省エネは勿論、「食べ残し」を造らない、徹底した
TheTRUCK2015年5月号 67
■北陸農政局資料
「使い切り」も考える必要があるのではないか。環境
対策の技術開発事業として生まれたものであるから、
国からの補助金が投入されてここまで来た。
これからは独立したビジネスとして自立して行かな
くてはならない運命にある。ビジネスの構造を考える
と、販売する「熱」は何か(石油など)を購入してそれ
を加工(燃焼)して造るのでなく捨てられているものを
そのまま受け取って渡すのだと考えれば、その途中
に必要なスキーム(工程・機材・時間・人件費・・・)
といったことのコストダウンに集中すればよいのでは
ないか。
現在、「熱」の元である石油の価格が乱高下しそ
うな状態にある事を思えば、備蓄や先物取引と言っ
たことに気を使うことなく、コンスタントに発生して
いる廃棄物処理で発生している熱をいかに安く仕入
れ、安く運ぶかに集中する方が理にかなっていると
言える。
勿論、お客様が有って成り立つのがビジネスである
から、この「宅配熱」が活用できる事業の開拓が必要
になる。
今回、農林水産省が富山スマートアグリ次世代施
設園芸拠点を造り、此処にこのトランスヒートコンテ
ナのシステムを導入するという。その使い方は、ビニー
ルハウスの冷暖房の為の補助熱源だそうだが、この
ような「縁の下の力持ち」といった仕事がこの排熱の
最後のお役立ちに相応しいと思う。
この事業の概要を添付しておく。
捨てられている「熱」そのものを預かって次の工程
で使ってもらう、という運搬ビジネスは新しいだけに
簡単に解決策が見いだせる物ではない。ただ、その
考え方は大事に育って行ってほしいものだ。
終りに
このコラムは極東開発工業㈱のホームページにある
「技報」の一部を許可をもらって流用させてもらいまし
た。本誌の物流関連記事の一部として筆者の独断と
偏見を加味したものとしています。物流関係で色々な
展開がある事を期待します。
The TRUCK News
Now
TheTRUCK2015年5月号 84
日野デュトロ(TKG-XZU605M-TQMMB)
VSCの作動概念図電動パーキングブレーキレバー
日野自動車㈱は、小型トラック「日野デュトロ」を改良して、
2015年5月7日に発売する。
日野は、安全装備を標準装備として普及促進させることが
交通事故削減に効果的と考え、従来より標準装備化を推進
しているが、今回の改良では、車両安定制御システム「VSC
(VehicleStabilityControl)」および「電動パーキングブレー
キ」をディーゼル車およびハイブリッド車に標準装備(ガソリン
車・LPG車には設定なし)とし、安全装備を充実させる。「日
野デュトロ」のVSCは、先進安全自動車(ASV)技術としての
「車両安定制御装置」の技術的要件を満たしており、装着
車はASV減税(自動車取得税、自動車重量税を軽減する
特例措置)の対象となる。
また、ハイブリッド車はエコカー減税の新たな区分「2015
年度燃費基準+15%達成」の適用対象となり、取得税、
重量税がともに免税となる。
VSCは、横転や滑りやすい路面でのドリフトアウトやスピン
を抑制するために、警報音やエンジンの出力制御、またブレー
キを作動させることでドライバーの危険回避操作を支援する。
電動パーキングブレーキは、電動モーターがパーキングブレー
キケーブルを牽引することで制動力を発生させる仕組みで、軽
いレバースイッチのON・OFF操作だけでパーキングブレーキ
の作動・解除が可能。また、車両の状況に応じて引き代を
自動コントロールするため、常に制動力を確保し安全・確実
な駐車をサポートする。
今回発売する日野デュトロのディーゼル車およびハイブリッ
ド車は、エコカー減税(ディーゼル車は取得税40%、重量
税25%の減税、ハイブリッド車は取得税、重量税ともに免
税)またはASV減税(排出ガス記号「TDG-」車型はASV減
税のみ)の対象となる。
年間販売目標台数は日野デュトロシリーズ全体で
22,000台。
代表車型の東京地区希望小売価格
(消費税込)は、日野デュトロ(TKG-
XZU605-TQMMB)標準幅キャブ、標
準長ボデー、全低床、スタンダードグレー
ドのカーゴ完成車で4,174,740円、日
野デュトロハイブリッド(TSG-XKU710-
TQUQC)ワイドキャブ、ロングボデー、全
低床、スタンダードグレードのカーゴ完成車
で5,551,740円となっている。
装備充実…日野自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
小型トラック「日野デュトロ」の安全装備を充実させ発売
「VSC」、「電動パーキングブレーキ」を標準装備
TheTRUCK2015年5月号 85
優れた低燃費製を発揮するGH11型エンジン
UDトラックスのフラッグシップ大型トラック「クオン」優れた燃費・環境性能を持つ大型トラック「クオン」
エンジンの性能を最大限に引き出す電子制御
式トランスミッション
UDトラックス㈱は、2014年5月にリニューアルしたフラッ
グシップ大型トラック「クオン」の燃費をさらに改善し、平成27
年度重量車燃費基準プラス5%達成車型の設定を拡大した。
2014年のトラクター4車型に加えて今回、エンジン特性
の変更などによりカーゴ系、ダンプ、ローリーなど単車の計17
車型で、平成27年度重量車燃費基準105%を達成させ、
2015年4月13日より発売を開始した。これにより平成27
年度税制改正における自動車取得税、自動車重量税の特例
措置(エコカー減税)を受ることで、新車購入時に自動車取得
税が60%、自動車重量税が50%減税される。
2014年に発表した新生「クオン」は、燃費・環境性能など
GH11型エンジンの性能を最大限に引き出す12段電子制御
式トランスミッション「ESCOT-Ⅴ(エスコット-ファイブ)」を改善
し、実燃費を4%向上
させている。また、ソフ
トクルーズ・コントロー
ルやアクセラレーショ
ン・リミッタを用いる「エ
コノミーE・Dモード」、
下り坂など惰力走行時
にエンジンブレーキを遮
断する「ESCOTロー
ル」により、さらなる省
燃費を実現している。
UDトラックスは、こ
うしたハード面での改
善と、UDインフォメー
ションサービス(UDIS)
を活用した省燃費運転支援などのソフト面により、燃費性
能の向上を追求し、物流会社のトラック保有にかかる総費用
(TCO:TotalCostofOwnership)の低減を支援している。
今回の改善でTCOのさらなる低減に貢献することになる。
主な車両の諸元と東京地区メーカー希望小売価格は次の
通り。
■カーゴ/CD
◇車両形式…QPG-CD5ZA、◇車両寸法…W11,990×
L2,490×3,035㎜、◇車両総重量[GVW]…24,840
㎏、◇エンジン形式…GH11、◇燃費規制適合レベル…
平成27年度重量車燃費基準プラス5%達成車、◇最高
出力…279kW(380PS)/1,700rpm、◇最大トルク…
1,716N/m(175㎏/m)/1,200rpm、◇トランスミッション
…ESCOT-V(AT612D)、◇東京地区メーカー希望小売価
格…17,845,000円(消費税抜き)ESCOT-V車。
■パーフェクトクオン(日本フルハーフ製ドライウイング)
◇車両形式…QPG-CD5ZA、◇車両寸法…W11,995×
L2,495×3,790㎜、◇車両総重量[GVW]…24,850
㎏、◇エンジン形式…GH11、◇燃費規制適合レベル…
平成27年度重量車燃費基準プラス5%達成車、◇最高
出力…279kW(380PS)/1,700rpm、◇最大トルク…
1,716N/m(175㎏/m)/1,200rpm、◇トランスミッション
…ESCOT-V(AT612D)、◇東京地区メーカー希望小売価
格…21,328,000円(消費税抜き)ESCOT-V車。
■トラクター/GK
◇車両形式…QPG-GK5XAB、◇車両寸法…W5,550
×L2,490×2,955㎜、◇連結車両総重量…4×WD方
式39,560㎏、◇エンジン形式…GH11、◇燃費規制適合
レベル…平成27年度重量車燃
費基準プラス5%達成車、◇最高
出力()/…302kW(410PS)/
1,800rpm、◇最大トルク…1,814N
/m(185㎏/m)/1,200rpm、
◇トランスミッション…ESCOT-V
(AT612D)、◇東京地区メーカー
希望小売価格…17,437,000円
(消費税抜き)ESCOT-V車。
燃費改善…UDトラックス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
大型トラック「クオン」をエンジン性能向上で燃費改善
平成27年度重量車燃費基準105%達成車型を拡大
The TRUCK News
Now
TheTRUCK2015年5月号 86
小型トラック「エルフ」のハイブリッド車
いすゞ自動車㈱は、小型トラック「エルフ」のハイブリッド車を
改良し、2015年4月10日に全国一斉発売した。
今回発売の「エルフ」ハイブリッド車は、モーター駆動のみで
走行することで騒音に配慮した静かな走行が可能なEVモード
を追加。また、エンジンの改良に加え、省燃費走行をサポート
する「スマートグライド+e」のサポート領域を従来の範囲から拡
大し、ハイブリッド機能をより活用できるようになった。結果、
ハイブリッド全車で平成27年度燃費基準+15%達成および
低排出ガス車認定取得となり、新車購入時の自動車重量税・
自動車取得税がともに免税となる。なお、この特例措置は、
自動車重量税は平成27年5月1日〜平成29年4月30
日までの登録車、自動車取得税については平成27年4月1
日〜平成29年3月31日までの登録車が対象となる。
SGグレード仕様キャブ付きシャシの東京地区希望小売価
格は、5,149,440円(消費税込)。年間目標販売台数は
40,000台(エルフ全体)としている。
■「エルフ」ハイブリッドの主な特長
◇クラッチを切った状態でモーターの駆動力のみで走行するEV
モードを追加。静かに走行することが可能で、住宅街や夜間・
早朝の配送など静粛性が求められる状況での走行に最適。
◇「スマートグライド+e」は、アクセルの
踏み具合に対し充分な車速がある場合
には、自動的にクラッチを切り車両の慣
性を無駄なく活かして走行し、駆動力が
不足した場合や速度が落ちてきた場合に
は、モーター走行によるサポートを行う。
さらに、アクセルの踏み込み量に応じて、
モーター走行とバッテリー回生を自動制御で切り替え、無駄の
ない省燃費運転を実現。
◇今回、「スマートグライド+e」のサポート領域を拡大し、さらにモー
ター出力のアップと制御の改良を図った。また、車両重量を算出
し、そのつど最適な回生量で減速することで、多くのエネルギー
が回生され、効率よくモーター走行やモーターアシストを行う。
◇ハイブリッド車専用のマルチインフォメーションディスプレイを
採用し、ハイブリッドの作動状況や燃費状態などの情報をドライ
バーにリアルタイムにフィードバックできる。
◇ラジエーターグリルおよびシート、ステアリングホイールのデザ
インを変更。
◇4JJ1エンジンを
改良し、新インジェク
ターおよび可変容量
パワーステアリングポ
ンプの採用、低圧縮
化、6速トランスミッショ
ンギヤ比の見直しなど
により燃費を向上。
ハイブリッド車…いすゞ自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
小型トラック「エルフ」のハイブリッド車を改良し発売
モーター駆動のみで走行可能な
EV
モードも追加
日産自動車㈱は2015年4月1日、「アトラスF24」を一
部改良し、発売した。
今回の一部改良では、エンジンの仕様変更やタイヤサイズ
の変更によりディーゼル車の燃費が向上し、1.5t系4WD
ディーゼル車が新たに「平成27年度燃費基準」と低排出ガ
ス車認定基準の「平成21年排出ガス基準10%低減」を達
改良…日産自動車
話題のニュートラック新製品情報・新情報
日産「アトラスF24」の安全性を高めるなど一部改良
1.5t系ディーゼル車の全車がエコカー減税の対象に
TheTRUCK2015年5月号 87
アトラスF24(標準ボディ、フルスーパーロー、扁平ダブルタイヤ、最大積載量1.5
トン、ディーゼル木製荷台)
低燃費エンジン搭載の「油圧駆動式フォークリフトFH50-2」
成した。これにより、1.5t系ディーゼル車の全車が「環境対
応車普及促進税制(エコカー減税)」による減税措置に基づ
き、自動車取得税が40%、自動車重量税が50%(2015
年4月登録分まで、5月以降登録分は25%)減税となる。
また今回、ディーゼル車ではすでに標準装着となっていた「リ
ヤ・アンダー・プロテクター(後部突入防止装置)」をガソリン
車にも標準装着することで、安全性を高めた。
全国希望小売価格帯は2,188,080円〜4,444,200円
(消費税込)となっている。
コマツは、建設機械で培ってきた油圧・制御技術を随所に
織り込み、オフロード法(特定特殊自動車排出ガスのNOxと
PM排出量の規制等に関する法律)2014年基準に適合し
た油圧駆動式の新型フォークリフト「FH35-2」、「FH40-2」、
「FH45-2」、「FH50-2」を2015年4月1日に発売した。
新発売の4機種は、NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状
物質)の排出量を大幅に低減させ、特定特殊自動車排出ガ
ス2014年基準の排出ガス規制をクリアした新世代エンジン
を新たに搭載。FHシリーズの特徴である油圧駆動式トランス
ミッション「電子制御HST(Hydro-StaticTransmission)」、
エンジン出力を無駄なく活用する油圧システム「可変ポンプ
CLSS(Closed-centerLoadSensingSystem)」、また、
それらを高度に制御するコントロールシステムを採用することに
より、高負荷作業時における燃料消費量を同社従来機(トル
クコンバータ方式車両)に比べ最大30%低減させている。
また、機械稼働管理システム「KOMTRAX」を標準搭載
し、ユーザーの車両管理業務を幅広くサポートできる。さらに
車両モニタには鮮明で見やすいフルカラーマルチモニタを採用
し、エコゲージ等の表示により省エネ運転のサポートも行える。
公表価格は、FH35-2(3.5t車)…7,000千円、FH40-2
(4.0t車)…7,600千円、FH45-2(4.5t車)…8,200千円、
FH50-2(5.0t車)…9,400千円となっている。また、販売目
標は4機種合計で年間700台(国内のみ)としている。
■主な商品特長
⑴環境、経済性
・特定特殊自動車排出ガス2014年基準適合車…コマツ
が長年積み重ねてきた独自のエンジンテクノロジーを結集し、
新たに開発した新世代エンジンを搭載。特定特殊自動車排
出ガス2014年基準の排出ガス規制をクリア。
・高負荷作業時の燃料消費量最大30%低減…油圧
駆動式トランスミッション「電子制御HST(Hydro-Static
Transmission)」、エンジン出力を無駄なく活用する油圧シ
ステム「可変ポンプCLSS(Closed-centerLoadSensing
System)」、また、それらを高度に制御するコントロールシス
テムにより、燃料消費量を同社従来機(トルクコンバータ方式
車両)に比べ最大30%低減。
⑵安全性、作業性
・車速制限機能、シートベルト未装着警告機能…工場内な
どで決められた制限速度を守るために、最高速度を4段階に
設定可能(設定速度:5、8、15、23.5㎞/h)。また、シー
トベルト未装着のオペレーターに注意を促す警告機能も装備
されており、安全性の向上に貢献。
・電子制御HSTによる操作性の向上…電子制御HSTの
採用により、前後進レバーを切り替えてもショックが発生しな
いため、左ペダルの操作が不要であることや、坂道でのずり
下がりが少なく、微速走行が容易になるなど、操作性が向上
新型フォーク…コマツ
話題のニュートラック新製品情報・新情報
オフロード法適合の油圧駆動式新型フォークリフト発売
燃料消費量を従来機比で最大30%低減
The TRUCK News
Now
TheTRUCK2015年5月号 88
手前の3つが旧型、その後ろが新型フレコン荷扱いを向上させた新型フレコン接地面積が大きくデットスペースが少ない
しており、オペレーターの疲労軽減と安全作業にも貢献。
⑶ICT
・フリート遠隔管理と現場改善を支援するKOMTRAX
標準搭載…KOMTRAXは位置情報、稼働状況に加え、燃
料消費量などの情報をユーザーに提供し、日々の稼働状況の
「見える化」を実現。ユーザーが常にベストコンディションで
使用できるよう、きめ細かくサポートを実施。
・車両の稼働状況を一目で把握…大型のカラーマルチモニタ
を搭載し、走行速度や平均燃費など車両の状況を一目で把
握。オートエンジンストップ機能の時間設定や車速制限などの
セットアップも容易に行える。また、ボタン操作により稼働時
間、燃料消費量などさまざまな情報を確認できる。
日通商事㈱は、「BOXフレコン“A”TYPE(保管)」米穀保
管用フレコンを考案し、その試作品をこのほど公開した。
新型フレコンは、全農宮城県本部と日本通運㈱仙台支店、
地元倉庫会社、フレコンメーカーの協力により製作され、実際
の米を充填し形状確認を繰り返しながら、今回完成モデルの
開発に成功したもの。
従来の丸型背高フレコンは段積みに際し、不安定で荷崩れ
の危険性や保管効率などの課題があった。
今回開発されたフレコンは2011年3月に発生した東日本
大震災の教訓を活かし、荷崩れの危険性を低減するため、従
来の不安定な丸型のフレコンとは一線を画し、高さの低い長方
形角型フレコンとなっている。形状が角型であることが、上下
左右に積まれたフレコンの接地面積を増やし、安定した「はい
山」が形成できる要因となる。
また、高さが低いため、従来の背の高い丸型フレコンより数
段高い段積みが可能で、デットスペースが少なく、約2倍の保
管数量向上が見込まれている。さらに、強度を増した2本の
吊ベルトに加え、四隅にフック(短いベルト)を配置することで、
荷扱い時の作業性と安全性を向上することも可能だ。
2014年11月より全農宮城県本部の協力で2個所の倉
庫において、約600トン分のテスト保管と使用試験を開始
し、特許庁への実用新案登録出願を行ったもの。同社は今
後、保管テ
スト結果を
踏まえ、本
格的に全
国へ販売を
行っていく
予定だ。
フレコン…日通商事
話題のニュートラック新製品情報・新情報
荷崩れの危険性を低減する米穀保管用フレコンを考案
荷扱い時の作業性と安全性を向上
(公社)全日本トラック協会及び各都道府県トラック協会
が実施する平成27年度の各種助成事業が発表された。
2015年4月5日までに発表されたものは次のものだ。
■平成27年度アイドリングストップ支援機器導入促進助
成事業
全ト協及び地方ト協では、アイドリングストップの励行支援
のため、アイドリングストップ支援機器の導入を行う会員に対
して、取得金額の一部を助成する。
助成事業…全日本トラック協会
話題のニュートラック新製品情報・新情報
さらなるトラック輸送の安全・安心を目的に
全ト協と地方ト協が安全機器などへの助成事業を展開
TheTRUCK2015年5月号 89
【参考写真】太陽工業などが扱うエアヒーター
【参考写真】東海電子の業務用クラウド型動画
点呼システム
【参考写真】日本ヴューテック製のドライブレコーダー 【参考写真】共栄システム製ドライブレコーダー
各都道府県トラック協会を通じて実施される。申し込み等
の詳細は、所属のトラック協会へ問い合わせることになる。
アイドリングストップ支援機器とは、トラックドライバーが休
憩、荷待ち等におけるエンジン停止時に相当時間連続して使
用可能な車載用冷暖房用機器で、「エアヒータ」と「車載バッ
テリー式冷房装置」(協会により一部助成対象とならない製品
がある)になる。
全ト協助成額は取得価格の1/2以内の額(上限設定あり)
で、別途地方ト協(一部助成事業を実施しない協会もある)で
定める額になる。
なお、同一事業において国の補助金が交付される場合は、
全ト協の助成金の交付は受けられない。
■平成27年度安全装置等導入促進助成事業
事業用トラックの交通事故ゼロを目指すため、後方視野確
認を支援するバックアイカメラや飲酒運転を防止するアルコー
ルインターロック装置などに資する装置等の普及を図る目的
で、各都道府県トラック協会を通じて助成事業が実施される。
◇助成対象機器
⑴後方視野確認支援装置…⑴後退時の後方視野が確保でき
ること、⑵運行時(前進も含む)において後方視野が確保でき
ること、⑶概ねルームミラーの位置において後方視野が確保で
きること、の機能を有するものに限る。なお、装着にあたっては、
道路運送車両の保安基準に抵触しないことを条件とする。
⑵呼気吹込み式アルコールインターロック…国土交通省
の技術指針に適合しているものとする。
⑶IT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用する携帯型
アルコール検知器…Gマーク認定事業所が導入する場合に
限り、助成対象となる。
助成額は、全ト協として対象装置1台につき1万円、各
都道府県ト協が定める助成額となる。
なお、同一事業において国の補助金が交付される場合は、
全ト協の助成金の交付は受けられない。
■平成27年度ドライブレコーダ機器等導入促進助成事業
事故防止や安全運転への取り組みを支援するため、事故
や急加速・急減速などの一定の衝撃が生じた際に、その前
後の映像や走行データを記録するドライブレコーダの普及を図
る目的で、各都道府県トラック協会を通じて実施される。
機器の選定ガイドラインとしては、⑴簡易型:急ブレーキ時
等の映像及び簡易的に取得した車両速度情報を活用し、運
転指導を行うタイプ、⑵標準型:急ブレーキ時等の映像及び
車両速度情報を活用し、運転指導を行うタイプ、⑶運行管
理連携型:急ブレーキ時等の映像及び車両速度情報による
運転指導に加え、運行管理面やヒヤリハット等の多角的な分
析等から交通安全教育等を行うタイプ、⑷スマートフォン活用
型:スマートフォン(高機能携帯電話)及びアプリケーションの
利用により事務所等に転送した急ブレーキ時等の映像及び
位置情報を活用し、交通安全教育等を行うタイプ、の4つ
に分類される。
助成対象機器は、⑴簡易型ドライブレコーダ(全ト協の助
成対象外)、⑵標準型ドライブレコーダ一、⑶運行管理連携
型ドライブレコーダ一、⑷スマートフォン活用型ドライブレコー
ダ一、になる。
なお、貨物自動車用ドライブレコーダ選定ガイドラインと機
器の分類、助成額、平成27年4月1日現在の助成対象
機器の詳細については全ト協ホームページで確認できる。
■平成27年度天然ガス自動車用燃料供給施設等助成事業
貨物自動車の低炭素化及び代替燃料の活用を推進するこ
とを目的に天然ガス自動車に使用する燃料供給施設等の設
置に必要な経費の一部を助成する事業が実施される。
受付期間は、平成27年4月1日〜平成27年6月30
日で、助成対象となるのは⑴都道府県トラック協会、⑵都道
府県トラック協会に所
属する会員事業者、
⑶都道府県トラック協
会に所属する会員事
業者が主体で構成され
The TRUCK News
Now
TheTRUCK2015年5月号 90
【参考写真】天然ガス自動車用燃料供給施設
車両や整備代金の資金ニーズに対して最適なソリューションを提案
た団体等。また、助成経費の対象は「天然ガス自動車用急
速充填設備」と「天然ガス自動車用昇圧供給装置」になる。
助成率・助成額は、⑴新設…助成対象経費に係る費用の
1/2以内(上限4千万円)、⑵増設及び改造…助成対象経
費に係る費用の1/2以内(上限1千万円)になる。
詳細については、全ト協交通・環境部(TEL:03-3354-
1045)まで。
■平成27年度トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群
(SAS)」スクリーニング検査助成事業
全ト協会では、平成17年度から睡眠時無呼吸症候群
(SAS)のスクリーニング検査助成事業を実施し、トラックドラ
イバーの睡眠の質を検査し、安全性向上と健康増進に努め
てる。各都道府県トラック協会を通じて助成事業を実施する
ことになっている。
全ト協の助成額は、⑴第1次検査費用の半額(上限500
/人)、⑵第2次検査費用の半額(上限2,000円/人)、
⑶第1次検査及び第2次検査を同時に実施している場合は
合計費用の半額(上限2,500円/人)。また、各都道府県
ト協の助成額は、各協会の定めにより異なる。
指定検査の医療機関は、⑴NPO法人睡眠健康研究所、
⑵NPO法人ヘルスケアネットワーク、⑶一般財団法人運輸・
交通SAS対策支援センター、⑷各都道府県トラック協会指
定の検査・医療機関、となる。
UDトラックス㈱の金融子会社であるVFSジャパン㈱(本
社:東京都港区)に2014年4月1日付で村井賢志氏が新
社長に就任した。
VFSジャパンは、車両のリース・割賦などのファイナンス商
品を提供している。中でもUDトラックスの純正整備契約であ
る「UDトラスト」をリースに付帯した「UDトラスト付リース」を強
みとして、顧客の車両や整備代金の資金ニーズに対して最
適なソリューションを提案している。
「UDトラックスは金融子会社であ
るVFSジャパンと密接に連携し、
お客様の車両商談だけでなく、
購入代金や整備代金に関する相
談も一度にできるワンストップサー
ビスを提供している。特に、車
両代金のリースだけでなく、安定
した車両の稼動に必要な予防整
備にもご利用いただけるUDトラス
ト付リースを推奨して、お客様のトラック保有にかかる総費用
(TCO:TotalCostofOwnership)の低減に貢献する」と
VFSジャパンの村井社長は述べている。
■村
???
井賢
???
志社長の略歴
1988年同志社大学経済学部卒業。三和銀行(現三菱
東京UFJ銀行)入行。1993年ニューヨーク大学経営大
学院修了。2007年シスコシステムズキャピタル㈱入社。
2012年VFSジャパン入社、ファ
イナンス本部長。1965年生ま
れ。奈良県出身。
■VFSジャパン会社概要
◇設立…2009年3月10日、
◇資本金…15億10万円、◇
事業内容…UDトラックスの車両・
整備に関するリース・割賦、およ
び付随するサービスを提供する販
売金融会社。
新社長…UDトラックス
話題のニュートラック新製品情報・新情報
UDトラックスの金融子会社に新社長が
「
UD
トラスト付リース」を推進、最適ソリューションを提供
TheTRUCK2015年5月号 91
【参考写真】日通は海外での輸送ネットワークも充実している【参考写真】メキシコ日通のサンルイスポトシ・ロジスティクスセンター
JPRの加納尚美社長
日通商事㈱は、2015年1月に日通商事グループ100%
出資で設立したメキシコ・サラマンカ市の子会社がこの4月か
ら本格的な営業を開始したと発表した。
自動車関連メーカーを始め、企業の国際一貫物流サービス
に対するニーズもますます高まっており、新会社は、梱包事業
を主体に、顧客ニーズに積極的に応え、日本および既存海
外拠点、日本通運グループの国際輸送機能と連携した国際
一貫物流サービスを提供し、今後の北中南米での事業の拡
大を推進するとしている。
メキシコは北米南部に位置し、両岸を太平洋、大西
日本パレットレンタル㈱(JPR)は、2015年4月1日、同
社の研究開発部門として「JPR総合研究所」を設立した。
JPR総合研究所は、パレットをはじめとしたRTIによる物流
業務最適化・標準化を進めるにあたっての研究開発機能を担
うとともに、国内物流・グローバル物流双方の発展に貢献す
る情報発信を行うことを目指している。
■概要
◇名称…JPR総合研究所(英語名:JPRInstituteof
InnovationResearch)、◇住所…〒100-0004東京都千
代田区大手町1-1-3大手センタービル、◇設立日…2015
年4月1日
■主な活動
JPR総合研究所は、「国内物流・RTI研究」「海外物流・
洋に接することから、北中南米はもちろん、アジア、欧州、ア
フリカへのアクセスがよく、FTAにも積極的であり、日系企業を
始め、グローバルメーカーの製造、輸出基地化が進んでいる。
新会社は、日本通運グループとの連携を図りながら、メキシコに
おける最適な物流ソリューションの提供を図って行くことになる。
■会社概要
◇会社名…NITTSUSHOJIMEXICOS.A.DEC.V.(日通
商事メキシコ株式会社)、◇所在地…Av.Mexico-Japon
321,ParqueIndustrialElBajio,Salamanca,Guanaju
ato,C.P.36875,
Mexico、◇設立
…2015年1月、
◇営業開始…
2015年4月、
◇代表取締役社
長…小谷泰久。
RTI研究」「物流IT標準研究」「ソリューション開発」の各分野
(コアとなる研究領域)に対する情報収集と基礎研究、事業
化に向けた実証的研究やモデル開発を行い、行政・荷主企
業・物流企業に対してサプライチェーン最適化に向けた提言
を行う。
また、研究知見の活用に向
け、ナレッジセンターを整備し
て人材育成と情報発信・普
及活動を行い、将来的には、
より発展的な研究領域とし
て、標準化に向けたRTI容
器開発や、物流技術開発を
手がけていく。
海外子会社…日通商事
研究所設立…日本パレットレンタル
話題のニュートラック新製品情報・新情報
話題のニュートラック新製品情報・新情報
メキシコに設立した子会社が本格営業開始
日通グループと連携した国際一貫物流サービスを提供
研究開発部門として「
JPR
総合研究所」を設立
物流業務最適化などに向けた研究開発を目指す
The TRUCK News
Now
TheTRUCK2015年5月号 92
展示ホール2Fに設置されたカウンター新サービスでスピーディーな搬入を実現(イメージ図)
㈱横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)は、MICE施設
「パシフィコ横浜」に、館内物流の総合マネジメントを行う「パ
シフィコ・ロジスティクス・センター」を2015年4月1日に開
設するとともに、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸㈱の
ビル・タウンマネジメントサービスを、国内で初めてMICE施
設に導入した。パシフィコ横浜とヤマト運輸は連携を強化し、
展示会やコンベンションの運営をよりスムーズな物流でトータ
ルサポートを実現させていく。
「パシフィコ横浜」は、年間1,000件を超える国際会議や
展示会などの開催実績がある国内有数のMICE施設であ
る。展示会やコンベンションの開催前後における販促品や印
刷物などの搬入出では、多数の配送業者が出入りし、周辺
道路が混雑するため、出展者は「希望する時間帯に荷物を受
け取れない」、また主催者は「開催準備が滞り、イベント運営
が妨げられる」など、施設内の物流効率化についての課題を
抱えていた。
このたび、パシフィコ横浜が展示会やコンベンションの運営
をスムーズな物流でトータルサポートする「パシフィコ・ロジスティ
クス・センター」を開設し、ヤマト運輸のビル・タウンマネジメン
トサービスを導入。各配送業者の荷物を荷捌き所で預かり、
施設内の配達や集荷を一括で行う、ヤマト運輸が提供するビ
ル・タウンマネジメントサービスにより、荷捌き場での車両の
混雑の緩和やスピーディーな配送、セキュリティの向上などを
実現できることになる。ビル・タウンマネジメントサービスは、
すでに虎ノ門ヒルズなどでも採用されており、施設管理者や
テナント側からも高い評価を受けている。
パシフィコ横浜とヤマト運輸は協働で、物流を効率化し、
出展者および主催者のニーズにきめ細かく応えることで、利
便性の高い施設の実現を目指すことになる。
■施設概要
◇名称…パシフィコロジスティックスセンター(PACIFICO
LogisticsCenter)、◇サービス開始日…2015年4月1
日、◇設置場所…パシフィコ横浜・展示ホール2Fコンコー
ス(ビジネス&サービスセンター隣)、◇営業時間…9:00〜
18:00、◇定休日…なし(施設点検日などを除く)
■サービス内容・特長
⑴各配送業者の荷物を一括で納品受付し、スピーディーな搬
入を実現
全国から発送されたヤマト運輸の荷物については、近隣の
物流ターミナルに集約し、出展スペースや施設ごとに事前に
仕分けし、一括納品を行うことでよりスピーディーに搬入でき
る。また、ヤマト運輸以外の各配送業者の荷物も納品受付
し、周辺道路や駐車場での待機車両を減らすとともに、荷
物の配達状況を“見える化”することで一元管理する。
⑵専任スタッフが常駐化、主催者へMICEの最適な物流を提案
「パシフィコ・ロジスティクス・センター」に専任スタッフが常
駐。搬入出のスケジュールや予測される物量などについて、
事前に主催者と打ち合わせし、「宅急便」をはじめ、「JITBOX
チャーター便」など、スムーズなMICE運営に向けた最適な物
流を提案することで、搬入から搬出までをトータルサポートする。
⑶より利便性の高いMICE施設として、さまざまなサービスを
提供
◇「手荷物お預かりサービス」と「当日配送サービス」…
手荷物の一時預
かりや、横浜市
など首都圏のホ
テルへ当日配送
するサービスを提
供。来場者や出
展者は、荷物を
持たずに手ぶら
新サービス…パシフィコ横浜・ヤマト運輸
話題のニュートラック新製品情報・新情報
パシフィコ横浜が「ロジスティクス・センター」をオープン
物流業務最適化などに向けた研究開発を目指す
TheTRUCK2015年5月号 93
平成26年度のグランプリに輝いた「トラックの日」のポスター
で快適に展示会やコンベンションに参加可能。
◇梱包資材お預かりサービス(国内初)…展示会やコンベ
ンション開催中に、搬入で使用した梱包資材を預かり、最終
日に届ける「パシフィコ・ロジスティクス・センター」ならではの
新サービス。出展スペースを有効活用でき、預かった梱包資
材を出展スペースまで届けるのでスムーズな搬出が可能。
◇MICE開催をサポートする多彩なサービス…「国際宅
急便」や「国際クール宅急便」を取り扱うほか、「パソコン宅急
便」や「空港宅急便」などMICEの開催をサポートする多彩な
サービスを提供。また、訪日外国人にも安心して利用できるよ
う、英語対応が可能なスタッフを配置。
■今後の展開
パシフィコ横浜とヤマト運輸は、相互の連携を強化し、
MICEの開催を物流の効率化によりトータルサポートし、施設
を利用する側の利便性を向上させることで、展示会やコンベ
全日本トラック協会では10月9日を「トラックの日」と定め、
毎年この日を中心に都道府県トラック協会とともに、多彩な広
報活動、イベント等を実施し、トラック輸送の役割、重要性を
PRしているが、その一環として、平成27年9月から約1年
間、全ト協および都道府県トラック協会が実施する広報活動
で使用するポスターのデザインを募集している。
ポスターは、トラック輸送産業が、国の経済と国民生活を
支えていることを表現したもので、「10月9日はトラックの日」「ト
ラックは生活と経済のライフライン」の文言を入れるという条件
がある。全ト協では「斬新なアイデアも歓迎します」とのこと。
応募期間は平成27年4月1日〜6月22日(必着)。応
募者資格は大学生(専門学校含む)以上で日本国内在住の人
で、グループや企業での応募も受け付ける。
審査は、全ト協広報委員会で選考され、平成27年度「トラッ
クの日」ポスターデザインとして採用されるグランプリ1作品に
は賞金50万円、佳作には賞金5万円(若干数)が贈呈され
る。なお、結果は平成27年8月下旬の全ト協ホームページ
上で発表される。
ちなみに、前回の平成26年度のテーマは「トラックは生活(く
らし)と経済のライフライン」で、全国から244点の応募作品
があった。
ンションの開催数や来場者の増加を図り、グローバルMICE
戦略都市・横浜の一員として、地域のさらなる発展に寄与で
きるよう取り組む計画だ。
▽ ▽ ▽ ▽
ちなみに、「MICE」とは、Meeting(企業等の会議)、
IncentiveTravel(企業等の行う報奨・研修旅行)、
Convention(国際機関・学会等が主催する総会、学術会
議等)、Exhibition(イベント・展示会・見本市)の頭文字を
取った造語で、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベント
等の総称を指す。
また、「JITBOXチャーター便」は、ボックス1本単位(内寸
1.04m×1.04m×1.7m)積載重量600㎏)で集荷し、指
定時間までに配達する貸切輸送サービスで、ボックス単位の
輸送により、トラック1台をチャーターする必要がなく、過剰
な梱包も不要となる。
ポスター…全日本トラック協会
話題のニュートラック新製品情報・新情報
平成
27
年度「トラックの日」ポスターコンテストを実施
「トラックは生活と経済のライフライン」をイメージ
TheTRUCK2015年5月号 94
モータースポーツの世界で、還暦を過ぎても
現役のレーサーとして活躍を続けるモンスター田
嶋こと田嶋伸博会長が牽引する㈱タジマモーター
コーポレーションンは、このほど『タジマ袋井国際
次世代自動車センター』が完成し、3月16日現
地で竣工式を開催した。
この『タジマ袋井国際次世代自動車センター』
は、EVコミューターやEVコンバージョンなどの
研究開発や、東南アジアをはじめとする世界各国
の技術者養成の国際拠点など、EVを中心とした
次世代自動車の普及活動と新エネルギー活用、
地球温暖化防止、及び防災・減災の総合施設と
して活用するほか、既設の「静岡磐田R&Dセン
ター」と連携し、業務のさらなる高度化、効率化
㈱タジマモーターコーポレーション
「タジマ袋井国際次世代
自動車センター」を開設
永年のモータースポーツ活動で
培ったノウハウでクライアント
企業をサポート
TheTRUCK2015年5月号 95
を図ることにしている。
同社ではこの施設の開設を機に、産学官連携
による取組として、次世代自動車産業の振興と将
来的な産業集積を目指す。具体的には、次世代
自動車に携わる技術者の育成支援、県内中小企
業の次世代自動車産業への参入支援、各大学等
との次世代自動車・次世代エネルギー関連技術
の共同研究・共同開発、各種次世代自動車の組
立販売、全日本学生フォーミュラ大会や次世代の
モータースポーツ振興を通しての健全な青少年育
成等、新しい技術開発や安全運転技術の啓蒙活
動を行なう。さらに、防災・減災事業への取組と
して、皸動化推進と電子制御技術を用いたドロー
ン等の遠隔操縦機器の研究開発や実験・研修等
を行い、安心して生活できる社会の実現に向けて
貢献する。
《タジマ袋井国際次世代自動車センターの概要》
住所 静岡県袋井市宇刈ニノ谷3ー4
敷地面積42,660㎡、建築面積2,961㎡、鉄骨
造地上2階、50人体制。
《事業内容》
●次世代自動車の試作開発および組立 ●次
世代自動車技術者の教育・研修など ●EVコン
パーションの開発と組み立て ●EV超小型モビ
リティの開発と組み立て ●レンジェクステンダー
の開発と組み立て ●電気自動車(EV)技術者の
教育・研修など ●次世代エネルギー関連技術の
研究・開発 ●防災・減災に供する機器の研究開
発ならびに教育・研修
竣工式には下記の著名人など多くの来賓が駆け
つけ祝辞を述べた。(敬称略)
◎福武總一郎一般社団法人
電気自動車普及協会名誉会長
◎横川浩一般社団法人
電気自動車普及協会会長
◎原田英之袋井市市長
◎渡辺修磐田市市長
◎黒田昌信静岡県経済産業局理事
◎豊田富士雄袋井市商工会議所会頭
◎筒井昭スズキ㈱顧問
◎坂本修ヤマハ発動機㈱
UMS事業推進部開発部長
また、往年の名車『メルセテセス・ベンツ
280SLElectric』をEV化した車両の発表や各種
EVでデモンストレーションを行った。
「当社はどの系列にも属さない独立した研究開
発企業で、永年のモータースポーツ活動で培った
開発スピードを活かし、クライアント企業をサポート
する。」(田嶋伸博会長)と語っている。
TheTRUCK2015年5月号 96
㈱タジマモーターコーポレーション
TheTRUCK2015年5月号 97
「国際学生EV超小型モビリティデザインコンテスト2015」の
キックオフ記者発表(中央がAPEV横川浩会長)
優秀作品は今年の
東京モーターショーで発表
一般社団法人電気自動車普及協会(APEV)は、3月
30日、東京大学福武ホールに於いて「国際学生EV超小
型モビリティデザインコンテスト2015」のキックオフ記者
発表会を開催した。
当日は、横川浩会長から電気自動車普及協会の法人化
と活動について報告の後、田嶋伸博代表理事から「デザイ
ンコンテスト」の説明を行った。
国際学生EV超小型モビリティデザインコンテストは
2013にづいて2回目で、優秀作品には下記の特典がある。
★東京モーターショーで作品発表の機会が得られる
★チームに対して「著名デザイナーとの交流機会などEV
に関する特別な体験」を提供
★優秀作品には3Dプリンタで製作した模型を進呈(丸紅
情報システムズ賞)
《コンテストの体制》
◎主催:一般社団法人電気自動車普及協会
○後援:経済産業省(予定)、国土交通省、東京大学大学
院情報学環、一般社団法人日本自動車工業会(50音順)
《審査委員》
◎委員長
奥山清行
工業デザイナー、
株式会社KENOKUYAMADESIGN代表
○委員
安藤忠雄
建築家、東京大学名誉教授
井原慶子
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特別招聘
准教授、FIA国際自動車連盟アジア代表評議員、レー
シングドライバー
河口洋一郎
アーティスト、東京大学大学院情報学環教授
中村史郎
一般社団法人日本自動車工業会モーターショー特別
委員会委員長、日産自動車株式会社専務執行役員
チーフ・クリエイティブ・オフィサー
田嶋伸博 一般社団法人電気自動車普及協会代表理事
《募集内容》
★対象:国内外の18歳以上の学生による学校単位のチー
ム(2名以上・1校で複数チームも可)
★内容:EV超小型モビリティのデザインを募集:国土交
通省の定める超小型モビリティ規格に適合したEVの車両
デザイン
★課題:下記3点の課題を審査する
①グローバルな視点から見たインフラを含めたEVの未来
の姿についての「提言」:1次は文章、2次は文章とビジュ
アル
②実際の使用シーンを含めた「車両コンセプト」文章:1次・
2次共通
③アイディアスケッチ:1次は手書又はCAD、2次は
CAD
★審査基準:下記3項目を基準とする
①コンセプト:明快であること(使われ方やコミュニティー
との関わりも含めた環境デザインを明確にイメージし表
現)
②オリジナリティ:応募者自身のオリジナル作品で、国内
外で未発表であること
③実現性:将来実現できる可能性を秘めており、それを具
体的に説明できること
《問い合わせ先》
一般社団法人電気自動車普及協会・デザインコンテスト実
行委員会
事務局長 安嶋(やすじま)
電話:050ー3736ー8325
E-mail:contest@apev.jp
2回目となる
「国際学生EV超小型モビリティデザインコンテスト2015」を開催
一般社団法人電気自動車普及協会(APEV)